第41話 仕方ねえ

烏頭が消えた。どこにも出た形跡はなかった。なら恐らく他の第三者の協力だろう。


まずクラスメイトの能力の可能性。まずこれはかなり可能性としては低い。もしそうならもっと早く来ている。

そして、もう一つ。烏頭以外はここにいる。何の変化もなかった。


次の可能性は………あの鳥もどき天使かもしんねえな。あいつに一回消されちまったし。情けねえ事だが。


「チッ……。あいつが関わってるんなら無理だな。他の奴らと違って、多分上司とかの命令で動いてるタイプの奴だ。上の奴が頭が良いほど、こういう時に厄介なことになる。面倒くせえ。」

「…?どういう事ですか?」

「いや、以前消された時に、羽の生えた、いかにも天使!って奴がいたから多分そいつらの仲間かなぁと。」

「………ありえますね。しかも烏頭だけ連れ去ったとなれば。」

「あいつが何らかの大事な情報を持ってるって事が確定したな。しかも他の奴はしらなそうだったし。相当な機密情報なんだろうな。」

だいたいそこらへんは予想で十分だ。


「だが、こうもモタモタしてると他の奴らも持ってかれるかもしれねぇな。」

「という事は…!」

「もうやってしまいましょう。早めにさ。良いでしょ?お嬢様。」


一人逃げたんだ。もったいないけどな。その埋め合わせ。そういう事にしておこう。


「始めましょう。殺戮?制裁?もうどちらでも良い。壊しにいきましょう。」


全ては復讐の為。全てはあのの為。


全てはあの出来事の為。


_____________________________________


「“重い罪を犯し、それを反省せずのうのうと生き、そして更なる罪を犯そうとする愚か者。それを断罪する為に我、この場に来たり。我が名は『ライア』。厳正な処刑執行人である。これより、執行する。”」

ふぅん……スロウター……こんな事もできんだな…。


「成る程。これ、こいつを使えばほぼ確定で殺せるんだな。他の何者にも干渉されず、独立した意識を持ち、誰にも侵される事がない、とは。罪を背負った者に逃げる術はない、か。」


じゃあ俺もかもな。


「あ?今何考えて」

「霊心様?どうしました?」

「いや、なんでもない。」

何が起こってる?この前から。“気になってるだろう?”


クッソうぜえ。無視だ無視。どうせだろ。


「うし、あのバカ男子を見に行くか。処刑の瞬間。」

あいつらに俺は直接手を下さない。だが、カップル斗真とミユキは許さねえ。確実に俺が殺す。


何故か。


理由はない。何となくだ。


「あぁ〜楽しみやね。ほんと一人逃したのは失敗だったけど。」

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