オンリーロンリーダイアリー
夢
第1話 1日目~
もし、これから綴る日記が物語や創作の類いで映画やアニメなら間違いなく駄作になるだろう、主人公がピンチになる事もなければ、かわいいヒロインもマスコットキャラも敵もいない、主人公だけのこの物語は…
この日記を読もうとする人がいるなら…
そんな「人間がいれば」だが、
ー何度も消した跡がある-
今後、俺は日本の観光地を車で巡りながら、日記を書いていこうと思っている、とりあえず自宅の千葉を出て山梨にでも行ってみようかと思い準備をしている最中だ…目的は人と会う事と旨い酒を探す事だ
この不思議な世界に来て一週間が経過した、この一週間の気持ちを整理する意味でも、順を追って書いて行こうと思う
1日目
酷い吐き気とめまいだった、まるで二日酔いのような、気がつくと俺は見た事の無いホテルの一室で目を覚ました、前日は確かに自宅のアパートで妻、千恵美と二人テレビを見ながらビールを飲んで寝たと思ったのだが…?(ビール1本)お酒は強い方だから、お酒が気持ち悪さの原因とは考えにくいが…
あまりの気持ち悪さに寝ては起きて吐いてを繰り返していた
半日は経過していたと思う、この時見知らぬ女性が介抱してくれたような気がするが、夢だったのだろうか…
妻に電話をしながら(電話には出ない、携帯が故障したのかと思った)徒歩で帰宅、自宅からそう遠くない場所で助かったが、自宅にもホテルにも自分の車が無くなっていた(どうやって移動したのか?)
自宅には妻の姿が無く(ホテルにも途中の住宅街にも人は見当たらず、車も通らず何ひとつ物音もしない、かなり怖かった)動揺をする、ケンカでもしたか?何か異常な事が起きている事は分かった、まさか人が居なくなったのか?異世界に迷い込んだか?そんな事を考えていた
しばらく、困惑しながらも、まだ気持ち悪かったのもありその日はシャワーを浴びて就寝(人がいなくなったなら、ライフラインも止まりそうなものだが、電気ガス水道は何故か普通に使える)
2日目
やっぱり夢ではなかった事にしばらくボーっとする
ペットのチョコ(猫)もいなくなっていたので、おそらく人間だけではなく、動物もいないのだろうとなんとなく理解する、更にしばらくボーっとした後、夕方頃、近くのコンビニまで周辺の様子見がてら食べ物を調達しに散歩する
やっぱり電気は通っているらしく、人もいないのに信号機と街灯が動いている事に不気味さを覚える
コンビニの食べ物が冷えているのはありがたいが、お店の電気がまるで、俺の為に作動しているような不思議な違和感
レジに店員がいないのに、今までの日常を思い出し、お弁当温めますか?と言われた気がした
なんと表現したらいいか分からないが、こういう気持ちがノスタルジックと言うのだろうか
普段食べ物にあまり頓着しないのだが、この時はコンビニ弁当を食べながらもっと良い物を食べれば良かったと少し後悔した
漠然とした不安
これからの不安、千恵美はどうなったのか、この世界は何か?答えの出ないもやもやとした思い
日常からの解放
仕事、人間関係、金、憂鬱な日常からの解放、何度となく考えた世界
「この世界で自分1人になったら」
人類最後の1人になったら、自由でいいのにな、と
確かに普段からよく考えていた…いや、考えてしまっていた、この世界は自分の願ってしまった世界なのだろうか、だが実際に直面するとどうしたらいいのか…
とりあえず情報収集だ
そんな事を考えながら弁当のゴミをゴミ箱に突っ込み、お酒と適当なおつまみをレジ袋に入れ、最後にアイスを一本食べながら、自宅に帰る
ビールを開けながらソファーに腰かけ、テレビをつける…が、全てのチャンネルで砂嵐が流れ映らない、ラジオも同様に何一つ電波を拾う事はなかった
警察や消防に電話をするもつながらない
ビールを半分ほど飲んだ所で、明日は車で遠くまで行ってみようと思い、計画を練るが、車が無い事を思い出し、近くの車屋に向かい今後荷物を積むかもしれない事を考えて7人乗りの試乗車を乗る事にする、試乗車を選んだのは、急に元の世界に戻った時にギリギリ窃盗罪にならないか?という浅はかな思いからだが、間違いなく飲酒運転である…この時は警察官も人もいなくて良かったと素直に感謝した
ガソリンを給油し(贅沢にもハイオク普段はレギュラー)普通に給油できる事に安堵する、今更不思議がっても仕方ないので開き直りはじめる
一度帰宅し、せっかくなので近くのスーパー銭湯に
ドキドキしながら女風呂を覗いてみるが、誰もいなかった、軽く酔っていたからかテンション高め
その後、一応男風呂へ
貸し切りの風呂は気持ちが良い、明日は日本酒でも飲みながら風呂に入ってやると決意する
風呂上がりに飲み物を買おうと思うが財布を車に忘れて来ていた、こんな世界でも自販機だけはお金が必要なのかと笑ってしまう、レジ横のお土産コーナーにおつまみと日本酒があったので、それを持って仮眠室へ
漫画コーナーから適当に漫画を選び、酒を飲みながら、グダグダと漫画を読む
そのまま就寝
3日目
お昼頃起床、とりあえず朝風呂?を入る
この頃から元の世界に帰りたく無くなる、風呂に入って酒飲んでグダグダして一生を終えるのも悪くないかと思い始める
が、口をついて「千恵美も一緒だったらな」と呟く
涙が自然と流れていた
風呂から上がり、食堂に
厨房の中を一通り物色し朝飯?を作る、以前レストランの厨房でバイトしていた経験が役立った、メニューは豚のしょうが焼きと味噌汁、目玉焼き
白米を炊こうか迷ったが、業務用の炊飯器なので加減が分からないので断念した
冷蔵庫の中に出来合いのポテトサラダにラップがしてあったのでそれも一緒に食べる
ずいぶん、ゆっくりと過ごしてしまった
とりあえずこの日は、これから生活に必要になるであろう物を集める事にする(前日の遠出する計画は明日にする)
まずは、家電でも見るかと家電量販店へ
とりあえずお店を一周してみるが、冷蔵庫など欲しい物があるが、1人で運ぶには限界がある…
新しいエアコン…設置できる自信がない…めんどくさい…
テレビ…そもそも映らない…
何故来てしまったのだろう…計画性がないのはいつもの事だが
とりあえずゲーム機とソフトを数本車に運ぶ
近くのアウトドア用品店へ
もしかしたら使うかもしれないと思い、テントやテーブル、椅子、クーラーボックスなどアウトドアグッズを車に詰めていく
しかし、ライターがあるのにファイアスターターを手に取ってしまうのは何故なのか、包丁の方が実用的なのにサバイバルナイフを数本持っていくのは何故なのか、食料は沢山あるのに、プロテインを持っていくのは何故なのか、迷彩柄の服を着るのは何から隠れたいのか…それは男の性なのかもしれない…
この後駐屯地に行き戦う予定があるかは謎だが、武器を調達したのは当然の成り行きだった(マシンガン+弾薬)
この時既に夜だったが、帰りにスーパーに寄り大量の肉と焼き肉のタレ、米を手に入れる
今夜はバーベキューをする事にした
街灯の灯りの中公園で焚き火台を出しバーベキューの用意をする
火種は仕事の書類や支払いの手紙を家から持ってきていた、ついでに嫌な物を燃やしてやろうと思ったのだが、思いの他風が強く、灰が舞い上がってしまった
その光景を見て
ふと不安に押し潰されそうな気持ちになるが
何か作業をしている事で気を紛らわしていく
そういった点では日常も非日常も大した違いは無いのかもしれない
時々書類などを燃やしながら、炭に火を移していく
飯ごうで米を炊くのも何年振りだろうか?小学校?中学校の林間学校?ちゃんと炊けるだろうか?
そんな事を考えながら、米の炊ける間に肉を焼いていく
肉が焼ける間に椅子に座り辺りを見渡す
ボーっと眺めていると動物だけでなく虫もいないんだなぁと街灯を見て感傷に浸る
この世界はいったい何なのか?焚き火を見ていると今だに、この世界の事が信じられず夢か幻のような気になった
もし、これが夢なら、夢から覚めた俺は良かったと思うのだろうか?それとも、もう少し夢を見させて欲しかったと思ってしまうのだろうか?
飯ごうの米と肉は本当に美味しかった
酒はハイボール
気付けば12時を過ぎていた、この世界の時間にどれほどの価値があるのかは疑問だが何故だか夜遅くになるにつれて焦る気持ちが出てきてしまう、自分という人間はあまり真面目な方では無いと思っていたが、一般的な生活リズムを送りたいと願う程度には根が真面目らしい
今夜はどこで寝ようか、テントを設営するか?など考えながら
焚き火を見つめ、ただ酒を飲む
結局この日は焚き火台もそのままに車で寝る事にした
4日目
この日は朝から雨
雨音が目覚ましになり、8時頃には目が覚めていた、焚き火台を片付けるか迷ったが、誰に迷惑がかかる訳でも無いだろう、晴れたらまた戻って来ようと、その場を後にする
とりあえずコンビニに傘と朝飯を調達しに行く
さすがに4日目ともなるとコンビニのお弁当は悪くなっていそうで嫌だったので飲み物と冷凍食品をチンする事した
この日はずっと気になっていた場所に行こうと決めていた、動物園と水族館である
理由は本当に動物がいないかの確認、例外的にライオンだけいました、なんて事になったら間違いなく俺はライオンの餌になってしまうだろう
そういう事を避ける為の情報収集
まずは雨の動物園に傘をさして歩く、やはり動物は一匹もいなかった、一応用心の為持ってきていた銃はただ重いだけだった、普段ならいろいろな動物の鳴き声が響いていたのだろうが、ただただ静まりかえるだけである
これで野生の動物に襲われる心配はしなくていいのだろうか…?
(数発試しに銃を射ってみる、練習が必要そうだが、そもそも銃は必要ないかもしれない)
次に水族館に向かう、道中の道路も車は一台も止まっていない、高速道路もスイスイと進む
この事から何かしらの大災害が起きて一晩で人がいなくなったとはやはり考えにくい気がした
もしそうなら、路肩なりに車が止まっててもいい気がする
やっぱり、この世界は元いた世界とそっくりな異世界なのだろうか?その位飛躍した説でないと、人間も動物も虫もいないのに、電気ガス水道や食べ物、お店がある、この違和感だらけの世界に説明がつかない気がする
ふと、この日記を書いていて子供の頃知ったパラレルワールドの話を思い出した、うろ覚えだが世界の多数の人がニュースで流れた事を別の内容で覚えていて、テレビ局に問い合わせが殺到したとかなんとか
その時の俺はみんな知らない間にパラレルワールドから来ていたなら、元々人が住んでいた世界は誰もいなくなってしまうのだろうか?などと妄想を膨らませて考えていた
もしかしたら、俺が異世界に来たのではなく、世界が俺1人残してみんなは別のパラレルワールドに行ってしまったのか?
腑に落ちない点は多々あるが、今この状況を全て俺のちっぽけな脳で理解する事は到底叶わなそうだ、神は信じないが神隠しにあって、全ては神の気まぐれでしたと言われた方がまだ納得できそうだ。
話を戻して水族館
多少期待はしていたのだが、その期待は裏切られてしまう、当然というのか、魚はおろか、カニやヒトデ、ペンギン、イルカとあらゆる生き物は消えていた、空の水槽が並ぶ、何も見る物がない水族館は15分ほど歩くだけで一周できてしまった
水族館から出た俺は傘をさしながらベンチに腰かけ、自販機で買ったコーンポタージュ片手に広大な海を眺めていた(コーヒーは苦手)
見渡す限り広がる海
おそらくこの海にも生き物は一匹としていないのだろう…
魚がいるなら釣りをしてみたかったのだが
ただ漠然と海を眺めていた
しばらくして立ち上がると、とぼとぼと車に向かう
水族館に来たからなのか、海を見たからなのか、せっかくなので寿司が食べたくなる
しかし、電気が通っているといっても生魚は大丈夫なのか、一抹の不安を胸に、目についた回転寿司屋へ
この時の違和感、異質さは特に印象に残っている
店に入ると寿司がレーンを回っていた、回転寿司屋なのだから当たり前なのだが、不思議な事に寿司はつい先程握ったかのように、脂が乗り新鮮だった
もしかしたら人がいるのかと思い厨房を覗いたほどだ
そしてテーブルには熱々のお茶が用意されていた、おしぼりもまだ熱を持っている
正直鳥肌がたった
ほんの数秒前まで人がいたと錯覚できるほど生々しい光景
誰もいないのに俺は監視されているのだろうか
視線も感じないのに監視されているのだろうか
今までとはどこか違う圧倒的な人の気配
人がいないのに人の気配がするとはおかしな話だ
違和感と言う事なら、この世界自体が違和感の塊なのだ、もしかしたら俺はこの世界に少し慣れてきてしまっていたのかもしれない、まだこの世界の事を何も知らないのに
続きは明日以降にしよう
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