10年後 彼女と似た美少女を助けるために……

 俺は、医者になっていたがその道は苦難の連続だった。

 幼馴染みの立花に、勉強を教わりなんとかいい大学に入って、医学部へと入学してそれからも猛勉強して医師免許を取った。



 そして、今は一人の少女を治療するために踏ん張っているところだ。

 名前は、高橋夜桜たかはしよさくら何だか杪夏に似ているがまだ小学生なのでどうも危なっかしい。

 見た目は、本当に杪夏を小さくした感じなんだけどな。

 ベッドの上で今、座っていて笑ってはいるが俺は子供の相手はしない。


「……先生わ……亡くなった杪夏さんの事が、好きなんだよね……」


「……ああ……そうだが」


 高橋の顔は、滅茶苦茶人を笑い者にしようとする笑顔を見せる。

 毎回、この子供におちょくられてはいるので本当に疲れるよまったく……


「……その人……私に似てるっていったから……私も、好きだからみたの」


「……はぁ……違うよ」


 高橋は、ニヤニヤしながらそう言う。

 俺は、別に子供とか好きではないがこう言うやからは本当に苦手だ。

 特に、人の神経逆なでするやつは。


「え~……先生って、ロリコンじゃないの?」


「あのな……別に、お前が好きとか。ロリコンだから、お前を治療しようと思ったわけじゃないぞ」


 本当に、侵害だな。

 俺は、杪夏との約束を果たすために医者をやってんだ。

 好きで、お前みたいな子供の面倒みたいわけではなわ。


「知ってるわよ……杪夏さんとの約束でしょ……ちょっと、からかっただけ……ふふふ」


「……はぁ……」


 何で、こんなマセガキを面倒見てるんだ俺は……

 何だか、悲しくなってきた。


「……だって、この病院で。杪夏中毒なのは、誰もが知ってるもの」


 俺は、勘弁してくれと思った。

 確かに、今でも杪夏を愛し続けてはいるが。

 いちいち、他人とやかく言われる筋合いはない。

 それにだ、広めたのはこの病院の看護師達だぞ。

 何で、俺が悪くないのにこんなに責められなきゃいけないんだ。

 可笑しだろ、絶対に。

 俺は、そう思いながら高橋の病室から出て医療関係者しか入れない部屋に入る。

 そこには、看護師達が井戸端会議をはじめてた。

 コイツらには、後でおきゅうをすえないとな。

 俺の、杪夏のビデオを楽しんでくつろぐ。

 日課の、邪魔をしたのと広めてくれたお礼にね。


「……また、あの杪夏中毒斎藤先生きたよ……クスクス……」


「……本当にね……そう言えば、高橋ちゃんが言ってたんだけど……外出届け出した杪夏さんにストーカーして家に行ったんだって~……」


 アイツ、何てことを言ってくれたんだ。

 それに、説明しただろう。

 あれは、杪夏が突然いなくなったから心配で言ったって。

 高橋は、マジで嫌いだわ。

 何で、俺に対してそんないつも人に嫌われるように脚色して言うのだろうか。

 これでは、医者としてのメンツも丸つぶれだし、何より看護師達になめられるがいたたまれない……

 まあ、高橋の俺に対する態度は諦めたがな。

 俺は、杪夏が写っているビデオカメラを再生して杪夏の愛の精分を注入する。

 だが、それを見ていた看護師達はまたあられもない噂を立てようとした。


「……本当に……あの、杪夏中毒行為辞めたらカッコいいのにね~……」


「本当に……ストーカーだったんじゃない……もう、変態のいきだわあれは……顔は悪くないし、性格もいいのに残念よね……」


 何で、こんなに言われなきゃいけないんだよ。

 休憩中の、娯楽だぞ。

 別に、好きな事をやって何が悪いんだよ。

 それに、大丈夫だ。

 お前らのような、気品のかけらもない奴らはこっちからお断りだから。



 その後、休憩は終わり。

 俺は、医師会の奴らが集まると言う会議にいく。

 それは、あの高橋と言う子供の事での会議だか行きたくなくてもいかなきゃならない。

 やむを得ず、沢山の偉いじいさんが行く会議に俺も参加する。

 そこでは、高橋がもう無理だの。

 治せないから、他をあたってくれだの言われていた。

 俺は、意を決して高橋の病気は俺が治すと言った。

 この行為は、決して高橋が好きだからとかではなく、杪夏と同じ病気にかかっていたからほっとけなかった。

 それと、杪夏との子供達を病気から救うといった約束もあるしな。

 それからも、揉めて結局誰も責任をとりたくないから押し付けあいばかりで一向に高橋の病気を治療するものはいない。

 それどころか、自分らの病院の存続のことやら自分の立場が危うくなるのを恐れて。

 誰も、したがらなかった。


「……私が受けます!」


「……ちょっと……斎藤くん」


 俺と、病院の医院長は揉めたがそれでも高橋のことはほっとけなかった。

 そのため、病院をクビとなり何処か雇ってくれないか探したが、高橋のことを出すとうちじゃ面倒みきれないからと断られた。

 そこで、二階堂のところへ行くことにするも居場所が分からない。

 それも、二階堂は杪夏の事件の後色々と根回していたり、腕が悪かったのがバレて医者としてやっていくのを諦めたらしい。

 しかも、マスコミに散々叩かれて。

 プライドと自信を亡くしてしまい、今は一人で慎ましく暮らしてるそうだ……

 俺は、色々二階堂が何処にいるのかを探したが一向にその手掛かりは見付からない。

 別に、二階堂が好きだとか会いたいわけではない。

 二階堂は、医師会に対して顔が聞くから仕方なくだ。 

 決して、大好きとか尊敬してるとかではない。



 その後、杪夏の父親から電話で山奥に住んでいる事を知り、必死にその場所で聞き込みをしてやっと二階堂の元にたどり着いた。

 インターホンをならすと、ヨボヨボな二階堂が出てきた。

 俺は、正直驚いた。

 だって、あの二階堂が明らかに暗い顔をして出てきたから、これは現実なのかと疑った。


「……ああ……きみか……」


「……二階堂……あんた……」


 二階堂の、想像以上の落ち込みっぷりは見ててこれがあの二階堂なのかとすら思う。

 家は、ボロボロでもう崩れそうなくらいのところだった。

 二階堂の、家の中まで案内してもらったが全体的に暗いしジメジメしてる。


「……で……ようがあってきたのだろ……」


「……要件だけ先に言わせてもらいます……あなた、もう一度病院に戻ってくれませんか! 後私はこの子を治すために手術する場所が必要です! お願いします!」

 

 俺は、高橋を連れてきていたので見せてなんとか治療できる場所を提供してもらおうとおもったが。

 二階堂は、呆れていてため息をつく。

 諦めろと言わんはがりか、ついには説教をし始める。


「……はぁ……それは無理だな……もう、私は手術なぞ出来ん……それに、君のことだからどうせその子も……杪夏ちゃんのように、誰も治せないと言われて。今度は、自分で手術するから大丈夫だと思ってるのだろ? 本当に、相変わらず君は甘いな……」


 二階堂は、俺を現実も見ない未熟な子供だと思ってるのだろう。

 全く、聞く耳をもたず。

 適当にあしらっていた。

 俺は、ここで引けなかったのでとりあえず杪夏を治すと約束を破った話を材料に脅す。


「あんたは言ったよな! 杪夏を治すって! 結局出来なかったよな! だから、その償いをしろ! 今から! あんたは、天才なんだろ! だったら、俺に協力しろ! それで、俺がこの子を治したら。あんたに、名誉をくれてやる!」


「今更……無理に決まってるだろ……それにだ……君のような、未熟な医者が。その子の難しい病気を治せるはずない!」



 俺は、二階堂を睨み付けて約束する。


「治してみせる! 絶対に! 今度は、この子を!!」


 

 俺は、あれからも何度も頼みこみやっと前の病院を開業してくれた。

 そこでは、二階堂は医院長になり。

 色々パイプがあったため、医療道具を揃える事ができた。


「やった! これで、高橋の病気を治療できる!」


 だが、高橋本人は気にくわなかったのか。

 ずっと、愚痴や文句を垂れていた。


「……なんかぼろいよここ……先生……」


「仕方ないだろ。ここでしか、お前を見てやれないんだからな! それに、ほとんどの病院から。お前の手術をすると言ったら、断られたしな」


 そこは、文字通り俺が入院していた場所だった。

 思い出の場所で、懐かしく感じる。

 そんな、事を思ってると誰かの声が聞こえた。


「……斎藤君……好きよ……」


 声は、何故か高橋から聞こえていた。


「杪夏なのか! お前!!」


「先生なに言ってんの?」


 俺は、高橋の肩を掴んでいた。

  いつの間にか……


「お前って……もしかして! 杪夏の生まれ代わりか!」


「先生……本当に大丈夫? 疲れてるんじゃない?」


 俺は、気のせいなのかと思って頭を抱える。

 高橋も、心配そうに見てる。


「ありがとう……約束守ってくれて……」


 そこには、紛れもなく杪夏がいた。

 格好こそ、高橋だったが顔とかは杪夏だった。

 俺は、杪夏に誓った。 

 絶対に、高橋夜桜の病気を治してみせると……

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僕の初恋は夏と共に終わりその少女ははかなく美しい 黒金 影輝 @voltage

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