第3話
国立国教騎士学園の入学試験は全部で3つ。
筆記試験、魔法試験、物理試験。
合否をこれらの合計点で合格か不合格かを決めるのだ。
合格できるのはたったの上位120名だけだ。
しかし、受験者は約3000名にも登るのだ。
かなり狭き門であることがわかるだろう。
さすがは世界最高峰の学園なだけあって希望者の数がすごい。
というか、3000人ってことはかなりの数の平民や他国の人間がいるんだな。確か僕と同い年の貴族の子供の数は100行くか行かないかくらいだったと思うけど。
この学園がすごいってことは知っていたが、ここまでのものだったとは。
僕らはまずは筆記試験のために教室に連れて行かれた。
そして、何故か僕が案内された教室は僕一人しかいなかった。
あっれれぇ〜?おっかしいぞぉ?
なんでぇ?
他の教室には教室がいっぱいになるくらいの人がいるのになんで僕だけ一人なの?
いや、なんでぇ?
僕が首を傾げながら教室で一人悲しく待っていると一人の老人が教室に入ってくる。
その老人と出会ったことはないが、その風貌には見覚えがあった。
なんで学園長が?
その老人は間違いなくこの学園の学園長だった。
学園長は仕事で忙しいはず。
学園長には僕らが頼んだ仕事の数々があるはずなのに。
なんでこんなところで試験監督なんかやっているんだ?
お前仕事はどうしたぁ!
僕の疑問をよそに学園長は震える手で僕にテスト用紙を渡し、試験の開始を告げる。
僕は自分の疑問を隅に追いやりテストに取り組んだ。
後で絶対に問い詰めるように指示出しとこ。
爺ちゃんも流石に指示を出すことくらいは許してくれるでしょう。
……え?難しくない?
僕はすべてのテストを解き終わり、そう思った。
歴史と地理は理解できる。
歴史も世界トップクラスで詳しい自信があるし、何だったら地理に至っては世界で一番詳しいという自信があった。
しかし、他の教科が全然わからなかったのだ。
他の教科のほとんどの問題を解くことができなかったのだ。
こんな問題を解ける人が同年代にいるのか。
そう考えると心が震えた。
僕、この学園入って大丈夫かな?
将来結婚してくれる彼女を作る前に授業を理解するのに追われて作る暇なんかないのではないか。
そしたら一体僕はいつになったら学園を去る事ができるのか。
僕はこのまま普通に卒業するまで学園に残り続け、仕事に戻れないのではないか。
そう考えると体が震えた。
そんなこと露知らず学園長は僕に次の試験をやるからと別の会場に移動させた。
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