第15話 ギャルが家に遊びに来る
「零さぁー。次の日曜に家行っていいよねー」
「いやダメでしょ」
「なんでさぁー」
前の席の椅子に後ろ向きでまたがっている金髪ギャルが甘ったるい声で俺に話しかけてくる。
「だって、
本当は琴葉が家にいるから来てもらいたくないだけなんだけど。
それに俺だけで決めれることでもないし。
「でもこの間今度ならいいって言ったじゃんよぉ」
「それは無意識に言った一言だから」
「まぁ次の日曜はなんとしてでも行くから覚悟してなさい。いっぱい甘やかしてあげるからー」
でもこれは非常にまずいことになった……母さんはその日休みだし琴葉も
「零、そんなにウチが来るの嫌なの?」
「い、いやそういうわけじゃぁ……」
「何か見られたり知られたくないようなことがあるとか?」
な、なんて察しのいいギャルなんだ……
このままじゃ色々と怪しまれてしまう。
「ウチは大丈夫だよ……」
「えっ?、 何が?」
「えっちなDVDとか本とかあっても拒絶したりはしないから……むしろ大歓迎だよ」
「はい?!」
なんか、むちゃくちゃ勘違いされてるよなこれ。
栞の中での俺のイメージは変態でわざとえっちな本を目の届く位置に置いておいて見せるような
「でもやっぱりウチだけじゃ楽しくないから琴葉も誘うね!」
「え、本当に来るのかよ!?」
――日曜日の朝。
事前に俺は琴葉に事情を説明し母さんには一日家を空けてもらえるように頼んだ。
それに琴葉の痕跡を消すため脱衣所や風呂そしてリビングも念入りに片付けた。
いつどんなことがきっかけでバレてしまうかも全くわかんないから。
ピーンポーン
インターホンが鳴りついにその時がやってきた。
ドアを開けると栞と琴葉が立っていて俺は中に二人を招き入れた。
「琴葉って零の家何回来たことあるの?」
「へっ? あぁ一回か二回とかかなぁー」
突然の質問に俺もビックリしたけど琴葉が上手く誤魔化してくれたので助かった。
この調子でボロを出さないようにしたい。
「あっ!、零」
「は、はい!?」
「アイス買って来たからこれ後で食べよー」
「あ、うん」
まずい。普通の会話でもビビってまともに話せない。
「んー、なんか喉乾いてきたなぁ」
「そうだね。私お茶注いでくるね」
「「……え?」」
「なんで琴葉がお茶注いでくるわけ?」
まずい、もうお終いかな?
これで栞にバレたら『ウチもここに住む!』とか言い出すんだろうな……
「えっと……前にこの家でお茶注いだことがあるから?」
お終いだぁぁぁあああ!!!そんな理由で誤魔化せるわけぇ、
「そっかぁー、じゃあお願いー」
「はぁ……」
「ん? 零どうしたの?」
栞がおバカなギャルで良かったぁ。
海の時に琴葉との関係がバレた時には感のいい奴だと思ったんだけどな。
時刻は五時半になり外は暗くなり始めていた。
琴葉はソファーでゴロゴロして俺と栞は最近発売されて大人気のゲームを5時間ぐらいぶっ通しでプレーしていた。
「うわぁー、零強すぎぃー」
「いや、栞が下手なんじゃない?」
「ひどぉー、じゃあもう一回!」
「でも、もうすぐ六時だしなぁー」
今日一日凄く楽しかったんだけど、まさか朝から夕方までずっと居るとは思いもしなかった……
そろそろ母さんも帰って来る頃だし帰ってもらいたいんだけどな。
「え? もう六時? じゃあウチは帰らないとなーお腹空いたし」
「そうか。じゃあまたな」
「えー、なんかそっけないなぁー」
そう言いながら栞は帰る準備を始めると琴葉を指差して言った。
「琴葉はどーすんの? 起こさないとじゃん」
「あぁー、琴葉は後で俺が送って帰るから大丈夫」
「ふーん。琴葉に変な事したらだめだからねー」
「しないわっ!」
そう俺をからかってから栞は
リビングに戻った俺は琴葉の方を眺める。
琴葉の眠った顔は幸せそうで見ていて癒やされるような表情。守ってあげたいようなそんな気持ちになる。
今日はなんだかんだ言って琴葉に色々と助けてもらったなぁ。
俺はその華奢で小さな身体に毛布をかけてあげた。
脅迫され始まった恋人関係は永遠に続きますか? 星海ほたる @Mi510bunn
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