第6話

 数時間後に、チョコとバニラは慌てて帰ってきた。

あまりに楽しくて、あっという間に数時間が経っていたのだ。

今日一日で失った学校生活を全部取り戻せた気がするくらい楽しかった。

けれど、そんな時間、彼らはジャンボのことを後回しにしていた。

どうにかなると思っていた。

だって、今日のジャンボはあんなにも冷静だったから。


 だから、二人で空っぽの四合院を見て、彼らはただ言葉を失った。

一応明かりをつけて、中をさっと見た。

見なくたって、物置なんかにジャンボがいるはずが無い。

消えた。

終わった。



「こうなる気がしてた」



 うつろな声でバニラが言った。

チョコは否定も肯定もできず無言で椅子に腰かけた。

そして、深く頭を抱えた。



「いつか、こんな日が来ると思ってた」

「でも俺たちは、全力で先延ばしにしてきただろ」

「……そうだな。今日までは」



 時計の針がコツコツと鳴る。

楽しかった時間に罪悪感を覚えたくはない。

けれど、二人で遊びに行ったせいで、ジャンボは消えた。


 もう二度と会えないかもしれない。


 そんな時、電話がけたたましく鳴った。

二人は同時に駆け寄って手を伸ばし、結局バニラが出た。

彼の方が対応が上手いからだ。



「はい、はい……」



何かを聞いて青ざめて、バニラは弱々しく頷きながら相槌をした。



「はい……父です」



 チョコはじっと電話が終わるのを待っていた。

耐えるように握った手から、少し血が滲んでいた。

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