僕の初恋は夏と共に終わりその少女ははかなく美しい

黒金 影輝

1日目 彼女と俺の初めての出会い

 俺、斎藤創さいとうはじめは入院する事になった……

 だが、そんな事を言いたい事ではない。

 夏休みに入って、ほんの10日位に怪我をしてしまったから。

 まあ、入院と言っても。

 夏までなのだが。

 正直最悪だ……

 だって、高校生の夏は滅茶苦茶大切だ。

 遊びに行ったり、部活をやったり。

 それに、女の子との夏祭りを楽しんだりと……やることが多い。

 もちろん、大学に行く為に勉強をしなければならない。

 俺には関係ないけど実際は……

 彼女も居なければ、まともに勉強もするきもない。

 ましてや、部活もサッカーをしていたがもう高二でこんな怪我を夏にしてしまったのだ。

 これでは、どう足掻いても大会には出場する事は出来ない。


 俺は、くちびるを噛みしめ練習の日々を思い出しながら拳を握りしめる。

 怪我がなければ、ひょっとしたらチームを優勝に導くエースストライカーになったかもしれないのに……

 そう思い、自分の包帯グルグル巻きなった右足を見ながら俯く。

 そう思っていた矢先に、隣の敷居のカーテンが風でめくれる。

 すると、そこには一人の女の子が居た。

 初めて見る。

 顔は目がぱっちりしていて、鼻が高く何処かミステリアスな雰囲気を漂わせて、黒い美しい髪が風が吹くので、髪を押さえてかきあげながら本を読んでいる。

 その少女の姿を見た俺は、すぐに好きなり初めて恋を知る。

 生まれて始めてだ……

 同級生の女子を見ても、誰一人好きにならなかったのに何故か彼女だけは見てるとドキドキする。

 可愛いのもあったのだが、その雰囲気その佇まい本を読む姿が俺の好きなアニメヒロインに似ていたから……

 こんな事あるのかと思い、ふけていると風は止みカーテンは閉じて彼女が見えなくなる。

 

 そして、ベテラン看護師の池崎さんが入ってきていつものように、朝食を持ってくる。

 俺が朝を食べていると、聞いてもいないのにペチャクチャと彼女の名前やプライベートな話をしてきた。


「あ~あ、彼女ね~! 名前は、四季杪夏しきびょうかと言うのよ。可哀想に夏までしか生きれないらしいのよ~。お医者さんも言っていたわ。もう手の施しようがないって。それ聞いてね~おばさん本当に心配になっちゃって……」


 本当に、この看護師のおばさんはよく喋るよ。

 この分だと、俺のプライベートがばれるのは時間の問題だな。

 この人にはプライバシーとか、人の気持ちを考えて余計な事を言わないと言う。

 気遣いや、自重すると言う言葉は頭の中にないのかと呆れるばかり。

 だが、これで彼女の事は分かったので。

 正直言って、このおばさんに感謝しなきゃならないな……

 

 「……モグモグ……モグモグ……」


 俺は、おばさんの話をほとんど無視して食べ終える。

 暫くして、看護師のおばさんは出ていって、その隙に俺は四季さんに話しかける。


「君~四季杪夏って言うんだってね……。何か話しない? 何でもいいからさ。 話そ」


 カーテン越しに、俺は必死に話そうとするも彼女は一切なにも言わない。

 何か、俺って気に触る事をしたかな……

 まあ、あのおばさんが人のプライベートをヅケヅケと言うからか……

 だけど、そんな俺の予想ははずれて。

 カーテンは一気にめくれる。


「聞いたでしょ……私は夏までしか生きられないの……だから……あなたも私と関わっても無駄よ……女の子と付き合いたければ、こんなすぐ関係が終わる子ではなく……長年付き合える子の方がいいわ……」

 

 何処か彼女は寂しそうだった……

 顔を俺の方に向けず、真っ直ぐ壁を見ている。

 やはり彼女の顔は美しかった、朝日が彼女を照らしていてまさに女神様のようだ。

 俺は、彼女のそんな光景を見て余計に好きになるが、この恋は夏までのものなのだ。

 こんな、可愛い女の子を神様は死なせるのだ。

 本当に神様ってのはろくなの居ないんだな。

 それかあれだ、美しいから彼女を神様は手元に置きたいのかもしれないな。


「ちょっと……聞いてる?……」


「うん! 聞いてるよ!」


 俺は正直、彼女のプライベートの話を聞いていなかったのだが、聞いてるふりをしたがら顔をじっと見つめる。

 どうでも良かったのだ。

 だって、彼女が病気であろうとなかろうと。

 理想的な女の子が今まさに目の前に要るのだから。

 これで盛り上がらない、男子はこの世に居ないと思う。

 怪我をして、落ち込んでは居たが。

 こんな良いことが起こると思わなかった。

 病気で運命の出会いをするのはあまり良いとは言えないが、可愛い彼女と出会えたのはある意味入院していたからだ。

 ここまで入院していたことに感謝することはない。

 だけど、これまでの人生でこのような出会いはないので、何だか女優レベルの人と付き合える事になったテンションになる。


「ね……聞いてる?……」


 俺は、舞い上がってしまい。

 彼女の話しは、全く言って良い程内容を聞いてない。


「もういいわ……」


 そんな俺を見ながら、彼女は軽くため息を付く。

 何時間かそんなやり取りをしてる間に夕方になっていた。

 そして、その夕日を見る彼女はより美しく見えてしまう。

 なんと言うか、絵になると言うか絵のモデルその物と言うか。

 どうも俺は、彼女にベタぼれしてまい夕食もあまり食べれなかった。

 これが、恋と言うものかと噛みしめ。

 夜になるも、興奮して眠れず彼女の美しい顔ばかりを想像する。

 この日ほど、寝るのが嫌な事はない。

 彼女と会える日が無くなっていくと思うと……

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