第2話―才媛―
「ふやあぁー…そろそろお弁当を作らないと遅れるよ」
さて過去を振り返るのは、この辺にして学校の
千代と知り合ってから12年が経つ。
眠た気なまま洗面所で顔を洗って目を覚ますという定められたかのような過程を終えると次に鏡を見て整える。
「もしかして千代とあの頃に出逢っていなかったら…
こうして鏡を見て毎朝こんな顔をチェックしようなんて思わなかっただろうなぁ」
家族よりも見る頻度こ多さなら千代が一位に挙がりその次が家族そしてその自分の順位になる。
自分の顔というほど見飽きるほど何度も目にする。
髪は染めていないし日本人らしい黒色、そして型はアシンメトリー(左右の長さが違う髪をいう)にしている。
もちろん右の前髪は少し長めに調整している。
瞳は生気に満ちたアクティブ。
そして肌はホワイトでガールのようなインドアな色である。
おっと我ながらカタカナ語を使いすぎたようだぜぇ
リビングで食事を摂ってカバンを持ちドアを開け外に出る。
すると絶世の美少女にぶつかりそうになった。
「きゃあ。あっ、センガク!」
「んっ、おぉ
どうしたんだ家の前で、うろうろなんかして?」
4歳の頃から知り合ってから高校生でも友好的な関係。
そんな千代の瞳は久しぶりに空を
見上げて美しいと感じてしまうほど透き通った黒い瞳をしている。
そして髪の色は俺と同じで人工的な色に染めずの純粋な黒色である。
つややかなボブヘア、その左には薄水色した
なんとこれは線と線が交差だけの六芒星なのだ。つまり糸で結んだりして作ったような形をした髪飾り。
「センガクと一緒に登校しようと思ったの!そんなばかりだとワタシが
仕返しするかもよ」
「おっと、それは恐いなぁ。
でも驚かせてしまったことには、
ごめん。それじゃあ行くか」
「うん!」
いつものように千代は俺の右手をギュッと握る。
いつも手を繋いだまま登校を俺達はしている。
それは小学でも中学そうであったように高校に上がっても変わらずに俺と千代は手を繋いでいる。
(幼馴染みとはいえ、これは近所に誤解されるだろうなぁ。
恋人みたいだって)
周囲からカップルだと見られがちだが俺と千代は恋人の意味で付き合っていない。純粋に幼馴染みとして
付き合っているのだ。
引っ越しせず地元に住んでおり俺はなるべく近くて偏差値がそこそこの学校を選んだ。
地元の尾道市にある詐欺的に進学校と教師が叫んでいる悪い意味な普通の
そして月日は4月14日で新しく変わった制服にはまだ慣れないが隣に変わらず千代が手を繋いでニコニコしているので安心する。
「こうして千代と通学路で桜を見るなんて、なんだか感慨深くなる」
「あっ!もしかして初めての出会い……とか思い出していたの。
そうだったら嬉しいなぁ」
「そうだけど。ちょっと今日はあの頃の夢を見ていてなぁ…千代どうして顔が赤くなっているんだ」
「そ、そんなの…センガクのことを。な、なんでもないからね」
よし、なんとか上手く話題を逸らすことに成功した。
手を握ったままなので物理的に離れようとしない千代は、俺から顔を逸らして照れた。
(いつ好きになったのか幼馴染みの千代は俺に好意を抱いている。
それを気づかずに
まだぬるま湯に浸かるのが心地よく、いつまでも現状維持をしようと俺は密かに決めている。
ため息をこぼして俺は空を少しの間だけ見上げて、すぐに視線を戻して前方に気をつけながら行く。
万が一の可能性で千代に怪我をさせたくないという俺の過保護的なほどの
思い遣りによるものなのだ。
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