第3話―才媛その2―
幼馴染みである加賀千代はモテる。
「うわぁー…。どうしよう、また
ラブレターが入っていたよ」
靴をぬいで上履きに替えようと収納ドアを開けたら雪崩のように落ちる。
それは現代では古風的で今や迷信とされるラブレターだった。
「何ていうか、いつも凄い量だよな。
隣に俺がいるというのに、よく
ラブレターを置けるものたよ」
「えっ、どうしてセンガクが隣にいるとラブレターが何かあるの?」
隣にパートナーがいると意図を本当に分かっていないのを口は開けており
本当に不思議そうな顔している。
「何かあるというよりも…何もない。
ただの抑止になるのだよ」
「よくし?抑止…あぁーっ!
そ、それって周囲に恋人に見えていることなのかな?」
やめてもらいたい。
自分で口にしておきながら嬉しそうに頬を緩めて頬を紅潮するのは。
とりあえずノーという返事を一軒々々
と出向いて答えないといけないのなら俺も護衛役として付き合わないといけないだろう。
ああ、学園上位の美少女と付き合っていると疲れてしまうぜ。
実際は恋人ではなく幼馴染みだが。
それに二度とラブレターやアプローチがないよう相思相愛のように振る舞わないといけない……疲れるなぁ。
(こんなのがあるなら教室の机とか
ライングループにもありそうだな)
放課後のことを考えると俺のヘイトまた加算されるが気にしない。
でも、それを思うと辟易ぐらいはする。二人で教室に入る。
廊下すれ違う生徒がいても通学路と変わらないまま千代と手を繋いで歩いている。
依存という我欲を満たすだけの関係では決して違う。
「千代いつ手を放す?」
「…放したくない」
さすが同じの1年四組クラスからは千代と手を繋いだでも反応は薄い。
すでに、ここの風習のように馴染んでしまったみたいだ。
マウティングを取るのが生きがいと言わんばかりの男子生徒からはイチャつくなよと俺だけを視線の集中砲火を放ってくる。
こうした嫉妬が千代がどれほど男子生徒から美貌や振る舞い(おそらく)が人気なのかよく分かる。
分かるからこそ俺が邪魔しないと千代は
(とあれ、この教室は都合のいいことにカップルだと周知して広まってくれている。
実際はその段階にまで進むのは
千代が
比較的に安心だから
いないみたいだな)
いつもなら教室で参考書を広げて勉強する勤勉な生徒がいるのだが今日は休みだろうか?
それともトイレに行ったのか。
そう思って待つことにしたが5分ほど経過しても戻ってこないので
「
千代も行くか?」
「迷惑じゃないなら絶対に行く!
数分と少し離れるよりもセンガクと居たいからね」
「そ、それは頼もしいことで…」
ここまで好意を全開であるとリアクションに困るなぁ。
それと照れていないことから察するに狙ってとか告白的な言動とかではなく
、どちらかといえば俺がどう捉えるのか考えていない。
言葉を客観的から分析しておらず、そうした発言を平然とする。
要約して天然なのだ。
千代と二人で手当り次第に校内を歩き回って探す(もちろん手を繋いで)が見つからない。
「見つからないなぁ」
「うん。見つからないねぇ」
けど無計画に探していたものの幸運にも目撃情報があった。
たまたま二階と三階の踊り場で名前が出て話題にしたので耳に入り、情報があった場所へ向かう。
校庭にあるガゼボ(西洋のあずまや)に奴がいた。机の上をノートや複数の参考書を広げて勉強中であった。
「こんな朝から勉強なんて感心するよ本当に。
「……」
カキカキとペンが走る音が返事のように思えてくる。
この無愛想なクラスメートはナチュラルショート黒髪をした男子生徒の毛利弘元。事情は詳しくはよく知らないが
常に勉強をしていた。
「ねぇ弘元せっかくセンガクが
失礼な言葉が返されて隣にいた千代は憤った感情をぶつける。
「……」
「無視しないでよ。聞いているの?」
「…うるさいなぁ。
お前らと違って僕は上を目指さないといけないんだ。
分かったらどこかに行けよ」
「センガクの厚意を冷たすぎない。
そんなことだと皆から嫌われるよ」
「ハッ、誰に嫌われようと僕は最後に勝たないといけないんだよ。
……もうミスは許されない」
もうこれ以上の話すことはないと毛利弘元は視線をノートへと戻す。
「挨拶しに来ただけなんだ。
それじゃあ弘元」
「……」
これ以上ケンカされても困る。
俺はそれだけ伝えると踵を返して教室に戻ろうした。しばらくして予冷が鳴り響くのだった。
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