2日目 彼女の笑顔は女神のよう
あれから杪夏の事を思うとなかなか、休めずにいた。
そんな時だった、杪夏の所を見るとそこには大勢の子供といた。
それは、入院してる子供達で何かしらの病気を抱えている。
「お姉さん! 一緒に遊ぼ!」
「ちょっと待ってね……」
どうやら子供達と折り紙をしながら遊んでいるようだ。
その姿は、まさに女神のようで。
笑顔が光輝く太陽のようだ。
余計に好きなってしまうじゃないか、こんな笑顔はズルい。
初めての恋に戸惑いつつも、杪夏の方を見ると子供達とはもう遊ぶのは終わっていて、子供達は手を振りながら帰る。
「バイバ~イお姉ちゃん」
「バイバイ……」
その後、杪夏は寂しそうに一人ポツンとおり、他には誰も来なかった……
いつもの悲しそうな表情戻ってしまい、何だか胸が痛くなる。
「大丈夫? 四季さん?」
杪夏は、何の反応もなく俯く。
俺はどうにか、彼女の事情を聞こうと奮闘するも、彼女は頑なに言わない……
そんな時、杪夏は俺の手紙に目を向ける。
そこには、応援のメッセージやら皆の励ましの言葉書いてある。
「あなたは良いわよね……心配してくれる人が居て……」
その台詞は、やはり悲しく聞こえた。
それも、長年誰からも相手にされずにいた杪夏だからこそ、俺の事が羨ましく思えるのは納得いく。
これは決して、盗聴したとか盗み聞きしたのではなく、あの看護師が聞かれてないのに言っていのだ。
それに、杪夏には嫌われたくないのでそんな事はないしない。
絶対しないぞ。
してないからな。
そんな、誰にも聞かれないであろう事を考えていた。
まあ、結局杪夏に何故誰も見舞いに来ないか聞くんだけどな。
「何でそんな事を言うんだよ? 親とか来ないのか?」
俺も意地悪だと思うが、話が進まないので聞くしかない。
よくよく考えたら、そこまで困る事は聞いてないと思うし、何で杪夏は悩んで黙って答えないのか分からない。
先程から、1時間位黙って何も言わない。
いやいや……何でここまで簡単な質問に答えられないんだ。
可笑しいだろ……
そりゃあ、プライベートな事を聞いてきたとき答えたくないのは分かるよ。
だけどな。
ほとんどの人が答えられる事を言っただけだぞ。
もしかしたら、家庭の事情がかなりヤバイ人も要るには要るが、そんなのまれでほとんどないしな。
暫くたって親が見舞いに来た。
「創! 来たわよ!」
見舞いの品を持ちながら入ってきた母親は、ニコニコしていてとても不謹慎である。
「何で、母さん笑ってるんだよ……俺怪我して、サッカー出来ないのに……」
この母親は……
子供ながら、クソみたいな態度を取るのを見て何でこんな空気読めないんだよと思う。
「あら~よろしくね~杪夏ちゃんって言うのよね~」
「初めまして……四季杪夏と言います……」
本当に、この母親だけはマジで来て欲しくない……
杪夏が、何か余計に心を閉ざしたのは母親のせいではないよな。
そうだったら、一生俺は親の事を恨むけどな。
絶対に……許さない……許さないぞ。
そう誓う俺とは対照的に、母親は平気な顔をしてまさに思春期の子供に取って、最悪な親には変わりない。
この親は、息子の幸せをぶっ壊すと言う行為を平然とする毒親だと思う。
そんな俺の思いとは裏腹に、母親はあの看護師と同じ行いをする。
息子としては、マジで恥ずかしいから止めてくれ。
「所で……創……知ってた? あの子、大企業のシキの社長さんの娘さんらしいのよ……だけど、病気なってもう生きれないと知ってから。親は見舞いにも一度も来てないらしいのよ……絶対に秘密にしてね……特に、あの子には」
よく本人の目の前で言えるよ……
まあ、俺の耳元で話して居たが……
バレるだろ、普通に。
そう思って杪夏の方を見ると、更に表情は暗くなり俯いて何も言わない。
ふざけるなよ、ババア。
余計に、杪夏が心を閉ざして何も言わないようになっちっまったじゃないか。
どうするんだよこの空気。
「良いわよ……別に……気にしてないわ……」
いや……
絶対に気にしてるだろ。
全くこのババアは、どうしもないな。
そもそも、ババアの声はデカイから聞こえるわ。
それに、この状況ならどういう事を言うか位誰でも分かるわ。
何で、母親はこんなに人の気持ちに鈍感なんだよ。
本当に、最悪な親だな。
「話すわ……もう、あなたも分かってるもの……」
仕方なく、杪夏は自分の生い立ちや何で病院に居るのかも、いつも一人で居ることも話してくれた。
どうやら、厳しい親に育てられたようで元々は家を継ぐために、勉強や習い事をしていたようだ。
杪夏は、そつなくそれをこなしてきて両親共に自慢の娘だったらしい。
だが、ある時病気になりここの医者に見て貰うと8月までしか生きれないと言う事を言われて、それからは両親共に冷たくなり見舞いすら来なくなり、杪夏は寂しく入院生活を送っていた。
しかも、学校に通っている時には勉強やら習い事をしていた為か、友達も居なくて誰も見舞い来ない……
普通の高校生は、友達を作ったり恋愛したり遊んだりするもの。
本当に辛かったのだろう……
だから俺は、杪夏に親の電話番号を聞いてかける。
正直言って、母は何をやってるのこの子はみたいな顔をして、止めようとしたが俺は聞く耳持たなかった。
だって、杪夏は一生懸命頑張って勉強して親の期待に応えたのだ。
なのに、この仕打ちはない。
「あの~四季杪夏さんのお父様かお母様でしょうか?」
「あ~! そうだが……」
如何にも、厳格そうなオヤジが電話に出た。
俺は、どうにか杪夏の見舞いだけには来て貰うように言う。
「あの……娘さんが、寂しそうにしてますので一度だけでも見舞いに来て貰えないでしょうか……」
俺は、丁重に杪夏に見舞いに来て貰えるように説得するが、仕事が忙しいだのそんな暇ないだの言い、何度も拒否する。
「娘に、何を言われたか知れませんが……明日は大事な会議ありますし。それからも予定は入っておりますので、無理です……」
俺は、この他人行儀な態度にカチンときてつい怒鳴ってしまう。
「何を言ってるんだよ! あんたは杪夏の親だろ! 娘が苦しい時に来てやれなくて、それでも親かよ!! 普通、親ってのは子供の心配するものだろ!」
「何だね君は! 他人の癖に、いちいち人の事情に首を突っ込むのを止めたまえ!」
「止めねぇよ……可愛い女の子が困ってるんだ! ここで何もしなかったら、俺は一生後悔するから!」
ずっと杪夏の父親と言い合いになっていた。
だが、俺はこうしなければいけないと思った。
だって、杪夏が悲しむ顔が見たくなかったから……
だから、どうしても引けない。
俺は、何とか杪夏の親に明日見舞いに来るように行った。
母親は、大丈夫かと聞くが俺は別に平気だった。
それから、気まずい空気がながれて察したのか母帰っていき。
なら、いつも察してくれよ思う。
杪夏を見ても、俯いて何も言わない……
明日は杪夏の父親と言い合いになるだろう。
そう思い、この日は1日を終えた……
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