第7話  夏休みと海 一日目のバカンス?

「「海だ〜!!」」


 両サイド美少女に挟まれ身動きがとれないままの一時間半はきついものだった。

 美少女でも。


「じゃあウチらは水着に着替えてジュースとか買って戻ってくるから、先に泳いでていいよー」

「あぁ、わかった」


 ふふ、先に海で泳いでいるだと……そんな惨めなことはしないさ。俺が一人になった時のため夏の自主勉強セットと折りたたみ机、そして簡単組み立て式パラソルを持ってきたのだ!ここに来る前に『この旅行中は勉強禁止だからね!』と栞に念押しされたが今は俺の自由!帰って来るまでに何ページか終わらして……

 ん、なんだこの影?


「ねぇ零君。ウチ勉強禁止って言ったよね……」

「あ、その。これはですね……」





 俺は灼熱の太陽の下で正座させられていた。もちろん勉強道具も没収されパラソルは琴葉たちが使っている。暑い……『三十分砂浜で正座の刑』恐ろしすぎる。


 三十分経ち俺は海に全力疾走。海冷た〜パラソルは取られたけどこれなら大満足。


 バッシャーン!!


「零君くらえっ!」

「ブハッ、やったな〜」


 栞と俺の水かけ遊びが始まった。すると琴葉も海に飛び込んでくる。


「二人だけずるいじゃんかー」






 疲れたぁ。女子元気ありすぎだろ。途中から俺だけ集中攻撃されてたし。

 それはさておき砂浜に大の字になって寝転ぶ俺の足に少し重たい感触がするんだが……


「あの、琴葉さん。なんで俺の足に砂を掛けているんですか?」

「それは零君を砂で埋めたいからですー」


 いやいやいや!? アウトでしょ殺害予告に聞こえるんだが!


「まあまあ、落ち着きなって。海に来たら定番の遊びだから。ウチも手伝お〜」


 手伝うな!? もう首のあたりまで埋まってるんだぞ!?


「零くん死にそうな顔してる。でも苦しくないでしょ」

「……あ、ほんとだ。苦しくない」


 苦しくないしむしろ暖かくて気持ちいい。だだの遊びでよかったぁ。


「じゃあ次。顔掛けるねっ!」

「それは死ぬから!?」





「じゃあこれからバーベキューの準備をしますー」


 海から上がって栞の別荘に行きシャワーを借りその後買い物に行ったら早くも夜。

 別荘の広いウッドデッキでバーベキューをすることになった。


「零君はバーベキューコンロ立てたりお肉焼いたりする係。ウチは見守る係で琴葉は野菜切る係ね!」

「ちょっとまて、見守る係ってなんだ!? それに俺だけ係多くないか!?」

「見守る係は指示出したりするの。それと零君は男の子だから係が多いんです〜」


 俺、男の子やめたい……

 そんなこんなで準備は始まりスムーズに係をこなしていった。栞はほんとに見てるだけだけど。


 肉を焼き始めると下に油が落ち火が強くなる。栞は椅子に座り焼き上がるのを待っていた。


「零君お肉まだ?」

「もうちょっと」


 琴葉はというと待てぬと言わんばかりに割り箸と紙皿持ち目を輝かせコンロの前に立っている。たまに焼けてない肉をつつき俺にまだ?とたずねる。


「もういいかな。これなら食べていいよ」


 そう言うと琴葉は肉を箸でつかみタレを付けて口の中に放り込んだ。

 美味しそうな顔をしながら咀嚼そしゃくする姿は可愛らしく良いものだった。


「おいしい!!」

「ほんとだ!野菜もシャキシャキしてる!」


 夏休みの海旅行一日目は疲れたけどその分楽しい日になった。


「「零くん早く次のお肉焼いてっ!」」









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