第42接種「馬娘」
「さ、そうと決まれば王都に行って、悪逆非道の伯爵とか領主とかを
文字通り、
「ってことで、着いた! 王都!」
まるで一行で全ての行程をすっ飛ばして王都に辿り着いたかのようなスピード、思い立ったら即行動ってやる、フットワークが水素ぐらい軽い。こういうやつは、水上置換法で集めるしかなさそうだ。
「って水上置換法ってなんだよ!」
「デル姉、意味不明な突っ込みしてる場合じゃない。ほら、あれ」
――奴隷商ってやつ?
首輪に繋がれた少年少女たち。耳が長かったり、尻尾があったり、どうやら魔族というか、異種族というか、その類のようだ。
「俺が主人公なら、すぐさま助けるんだけどさ、俺、なんかそうするべきじゃないって気がするんだ……」
庵治原はその持ち前の直観力で、すぐさま判断した。
「こいつらを解放したところで、根本的な解決にならない」
ま、それもそうだ。有り金全部はたいてこの奴隷たちを買ったって、また他の奴隷が補充されるだけのことだ。
「庵治原、テメーはどうするんだ?」
「馬を買う」
――馬!?!?
意味が分からない。こいつ、馬なんて手に入れてどうするつもりなんだ。
「馬は馬でも……」
――馬娘だ!
え、馬鹿なの? 死ぬの?
「俺、死ぬ前にウ〇娘のアプリやってたから、どうも恋しくて……」
そうですか、意味が分からないけど、好きにしてくれ。
「えーっと、そうだなあ……せっかく異世界に来たんだし、まだ未実装の馬娘に似てる
そんなことを呟きながら、庵治原は一人、いや一匹の獣人の目の前で足を止めた。
「よろしく、君は今日からこのアジデルパーティの一員、いや
いや、そんな呼び方されたら、あーし、船降りるわ。
「冗談はさておき、君の名前は……今日からザイファだ!」
――よろしく、ザイファ!
金で買ったヒロイン、財ファミリーの略で、ザイファ。
「いや、由来、ひでーな」
そんなこともさておき、あーしと庵治原とザイファは、何の策もなく、王宮の門の前に立っていた。
「こういうのは、サクサクいった方がテンポがいいって称賛されるんだ」
――この王都のボスをぶっ潰す!!
両手をどんどんしながら戦意たっぷりの庵治原。
「今更言うのもアレなんだけどさー、ここ王都ショクフフの王様は一年前に退治されてるんだよね」
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