12日目 悲しい少年と美しい少女
俺は、昨日あまり眠れなかったせいか赤くなった目をしながら起きる。
最低で嫌な気分だ。
そう思いながら、杪夏の方を見てみるとどうやら杪夏もあまり眠れなかったのか、目の下にくまができている。
「杪夏さん! 眠れたかい?」
「……別に……昨日と変わらないくらいには快眠よ……」
明らかにウソをついていた。
だって、くまが出来ていて眠れた奴なんていないだろ。
どんだけ、杪夏は意地張ってんだ。
やはり、自分が幽霊の話を聞こうとした事のおとしまいだろうか。
「……それより……今日、幽霊の話をしてくれるのよね……」
「……まあ、そうだけど……」
俺は、少し怖かった。
だって、あの時の話しは本当の事だからな。
実は前に、母親に聞いて知ってるから。
杪夏には、内緒にしているがな。
それにしても、抱きつけるからって怖い話を聞く必要あるのか。
他に方法はなかったのだろうか。
まあ、あの看護師のおばさんが変な事を教えたから信用してやっている。
思っていると、朝食が届く。
その時、看護師のおばさんが運んできたのだが。
悩んでいるようで、深刻な顔をしていた。
「ちょっと……後で、昨日の話するから」
「……はあ……」
俺は、苦笑いをしながらため息つく。
どうも、のるきにならなかった。
幽霊の話でしかも、ここの話だから正直言って聞きたくない。
夜眠れなくなったらどうするんだ。
今日だって、全然寝れなくてキツイいんだから。
止めてほしいわ……
本当に……
黙々と、食べる俺と比べて。
杪夏は、少しずつ時間をかけて食べてる。
いつも思うけど、何で大して旨くもないご飯をそんな真剣に食べれるのか。
俺には分かんないな。
こんな、刑務所の飯の方が旨いであろうご飯に。
何となく、看護師のおばさんは気まずいのか俺と杪夏だけ顔を確認する。
そこまでして、気になるんなら最初からあんな話をするな。
それに、普段から気を付けてくれ。
頼むから。
止めてくれ。
特に、杪夏に何か余計な事を言って吹き込み変な知識を植え付けないでほしい。
正直言って、俺にとっては迷惑でしかない。
これ以上、余計なトラブるだけはお断りだ。
ハーレム漫画的な物じゃないぞ。
人間関係や感情的な物だからな。
むしろ、ハーレムなら喜んで迷惑かけてくれ。
ただ、バチバチした女の戦いみたいなのはお断りだ。
イチャイチャしてくれ。
立花に言いたいな。
アイツは、何かと杪夏に突っ掛かってくるからな。
「話をするわよ……」
もう止めとけよ。
正直言って、俺は聞きたいと思わないし。
杪夏は、何だかそれどころではなく。
覇気がないように見える。
本人は、大丈夫だからと言って聞かないが。
俺は、嫌な予感がしていたので幽霊の話はされたくない。
それに、こう言う事に関わって良くなることはないだろ。
何か、不良とかがそう言う場所に行って事故などの被害を受けるのは定番だからな。
というか、こんな事を知って呪われたりした場合責任とれないだろ。
この看護師のおばさんわ。
「で……この前の続きだけど……その代わってもらった看護師が帰ってきたんだけど……ずっと、山田たけしと言っていて……私は、調べてみたんだけどどうやら亡くなった子にだったのよ……」
俺は、固まった。
そんな、怖い話させると眠れなくなるだろ。
知っていてやっていると叫びたい。
そんな俺を横目に、杪夏はいつの間にか俺の腕に体引っ付けていた。
「四季さん? 何してんの?」
「怖かったの……いいでしょ……」
いや、絶対に嘘だな。
当の杪夏は、ニコニコしながら俺に身体をくっ付けてきたから。
俺は、体が火照っている。
好きな子の体がくっついていれば、誰でもそうなるよな。
特に、俺は杪夏が初恋の人だからこんな時どうしたらいいか分からないし。
そして、夜になり杪夏に起こされる。
「斎藤君! 一緒に……霊安室に行くわよ……真意を確かめにいくために……」
絶対に違うな。
杪夏は、別に肝試しに行きたい訳でもないし真意を確かめたいわけでもない。
他の理由があって行きたいのであろう。
それに、俺と行く必要はない。
だから、違う理由だと思って聞いてみた。
「他の理由でしょ? 言ってみて」
「……実は……あなたの母親に、ライムで肝試しをすれば……男女の仲が深まると言われて……私……斎藤君と仲良くしたいから……もっと……」
あのババア。
よくも杪夏に、こんな事を教えたな。
絶対に、許さないからなあの空気が読めない母親だけわ。
俺は、仕方なく杪夏が車椅子を用意していたのでそれに乗り。
杪夏に車椅子を押してもらい、その霊安室へと向かう。
「……キャーこわい~……」
そんなわざとらしい、杪夏の怖がる姿と俺に抱きつくところはどうも違和感しかない。
「あの~……四季さん? どうしたの?」
「……こうすると抱き付いていいと、あなたのお母さんに教えて貰ったから……」
あのババア~
ありがとうございます。
そう思い、この時は母親に感謝をした。
何だかかんだ言って、息子の事を考えてるんだなと思った。
「うん? 何かあそこに誰か居ないか?」
俺は、人影が近づくのが見えた。
それは、小さく子供のような姿だ。
気が付くと、そこには泣いている男の子供がいた。
大体、小学生くらいの子だと思う。
「……うぇぇん! お兄ちゃんお姉ちゃん! ぼく迷子になっちゃった! だから一緒に行ってくれる……」
「うん! いいわよ。ところで君は誰なの?」
子供をあやす、杪夏はやはり優しくて美しかった。
だが、可笑しい……
何で、霊安室前に子供が居るんだ……
普通、こんな所にはいるはずないのだが。
「ぼく! 山田たけし!」
「私は、四季杪夏よ……一緒に、病室に行きましょ……」
俺は、疑問に思ったが杪夏が気にしてないのでしょうがなく、迷子の山田たけしの病室に向かう。
確か、つい最近聞いた事がある名前のような。
まあ、別に気にするほどではないだろう。
暫くたち、山田たけしの病室に着くがそこは霊安室でしかも、この前言っていた子供の霊が出ると噂されている場所だった。
「……と言うことわ!? まさか……お前!?」
「……そう……黙ってたんだけど……ぼく……病気で死んじゃったの……」
俺は、嫌な感じがしてならない。
何か、ろくでもない事を言われないかとヒヤヒヤする。
「……その時、治療してくれた医者が
その少年は、自分の霊安室の中に入ってそう言って消えていった。
なるほどな、それを病院の関係者に知ってもらいたくて成仏できなかったのか。
「……ちょっといいかしら……」
「何? 四季さん?」
俺は、杪夏が何かを言いたそうなだったので聞く。
「私がみて貰ったのも……二階堂先生なの……」
「……え?……」
つまり、二階堂と言う男が治療しようとしたから杪夏も病気が治らなかったってことか。
こんな事があるんだな。
俺と杪夏は、自分の病室に戻ってきて眠る。
だが、俺は二階堂と言う男が気になって眠れない。
もしも、そいつの手術の腕をに問題があるとすれば杪夏は体が治って生きられと思うといてもたってもいられない……
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