「凍結する世の中」凍結

この世界には、

持つべき力と持ってはいけない力がある。


私は、「片桐 冷狐」(かたぎり れいこ)

氷を操る者、いわゆる「魔女」である。


まぁ、この世には色々な

言い方があるだろう。


「魔法使い」「魔術師」「神の子」「天才」

「生まれ持った力」


.....が、私は「魔女」と呼んでいる。

忌まわしき、忌むべき力を持つ者、

「魔女」と


さて、最初の言葉に戻ろう。


この世に必要な力とは、勇気や希望、権力

等々、


だが、持ってはいけない力とは何か?


それは、私の様に驚異的な超能力らしき力の

事である。


色々な人には欲しい力だろう。


だが、持っていても意味がない。

ただ、生物を殺すだけにしか利用価値などがない力を皆さんは欲するか?


持つだけで周囲から恐れられ、人として

見てもらえなくなる。


それが、どんなに辛いことか。


力がばれれば、軍事利用や解剖をされる。


ここまでのペナルティを背負って誰よりも

死と隣り合わせでも欲しいか?


私は嫌だ。もう持ってしまった以上、何も

出来ないが。


私は、産まれ持ってから、その力を持っていた。


ちゃんとした人の親の間に。


私は産まれた時から人としての知性を持っていた。

産まれた時から喋れたし、普通に歩けた。


世界は、私を「天才」と一瞬見てくれた。

それは、まだ、能力が発動させてなかった

からだ。


「させてなかった」というと私は、その力を

持っていることを初めから知っていたからだ


そして私は、初めて「空気」を読んだ。

ここで使ってはいけないなんだと。



6年後、


私は、魔が差したのか、その能力を使ってみたいと思った。


使ったことのない物を使いたくなるのは、

子供の好奇心なのだろうか。


そして私は、誰も居ない家の近くの山に行った。


かなり静かで人通り何かあるはずないのだと

誰もがそう思う。


そして、能力を使った。

何となく使い方はわかるため簡単に使えた。


ただ、体の一部に力をこめるだけなのだから。


私は自分の足に力をこめた。


そして、地面を踏んだ。


すると、足の周りから氷が出てきた。

パキパキと音をたてて。


その氷は広がり私の見ていた景色が全て、

綺麗な輝いた物に染まった。


私は、その景色に感動した。

美しいと。


子供の私は、この事を親に自慢しようとした。


山を下っていくほど楽しさが溢れだした。


家に帰る道には、凍った人がいたが

その頃の私には、それがオブジェだと思った。


そして私は家に着いた。


扉は凍っていて開かなかったため、能力を

使って、二階の開いていた窓に入った。


そして私は自慢しに言った。

自分の親のもとに。


「お父さん、お母さん、わた、し....」


私の目の前には、凍った親の姿があった。


ゾッとした私は、親に声をかけた。


「お父さん!!お母さん!!」


泣きながら声をかけたが一向に返事をしない。


私は、

「警察に電話を....」

と思い受話器に手を出した。


....が、受話器は取れず、私は膝をついた。


すると、急にテレビがついた。


若い女性アナウンサーが、報道していた。


「速報です。〇〇市の〇〇町が凍ったとのことです。」


私はゾッとした。

テレビがついたのにもゾッとしたが、

そこは私のいる町じゃないかと思ってゾッとした。


「リポーターの〇〇さーん。

現場の状況はどうですか?」


と、リポーターに画面が代わった。


「あっはい。こちら〇〇町になります。

ご覧ください、この風景。

全てが固まった感じです。」


それを見ていた私は不安と混乱が混ざりあい

能力の暴走が始まった。


テレビに映るリポーターが、一瞬で固まった


それから、ニュースが途絶えた。


そんな事件から、数十年


私は、家を根城にして、自由に暮らした。


時間空間がわからない以上、それしか出来ることはなかった。


飯に困ることはなかった。

なにも食わなくても生きていけたからである


私は死のうともした。


だが、自分で自分を殺す事は出来なかった。


多分、まだ生きたいと、そう思ってしまったんだろう。


なら、私は他のやつに殺されようと考えた。


だが、誰もここには来ないし、誰も来ようとはしない。


自分から行く事に恐怖を覚えていたからである。


行ったところで何になるんだと、

そう考えたんだ。


死ぬのは怖い。


誰もがそうだ。


死にたいからって死ねるほど、世の中は甘くないし、自分の心に嘘をつけない。


死ぬ機会を待つ魔女は戒めの力を使って、

時を止めた。


いや、違う。


少しだけ違う。


時を止めたのではなく、

時を「凍結」させたのだ。


そして私は、外へ出た。


根城の周りは氷だらけだったが、

他のところは日がさしていて、久しぶりに

日にあたった気分だった。


凍結をとらなくても日はさしている。


「凍結解除」


すると周りは動きだした。


だが、最初に見つかったのが自衛隊だった。


そこいったいを任されていたのだろう。


そして喋ることなく撃たれた。


私は、「やっと....死ねた。」


といい、誰もが惚れるような笑顔で

その生涯を終えた。



                END

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