第14話  母親公認の彼女と二人っきり

「零ー、母さんね今日ちょっと出かけてくるから」

「うん。わかった」

「琴葉ちゃんもこの子の事よろしくね」

「ちょ、母さん……」


 そう言い残すと母さんは少しおしゃれな服を着て出て行った。

 母さんはどこかウキウキした様子で落ち着きのない感じだった。

 なにかいいことでもあったのかな?


「ねぇ、零くん。今日のお母さんなんかウキウキしてたよね」

「だなー。すごい腰振ってたな」


 もしかして母さんにも好きな人ができたりしたのだろうか……

 まぁ母さんが幸せならそれでいいんだけど。


「ということで。今日は私たち二人っきりだね」

「へっ?!あ、ああ」


 なんか今のドキッとした。

 今日の琴葉ことはは部屋着なのでぶかぶかの際どい服を着ていて少しだけエロい。平常心、平常心。


「零くん。私にして欲しいことある?なんでもいいよ」


 なんだ?!今日の琴葉、すごい積極的だ……

 なんでもってどの範囲までなんだろう。


「零くん。鼻の下伸びてる。エッチなこと考えてたでしょ」

「な、そんなことないけど……」

「エッチなこと以外でお願いね」

「え、はい。……」


 少し期待していた俺が馬鹿みたい……

 まぁ当たり前だよな、俺と琴葉は恋人でも正式な関係ではないんだから。

 でも最近はよく喋るようになったし琴葉優しくなったよなぁ。


「じゃぁ何か美味しいもの作ってもらえない? お腹すいたから」

「美味しいものって例えば?」

「じゃあ、オムライスとかかな」

「わかった。ソファーにおとなしく座って待ってなさいー」


 なんだそのお母さんみたいな言い回しは。

 でも琴葉の作った料理って母さんと作ったものしか食べたことないから少し楽しみだなー。

 琴葉がオムライスを作っている間、俺は親友のヤスが勧めてくれたソシャゲをしてまつことにした。


「できたよ!オムライスー」

「え、????」


 出てきたオムライスはとても美味しそうなものなんだけど、なぜかケチャップでハート型とその中にアイラブユーと書かれている。

 なんかメイド喫茶のオムライスみたい……

 今日の琴葉やっぱり積極的すぎないか? 可愛すぎて死にそう。


「ねぇ、琴葉。なんで今日はこんなにもよくしてくれるんだ?」

「……んー、気分? まぁ秘密」


 むちゃくちゃ気になるんだけど!? 


「ねぇー早くオムライス食べてよぉー」

「あ、うん。食べる」


 スプーンでオムライスに切れ目を入れる。

 すごくふかふかで柔らかい卵の下からケチャップご飯が出てきてそれを口の中に入れた。


「……凄く美味しい!これ毎日食べても飽きないわ!」

「え?!本当? なら毎日作るよ!」

「いや、うちの卵の消費量が凄いことになりそうだからそれは遠慮しとく」


 でも琴葉の作ったオムライスはお世辞とかではなく本当に美味しくて今まで食べてきた中で一番美味しかったオムライスかもしれない。

 俺がこんなに幸せなヤツでいいのか!? 


「ゴホっ、ゴホ」

「零くん落ち着いて食べなよー」

「うん、ごめん。美味しすぎたから……」

「もぉ……」


 琴葉は喜ぶ反面、恥ずかしそうな様子だった。





「ただいまーあら!? 琴葉ちゃん!掃除してくれたの?」

「はい!わたしお掃除好きなのでっ!」

「なんていい子なの……琴葉ちゃん!うちにお嫁にきたら?」

「かっ!、母さん!?」


 なんか琴葉、公認もらってむちゃくちゃ嬉しそうなんだけど。

 いや!俺は困る!……のかな?


「お母さん!料理も作っておいたので後でみんなで食べまさんか?」

「ええ!料理まで!? うむ……もぐもぐ。琴葉ちゃん……私をお嫁にもらってぇ!!!」

「母さん!?」


 まぁ二人が楽しそうならこれはこれでいいよな……

 琴葉もいつか結婚していい嫁さんになるんだろなー。俺はその時新しい家族ができてるんだろうか。


「零くん。アリガト……」

「ん? なんて?」





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