第4話 はじめての戦い

ここで状況を整理しよう。


軍人狩人の姉妹と最強軍事国家スパルタの最強部隊『無敵軍隊』の元殿との戦いに割って入った俺。


 しかし!俺にはエロスキルしかない!


 どうしよう……。


「なんだぁ、テメー」


 軍人狩人の姉妹の姉の方がガンをつける。


「名前は?」


 俺の言に


「素人かぁ?魔術師が素直に本名言うか?」


 姉がせせら笑う。


「まあ、いいぜ魔法名は教えてやるザラスシュトラ・ウィーラーフだ。でこっちは妹のザラスシュトラ・アルダー」


 姉もといウィーラーフは妹もといアルダーを指差す。


「で素人丸出しの時間稼ぎをしたってことは精神制御による儀式を行ったってことだな、当然ペルシア型のサーサーン系の魔道司祭マゴスである私たちが使う術式から逆算してペルシア型アケメネス系か、そのヘレニズム変換を使うな、そこから推測するにアジ・ダハーの魔術を使うかな?」



「何の話だ?」


 俺はキョトンとする。


「まさかのヘブライニズムの魔術か?確かにセフィーロト生命の木は汎用性の高い象徴体系シンボリック・ラチオだが魔道司祭マゴスを討ち滅ぼすほどのモノじゃないぞ」


 ひょっとして、俺はとんでもねぇ厨二世界に放り込まれた?


「象徴言語、元素変換、略式儀式なし、前もって準備した形跡もなし……まさかまさか、何の予備知識なしに正義の味方気取った雑魚かよ!」


ウィーラーフはアルダーに何か指示する。


束縛せよبستن


 アルダーのその言葉と共に


 俺(ついでにウェヌス)は拘束される。


 「さて、人質だ」


 ウィーラーフはそう言うと


 「見ず知らずの人質に臆するとでも?」


 鎧ちゃんは言う。


「えー、そこは臆してよ」


 俺の言葉空しく、元殿様がすなわち鎧ちゃんがウィーラーフに切りかかろうとすると


「お止めなさい」


 なんか声が聞こえた。


 景色が歪むと


 地面に着きそうなほど長い七色の髪。閉じた瞳。透き通るような容姿にスレンダーだか女性的な体つきの少女が現れた。


「狙いは私でしょう?」


 少女は言う。


「その通りだぜ、デルポイの巫女シビュラ、カサンドラ様」


 ウィーラーフはニヤリと笑う。


「私以外は見逃しなさい」


 カサンドラは少し震える声でそう言うと


「いえ、私はお供いたします。それが仕事ですから」


 鎧女がそう言う。


「レオニダス……ありがとう」


 カサンドラは少し泣く。


「じゃあ話しは纏まったな我が祖国ペルシア帝国に向かうぞ」


 あれ、俺。完全なる邪魔しただけじゃね?

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