第3話 サポート
慰めてくれるティナに色々と不満をぶちまけた。
「話、聞いてくれてありがと」
「楽になった?」
「まぁね」
「じゃあ、頑張ってきなさい」
「わかった」
ティナと会話していたら、ある程度は気力 も回復してきた。
なので、今日も戦乙女クランに所属する冒険者として仕事に専念する。クランから脱退するのを諦めたわけではないが、仕事をサボるなんてダメだから。
気持ちを切り替えて、頑張ることにした。
ティナと別れてから、クランのメンバーが集まる談話室に移動する。そこで僕は、ある人物を探していた。
クランの談話室には、これから狩場に向かうのだろう武装して集合するメンバーがいたり、一箇所で集まって楽しそうに談笑しているメンバーがいたりした。
女性なのに素肌を隠さず、全裸に近いような薄着で過ごしているようなメンバーもいる。この拠点には女性しか居ないんだと思いこんでいるから、格好も大胆だった。なるべく、そっちの方に視線を向けないように注意しながら室内を探した。
部屋の端に、目的の人物が居るのを見つけた。
テーブルに1人で座り、真剣な表情で書類を確認している彼女に歩み寄る。そして声をかけた。
「クラシス」
探していたのは、クラシスという名の女性。透き通るように綺麗な白色の長髪に、メガネを掛けた知的な雰囲気を醸し出す美女だ。
そんな彼女に声をかけると、書類から顔を上げる。僕の顔を見て、彼女は少しだけ微笑んだ。可愛い笑顔だ。
「ギル様、お待ちしておりました」
クラシスは、僕が冒険者としてスムーズに活動できるようにサポートをしてくれるパートナーだった。
「本日、戦乙女クランに届けられた依頼はコチラです」
「あぁ、うん。ありがとう」
席から立ち上がって、依頼内容をまとめた書類を渡してくれる。背の高い彼女を、背の低い僕は見上げながら受け取った。
戦乙女クランの中で、僕はかなり背が低い方だからなぁ。仕方ない。
彼女から受け取った書類に目を通す。冒険者ギルドから戦乙女クランに依頼された内容を確認して、どれから片付けようか考える。クラシスが、アドバイスをくれた。
「冒険者ギルドから戦乙女に依頼があったものを緊急度順に並べ替えておきました。最初の方にある書類の依頼から先に処理するように、お願いします」
「なるほど、ありがとう」
見た目からも分かるぐらい、とても真面目な性格をしているクラシス。
彼女は細かな所にまで気を配ってくれて、いつも僕が仕事をしやすいように仕事の環境を整えてくれた。とても頼りになる女性だった。
彼女は実は、前線に立って敵と戦うことが出来るほどの実力者だ。けれど、本人は戦闘に出るのを嫌がっていた。
なのでクラシスは普段、戦乙女クランの運営に関する仕事や、各メンバーの活動をサポートする裏方作業を務めてくれている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます