28日目 負けヒロインな幼馴染みとメインの美少女ヒロイン
俺は、杪夏と共に起きた。
まさに、体が繋がってるように同時に行動した。
杪夏は、笑顔で何だか久々に癒されたと思う。
この病院は、大人の汚い事情がまざりあっていて雰囲気が悪いが、杪夏がいるとそんなふうに感じなくなる。
風が吹き、窓のカーテンがそれによってなびく。
杪夏の美しく黒い、絹のような髪も風で動く。
その為、杪夏は髪をかきあげるが何処か色っぽく見えた。
俺は、そんな杪夏に見とれてしまう。
絵になる杪夏、と言うか一生飾っておきたいほど見ていた。
俺は、ちょっと照れながらも杪夏のそんな姿を凝視して興奮する。
「……どうしたの?」
杪夏は、俺のベッドにきて自分の体をくっつけてきた。
胸が当たっていたので、俺は何だかいつもより顔を赤くして杪夏を直視できない。
「いや……胸当たってんだけど……」
「いやなの……私のおっぱい」
正直嫌ではないし、嬉しかったが。
それより、何だか反応に困る。
思春期だから、スケベな気持ちにならないかと言われれば嘘だが。
こう、触れていたると自然とそんないかがわしい気持ちにはならない。
むしろ、緊張が走りすぎてそんな言葉全く考えられない。
「……好きよ……創……」
杪夏は、ずっと潤んだ瞳でこっちを見てくるもんだから、俺は体温が上がり呼吸が荒くなる。
「もちろん……俺も好きだよ……杪夏」
俺と杪夏は、ともに抱き締めながらお互いの愛を感じていた。
杪夏は、柔らかくていい匂いがする。
その後、体をはなして抱き締めるのを止めた。
杪夏の顔を見てると、寂しさ悲しみがある。
汚い世界にいることも、忘れられた……
俺は、やはり幸せ者なのかもしれない。
見つめあっていると、朝食の時間になり。
看護師達が部屋にやってきた。
ずっとこちらを見ていて、看護師のおばさんは微笑ましくしており、看護師のお姉さんはなんだか怒っていて機嫌が悪いようだ。
「いつまで! 己らは! イチャイチャしてるんだ!! ちゃんとそれよりご飯食べなさいよ!!」
そう、言いながら看護師のお姉さんは運んできた食事を俺と杪夏の机にのせる。
「あらま~若いっていいわね~」
看護師のおばさんは、両手を頬にあててどっかの近所のおばさんのように言う。
だが、俺と杪夏はお互いの顔を見つめるのを止めない。
「……杪夏……愛してる」
「……私も好きよ」
そんな光景見て、看護師にお姉さんは顔を赤くして眉間にシワを寄せて怒る。
その表情は、鬼のようになっていた。
俺は、だからあなたはモテないんだよと思った。
「何か、失礼なこと思ったでしょ!」
「……いえ……なにも……」
俺を凝視してくる。
看護師のお姉さんは、相変わらず怖い顔をしていた。
「さっさと食べろや! 病院でイチャイチャすんなや! うらやま……じゃなかった。食べなきゃ体くずすわよ! また!」
「まあまあ……」
どうにか看護師のおばさんは、看護師のお姉さんを諭していた。
看護師のお姉さんは、ぶちギレいて俺と杪夏を見ながら顔から煙がでるくらいにはイライラしてる。
「羨ましからって……お姉さんは、本当に大人げないですね」
俺は、更に看護師のお姉さんをあおり。
それとともに、看護師のお姉さんはだんだんと怒りのボルテージをあげる。
そして、杪夏が俺に食事を食べさてくれた。
俺も、負けじと杪夏に食事を与える。
「創あ~ん」
「杪夏も、あ~ん」
すかさず、看護師のおばさんは突っ込みを入れる。
「どっちも同じ食べ物だよ! それやっても意味ないからね!!」
そんな事をやっていると、立花が見舞いにやってきていた。
俺と杪夏のイチャイチャ具合に、立花ももちろん怒りをあらわにして、ずっと眉間にシワを寄せながら睨んでくる。
「ちょっと! あんたら! 朝っぱらから、イチャイチャしてんじゃないわよ! それに、私がわざわざ見舞いにきってやったのに。何で、こんなもん見せられきゃいけないの! 拷問きわまりないわー!!」
「だったら、帰ればいいだろ?」
俺は、看護師のお姉さんに煽ったように立花にもしてしまう。
「止めてあげて……立花さんは、私達のラブラブっぷりが羨ましいのよ……ふふふ……」
「なんですって! どうせ私への当て付けでしょ! ふざけるんじゃないわよ! まったく!」
立花は、イライラしながら相も変わらずこちらを睨み付けて目を離そうとしない。
「なんで……私が、こんな光景見なきゃいけないのよ! まったく、まったくまったくまったくまったくも~! あんたら! バカなことやってないで、朝食たべなさいよ!」
立花は、じたんだを踏み顔が赤くなっていた。
どうやら、俺と杪夏が本当は羨ましいらしい。
「……ごめんね……ちょっといいかな……」
看護師のおばさんは、深刻そうにそう言った。
どうやら、看護師のお姉さんもおばさんが話したいことをしってるようで、同じ表情になり雰囲気は暗くなる。
「なんですか……」
杪夏も、俺と一緒にイチャイチャするのを止めた。
流石に、この状態では俺も杪夏を愛でる行為はできない。
「……また……あなたの友達が死んじゃったの……ごめんなさい……」
杪夏は、涙を流して看護師のおばさんに誰が死んだのか聞く。
その杪夏の表情は、さっきと違って目の光がなくなる。
まさに、その姿は絶望てきだと言える。
「誰が死んじゃったんですか……」
「……
「……うう……じゅ……ん……うう……こ……ちゃん……」
杪夏は、魂を失ったかようになっており。
誰の声も、耳には届かなくなっていた。
「私はもう……一人ぼっち……うう……」
俺は、気付いていた。
けど、杪夏には言えなかった……
だって、杪夏が悲しむ顔は見たくなかったから……
これ以上……
俺には、何も出来ないかもしれない。
「もう……私には何もないんだわ……」
杪夏は、涙を流しながら悲痛な叫びをする。
だけど、それは誰にも届かない。
「あと……いいかな、杪夏ちゃん」
看護師のおばさんは、杪夏にまだ言いたいことがあるらしい。
杪夏も、何とか正気を保ちつつ聞いている。
「二階堂先生が……今度、杪夏ちゃんを手術するの……」
それは、まさに死刑宣告のようなものだった。
あの、二階堂がまた杪夏に手術をすれば失敗する。
この病院で、立花以外の者は分かっていた。
それが、どういう意味のものか。
「私……もうだめだわ……うう……もうおしまいよ……」
杪夏は、泣いて正気を失い。
目に一切光がなく、感情がなくなってしまった。
「おい! 杪夏! しっかりしろ!」
俺の、言葉にも耳を傾けてはくれない。
他の人は、そんな俺と杪夏を見ながら。
気まずそうに、顔がうつむいていて暗くなっていた……
だが、立花だけは違った。
俺と杪夏を見て、立花は泣きながら杪夏にビンタをする。
「……!」
「あんた、ふさげるんじゃないわよ!!」
立花以外のもの達は、皆驚いて言葉もでなかった。
「何が終わりよ! あんたには、創がついてるじゃない! 一人ぼっちじゃないわよ!」
「そんな……言い方ないじゃないか」
立花は、俺を睨み付け黙らせる。
「あんたは黙ってなさい」
「……はい」
俺は、立花の真剣な表情といつもと違う雰囲気にやられた。
「それに……あんたは! 私がほしいもの全部もってる! 創の愛や! 創といた大切な思い出! 私は、あんたの物がほしくてたまらない!! だけど……うう……私は、それが手に入らない! わかる!? 私の悔しいのが! ほしくてほしくてたまらないのよ……うう……本当は、創に愛されたくて。でも……それは叶わない……あんたは、そんないいもの貰ったのよ! だから……もっと幸せそうにしなさいよ!」
俺は、改めて立花の気持ちを知った。
こんなに、俺といたくて好きでたまらないことを……
「どんなに願っても……私の夢は叶わない……だけど! 私は! 創に幸せになってほしいから! もちろん、あなたもよ! 四季杪夏さん! あなたしか、創を幸せに出来ないの……うう……私じゃなくて! あなたしか! 悔しい! 悔しくて悔しくてしょうがないのよ……だから! そんな顔して……創といるんじゃないわよ!」
「……うう……分かったわ」
立花は、何とか杪夏を説得して正気に戻してくれた。
「それに……病気なんかに負けたら……許さないから! 一生恨んでやる。だから! 四季さん! あなたは、病気に勝たなきゃいけないの!……うう……どんなに辛くても……絶対に勝ちなさい! それで、創と結婚して。
私は、絶対に創よりいい人と結婚するんだがら!……うう……そして、幸せになってやるんだから!」
「……うう……分かったわ……うう……あなたの気持ち……」
俺は、今まで立花を誤解していたようだ……
それに、友情と言うものも。
俺は、二階堂が言ったように世界のことなんて何もわかってないよな。
「そこも! 創! ちゃんとしなさいよ! ちゃんと! じゃなければ、四季さんも安心出来ないじゃないの! あんたは、彼氏なのよ!」
「……ああ……するよ」
立花は、何度も杪夏と俺に説教してきた。
だけど、それは二階堂のような薄汚れた現実を見せるものじゃない。
本当に、励ましてことにあたる為の言葉だった。
後ろから、そっと手で押して前へ進ませてくれるような……
立花は、その後病室からでるときなんか言っていた。
まあ、立花は気付かれてないと思って言っていた。
「……私負けないわ……創より、いい人見付けて幸せになってやる……四季さんより」
「……ああ……お前なら……いい人見付かるよ……」
立花は、聞こえていたのかは知らないが。
俺は、立花の決断聞き逃すことはなかった。
結構、小さい声で言ってはいたが……
俺はその後、杪夏を抱き締めながら絶対に離れないと誓う。
そして、すぐライムが届いてきて。
メッセージで、立花の私は幸せになるからあんたらもなりなさいと言う言葉つづられていた。
「私のところには……友達だって……私の友達なら負けるなって届いてた……」
どうやら、杪夏のライムのアカウントを知っていたらしい。
まあ、母親がおしえたんだと思う。
それより、杪夏に友達が出来たんだな……
それも、本当に杪夏の事を思ってくれる友達が。
そして、夜なるも俺と杪夏が写っている写真を俺のスマホでとり送信した。
立花に、俺らは一生離れないくらいラブラブだから安心しろとメッセージを送る。
すると、立花はイチャイチャしてバカやってないで寝なさい。
本当に、ムカつくわねと送ってきた。
その後、杪夏と俺はお互いの顔を見つめあいながら寝た……
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