悲しみと優しさに心が洗われます。粋にしてヒューマンな猪口礼湯遊女譚。

  江戸の何処かの岡場所で 格子はさんで客を呼ぶ 女郎はどこからきたものぞ

  白粉つけて狐憑き 提灯掲げて太鼓持ち なじみがつけばもうけもの 苦界も渡海も金次第

  やれ吉原じゃというけれど 川越えずとも丘がある 岡目八目世の常

  チャンチキ チャンチキ チャンチキチ チャンチャンチキチ チャンチキチ……

  暮れゆくお江戸に花が咲き やがて朝にはつゆ落ちる 色はにおえど散りぬるを 諸行無常が人の夜か

~以上、本篇より~