第2話 5日目~

日記の続きを書く前に

今現在千葉から山梨に向かう途中なのだが、東京を越えた辺りから目に見えて緑が少なくなってきている、人工的な建造物、民家や店、道路等は特に問題無いが、植物、特に木は2m以上の物は見当たらなくなってきた、もしかしたら山梨は植物の無い世界になってしまっているかもしれない




先程、目的地の山梨についたが

見る影もない、植物は枯れ木、枯れ草しか生えていない

永遠と道と建造物が続く

たまに吹く風が砂を巻き上げて視界が悪い

あまり長居は出来そうにない

が、せっかくここまで来て手ぶらで帰りたくない

当初の予定通りワインを探してみる


ワイン確保

精神的に辛い、旅行は中止、すぐに千葉に戻る



どうにか、自宅に帰ってくる事が出来た

やっぱり自分の家が一番落ち着くと旅行の度に思うが、今日ほど安心した事はないかもしれない

おそらくあのまま関東から離れていくと最後には何も無くなってしまうんじゃないか、自分が何故存在しているのか考えてしまって、勝沼から先には怖くて進む事が出来なかった

今は戦利品のアジロンのワインを飲む事が出来ただけでも、良かったと思う事にする



一夜明けてまた日記の続きを書いて行こうと思う


寿司屋で恐怖に震えながら食事をした(字にするとかなり間抜けだ)俺はお店で起きる現象に何か規則性があるのでは?と考え何軒か実験を行う事にした


5日目


先に実験結果を書いていく


1、ラーメン屋に入ってみたが出来立てのラーメンは置かれてはいなかったが食券を買うと、いつの間にかラーメンが音もなく置かれていた

2、お店の中を見ながら食券を買ったが、観察を続ける間は料理は出て来なかった(視線を外すと料理が出てくる)

3、鏡やカメラを使って撮影したが撮影している間は料理は出て来ない

4、パン屋には焼きたてのパンが並んでいた(全てのパンがアツアツ)

5、ファミレスではいろいろな方法を試してみたが料理は出て来なかった(客席でピンポン押したり、お金をばらまいてみたりなど)


以上の事からの考察

この世界はどうやら俺(観測者)の観察するという行為を嫌っているのか、大事な所を見せてはくれないが食事、電気ガス水道と俺に死なれたら困ると考えているのか?分からないが生かさず殺さず、まるで檻の中のペットのように扱ってくれるらしい


寿司屋の一件で熱いお茶とおしぼりが目の前に置かれていた時は、昔読んだオカルトの話…確か漂流していた船に生存者はいなかったのに、船の中を調べたら出来立ての食事の用意がされていたという話を思いついたがいろいろな実験の結果を見る限り

観測するという行為が結果に影響する事は、素粒子のダブルスリット実験?だったかを思い出す

パン屋に並ぶパンは俺が観測する前はどうなっているのか…もはや知る方法はないが、シュレーディンガーの猫の思考実験のようだ


もはや今いるこの世界に以前いた世界のルールは適用されないのだろうが、ひとつひとつルールを解き明かしていけば、いつかは元いた世界に帰る方法も見付かるのだろうか?

5日目はこんな実験を考え付く限り試してみた


6日目は実験にも限界(飽きた…というか、分からないという事が分かっただけだった)を感じ、千葉県以外の場所の確認をする為に旅行の準備をしつつ、結果を記録する為にこの日記を書き始める



相変わらず俺と同じ立場の生存者は(7日目に人の死体は発見したが)見当たらない

せめて他にも人がいれば、共通点を探して謎を解き明かしていけるかもしれないが



7日目

旅の目的は生存者の発見と旨い酒を全国から集める事→とりあえず山梨で昔もらった美味しいワイン探しへ

旅を続けながら世界の謎を解き明かせればと意気込みだけは立派だったのだが

結果は上記の通り

朝、家を出発し10時~11時頃に異変を感じつつ藤野に到着(休憩)

休憩中に遠くに煙が上がっている事を確認して、一度高速道路を降り近づいてみた

生存者を期待したのだが…車の事故現場だった…のだろう


子供が轢かれていた


死んでいた


近くに横転した車から燻る程度の煙が上がっていた

車の中には運転手はいなかった


しばらく立ち尽くして、子供の死体を埋めることにする


この世界に来て初めて自分以外の人を発見するが…それがこんな形とは…

この事故にも何か意味があるのか、この時は動揺が先で言葉にする事も思考する事も出来なかった


その後は上記の通り山梨に向かうが、この事故が今でも脳裏に焼き付いている









今日はここで終わりにしよう




ここが死後の世界でない証明はどのようにすればいいのだろうか

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