26日目 消えてしまった美少女と今までの思い出

 俺は、いつもより遅く起きた。

 なんと、時刻は12時すぎで杪夏のベッドの方を見たら居なくなっていた。

 あれ、なんでいないんだ。

 かなり、杪夏は病気が重症で外にであることは一人では困難なはずだ。


「やっと起きた! もう昼よ! 起きて!!」


 看護師のお姉さんがどうやら、起こしてくれたようだ。

 俺は、起きるのが遅かったらしい。

 何となく、まだ眠いような気がしてならない。

 何だか、静かで余計に寂しい雰囲気をしている病院の部屋はいつもより暗い。

 風が吹いて、部屋全体に広がりより一層孤独を感じる。

 杪夏が、居ない今は俺は一人なんだと実感する。

 愛しくてしょうがない、自分の大好きな杪夏は居ない、何処に行ったのかもわからない。

 耐えられない……

 杪夏が、居ない生活なんて考えてなかったんだな……

 俺は……


「……うう……杪夏……」


 俺は、泣いていた。

 杪夏のことを、思いながら……

 それは、自分が悲しくて泣いてるわけではない。

 杪夏が、今までこんな孤独と戦ってきたと思うと辛くて苦しくて、誰にも構って貰えず誰にも優しくして貰えない。

 その、悲しみを嘆く俺を見ても看護師達は何も言わない。

 何かを、隠しているような気がするが問い詰める材料はない。

 そして、信用に足る証拠もちろんない……

 そんなやるせない、どうにも出来ない事を気持ちが俺を襲い心を痛め付ける。

 どうしたんだ俺は……

 やはり、杪夏がそばに居ないと耐えられない。

 俺はどうきが激しくなり、更に気分も悪くなる。


「……はぉはぁ……」


 何だか、息がしづらいのと寒気を感じる。

 風邪なのか、それともなんかの病気なのかは医療に携わってない俺には分かるわけないと思う。

 だけど、ただ一つだけはわかることがある。

 杪夏が居ないとやはり、俺はダメになってしまうらしい。

 看護師達は、そんな俺を見てか心配していた。


「大丈夫! ねぇ!! しっかりしてよ! 意識ある!」


 そんな呼びかけに、答える気力もない俺は……

 何となく、杪夏と今まであってやってきた事を思い出す。

 最初あったときは、何も喋らなかったたんだよな。

 そして、杪夏の父親とあって口論してやっと思いでどうにか説得出来た。

 その後は、俺の同級生と幼馴染みがきたこともあったな。

 同級生の男子どもは、杪夏を見たくてきてずっと可愛いと言っていて。

 下心丸出しで、どうしようなスケベだったな。

 結局、杪夏が怒って帰ってしまったけど……

 何故か、俺の幼馴染みの立花は残っていて杪夏を敵視していたっけ……

 その翌日は、杪夏と立花が俺の事で揉めってたっけか。

 実は、その前から立花は俺の事が好きでしかも俺はその好意に気付かなかった。

 立花は、俺が中学生の時の助けてくれた事を覚えていて。

 いまだに、それを思ってると言う。

 何だか、立花もずいぶん純粋だよな。

 それから、猫を探したこともあったけ……

 あの時は、必死になってかこけずりまわって探したっけ……

 その後、猫は新しい飼い主に引き取られたな。

 それから、雷に打たれて病気が治ったって聞いて、杪夏を止めたっけか……

 あのときの、杪夏は様子が可笑しかった。

 だから、何とか杪夏を正気に戻す為に屋上で説得したな。

 俺は、杪夏に一緒にいてやる。

 どんな事があってもと、言って熱く語ったたっけ……

 始めて、キッスされたのもこの時だ。

 それから、肝試しに霊安室にいる少年を見ようとして、本物の幽霊の少年にあって。

 二階堂のことを、初めて知って俺は怒りを覚えたな……

 何で、こんな医者が人を手術していいのかは今も分からないし。

 それから、杪夏の父親が占い師に騙されて。

 それを、説得して。

 結局詐欺師で、捕まえて本物の占い師がきたと思ったら、杪夏が死に俺が医者になるとか言われて。

 明らかに、また嘘だとあの時は思っていたけど、案外当たってるかもな……

 それから、二階堂に初めてあって怒りをぶつけて口論したっけ。

 結局、俺が杪夏と会ったことは幸せな事で片付けてしまったが。

 二階堂も、辛いのかもしれない。

 それから、看護師のお姉さんと立花と杪夏が俺を取り合って、色々バチバチに女の戦いを繰り広げたこともあったな……

 まあ、俺は杪夏が好きだと初めから言ってるけど、その戦いは自分の言葉では終わらなかった……

 何故か、立花は諦めずにずっと俺に今でもアタックしてくるが。

 それから、沢山の子供達が死んで……

 そして……

 杪夏は……



 俺は、目が覚めたらベッドに酸素マスクをつけられて寝ていた。


「心配したんだから! あんたって子わ!」


 母親は、泣いていた。

 俺は、倒れたのか……


「全く! 私も来たわよ! あんたの事が好きだから……じゃなくて! 四季さんも、心配するでしょ! 創はもう! 仕方がないんだから! 私がついてなきゃダメね!」


 立花も、相変わらずツンデレが直ってないのか。

 キツイ言い方で、バレバレのデレを見せながら来てくれたようだ。


「大丈夫? 体震えてて、何だか顔色悪そうだったから。一応、見てもらったの。二階堂先生に」


 看護師のおばさんは、やはり心配してくれた。

 その中で、一番普通の態度で。


「斎藤くん! まだ、私の結婚式に呼ぶから死なないでよね! 私も、幸せになるから」


 どうやら、看護師のお姉さんも来てくれたようだ。

 まあ、当たり前と言ったら当たり前だが。

 だって、医療関係者だからな……


「大丈夫かい? まあ、私は失敗しないがな!」


 何を、根拠に言ってんだよ。

 この、ダメ医者わ。

 自分が、今までどんだけの人を苦しめたのか分かってんのか。


「……それより……杪夏は……何処へ……」


 看護師のおばさんは、仕方がなく暗い顔で杪夏のいる場所を言う。


「……ごめんね……今まで、黙ってたけど杪夏ちゃん家にいるみたい……一応、昨日許可はしてるから……」


 俺は、安心したのか緊張がとれた。

 もしかしたら、何かが起きたのかかと思った……



 その後、もう一眠りして。

 スマホの画面を見て、ライムを開くと立花がメッセージを送ってきていた。

 立花は、明日病院へ行くから待ってなさいよ。

 今度こそ、創の心を射止めるから。

 べ、べ、べ、別に付き合いたいとか一緒にいたいとかそんなじゃないんだからね。

 本当に、砂岡じゃないな。

 立花は……

 それから、母親は心配させんじゃなわよ等々お叱りの言葉がつづられていた。

 杪夏……

 本当に、大丈夫だろか……

 体の容態わ……

 俺は、杪夏の病気を心配しながら今日は倒れるように寝た……

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