<短編3> 絶叫マシーン

 直人は想いを寄せるクミコとのデートで遊園地に来ている。

この絶叫マシーンに乗ると、どなたも自分の気持ちが出てくるらしいという評判から!


絶叫マシーンの隣の席に座った、笑顔のまぶしいクミコ。


ぼくの気持ちをなかなか打ち明ける機会が無いまま、刻々と過ぎ去っていく時間。

絶叫マシーンがゆっくりと上昇していく度に、こみ上げられる気持ち。

(ダメだ……この気持ちを抑えられねぇ……)


「うぉーーーっ!」

「クミコが好きだーーーーーっ!」


万歳しながら、愛の叫びが発せられた。

絶叫マシーンのピークを過ぎて落ち着いた所で、横に目をやると……


クミコがじっと、こちらを見つめている。


「ねぇ、何を叫んでいたの??」

「え……見てた??」

「うん♡」


絶叫マシーンを終えて、出口に向かうと絶叫中の静止画が表示されていた。

そこに映り込んでいたのは……


「万歳しながら愛の言葉を叫ぶ直人」と「直人に向かって投げキッスしているクミコ」


でした!


何故ならクミコは耳が聞こえないので、万歳に気付いた時点で男の口の動きを最後まで見ていたのでした!


(チャンチャン)

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