第3話 なんなの?この感じ?

ラブレター事件から、リコの内側は落ち着かなかった。それをひたすら、隠し、周りは勿論、自分にもわからないように平然を装っていた。


がしかし、次なる事件が起こる。


田中はすっかり人気のある男子になっていた。女子からはかなりモテるようだった。


リコは、田中が気にはなるが、好きとか何とか、、そんなものを感じる余裕もなく、ただ、自分の中にあるわけのわからないものと向きあっては、やたらと緊張する日々だった。。。


担任「この前のテストを返すぞ!」


担任が一人ずつ呼び、授業で行ったテストを返していた。当然ながら、リコも呼ばれ、返してもらう。


リコ(あぁ、、、やっぱりなぁ。。。)


リコのプリントはピンはねがやたらと多く、点数も半分位取れたら良い方だった。


そして、田中と言えば、丸が沢山見えるではないか。リコは感じる。


リコ(得体のしれない男子の方がいいなんて。。。わたしって、一体、、、?)


成績が悪いから、勉強が嫌い。嫌いだからしない。まるで悪循環だった。


だが、リコは運は強烈な物をもっていたのだ。こんな、勉強が嫌いで成績も悪いリコが、近い将来、絶対に無理だと言われた高校に入学するのだから、人生とは、何が起こるかわからない。目には見えない力でも無ければきっと無理に違いない。


担任「はい、最後は、赤木。」


最後の生徒が呼ばれる。ちょっと細身の女子。自分の席から離れ担任の元に向かう途中で、田中にぶつかってしまう。


皆が見ている前で田中と赤木は床に転がり、事もあろうか、田中の身体の上に赤木が乗ってしまう。


そんな、事故とも言える場面。教室中が大騒ぎになる。


「キャーっ!!!」

「おぉーっ!!」


それは、それは、漫画の世界か?とでも言うような場面だった。


目の前で、しかも、かなりの至近距離で、田中の寝転ぶ上に赤木が乗った姿を見たリコ。


赤木が、真っ赤な顔にリコはたじろぐ。一体目の前で、何が起こっているのか、理解するのに時間がかかる。


リコは目をまんまるにし、只その光景を見ていた。それどころか、真っ赤な顔の赤木を見て、思わず(かわいい人だな。)などと、マヌケなリコなのだった。


しかし、時間差で、リコの内側がザワザワと騒ぎ出す。


田中と赤木はとりあえず、席に着くが、騒ぎは中々治まらない。


担任がその騒ぎを落ち着かせ、やっと静かになった頃には、リコの内側はまた、大変な事になっていた。


リコ(な、なんなの?、、もう、、この感覚は。。。)


自分の事なのに自分が全く理解出来ないリコなのであった。


そのまま、その年の一年間は終わっていく。。。


リコは中学2年生になり田中とはクラスが隣同士になる。そして、なぜか、陽も田中と同じクラスになっていた。


このクラスが別になった事が更に、リコを目覚めさせていくのである。


新しくまた友達ができ、平穏に過ごせるようになっていた。


リコ(あぁ、、なんか良い感じ!、、落ちつく。。。)


こんな事を思いながら、過ごす。しかし、それで済むわけがない。


休憩時間になると、廊下に出てトイレや、教室を移動する。と、、、必ずと言っていい程、会うのである。


そう、田中とだ。


勿論、二人が言葉を交わす事など、全くない。しかし、これが、目が必ず合うようになる。


リコ(あ、、、田中だ。。目が合っちゃう。。。嫌だなぁ。。。なんで?、、、なんで、目が合うわけ?)


全くなぜ、目が合うのかが、わからないリコ。。。なぜ?とは、、つまり、リコも相手の田中も見ているからなのだが、、、そんな事にもリコは気が付かない。


そして、もう一人目が合うのが、そう、陽である。彼とも田中同様必ず目が合うのだ。


ただ、リコは二人に対する感覚の違いには気がついていた。


リコ(なんでかな?田中とはまた違う気がする。。。でも、、、な、なぜ?

目が合うわけ?、、、??)


その理由をやっと知ることになるのだ。なぜ?目が合うのか?、、


この感覚は、一体何処から来るものなのか?


答えは意外なヶ所にあったのだった。。。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る