第3話「これでわたしを養っていけますね?」


マッサージタイムも終わり、結花ゆかの部屋を出て、そろそろさすがにお暇させてもらおうと、玄関までやって来たときのこと。


ポケットの中にあるスマホが突然、鳴った。画面を見てみると、最近、面接を受けた企業の人事担当からの電話だった。


どうやら最終面接の結果報告のようである。

俺はどきりとして、思わず身構えた。


その結果――。


「内々定もらえたよ!」


俺は一番に、その朗報を結花に告げた。


「えっ、ホントですか! すごい! おめでとうございます!」


俺の目の前で、結花が手を叩いて喜んでくれている。まるで自分のこととでも言わんばかりに。


「これでわたしを養っていけますね?」


小悪魔ボイスでそんなことを言う結花である。


「冗談はよしてくれ」

「冗談じゃないですよ。だってわたし、しゅーくんのことが大好きだから!」

「はいはい。お前は大人をからかうのが得意だな。じゃあな。今度からは家を出るときはちゃんと天気予報確認するんだぞ?」


そう言って、玄関を出て、足を進めようとしたとき。


「――待って!」


背後から、結花の叫ぶ声がした。


「その……またうちに来てくれますか?」


上目遣いで不安げに俺を見上げる結花。


「……うん、来たい。その代わり、またリアルASMRしてくれよ?」


そう言うと、結花は俺の顔をじーっと見つめて、


「もちろんいいですけど――」

「けど?」


「他の女に浮気したら許しませんよ?」


そう言って、くすくすと笑うのだった。


こんな風にして過ごした一日が、俺と結花の出会いの日だった。



◇◇


ここまでお読みいただきありがとうございました。本作品は短編であり、これで完結となります。


シチュエーションが好き、結花が可愛いと思えた方は、★いただけると幸いです!

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大雨の中、ずぶ濡れになっている美少女を傘に入れたあげたその日、俺は彼女にひざ枕されている【短編】 BIG納言 @lambda2139

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