第35話 ほーらね、へたれた。

「おらっ!」

ドゴッ!

「らぁっ!」

バキッ!


俺は床に転がっている。まぁ、案外痛そうに見えて実はそうでもない。力の入れ方がなって無いから、あんまり効果的じゃない、というか。まぁ簡単に言えば、思ったよりも重症じゃあない。こっちに来てからちゃんと訓練してたのかなぁ…?って思うぐらいには弱かった。これじゃあただの能力値だけで虐めてただけじゃねぇか。


「はぁ……はぁ………おい、斗真たちはどこだ……。」

「あ?斗真?なんでここに来てあいつらを呼ぶんだ?」

「ここから出るからに決まってんだろう。早く言えよ。」

「そんな事か。まぁ、言う訳ねぇけど。」

今は泳がせてる最中だし。


「う〜ん………そうだ。お嬢様に約束してもらおう。無事に俺を殺せれば教えてやるって。ほら、早く殺しなよ。」


こいつらの内心を考えるとやっぱり、俺を殺させようとしすぎで不自然に思うだろうなぁ…。まぁ、仕方ねぇけど。


「なぁ、殺せるか?俺の事。無理だろ?」

「そ、そんな訳「あるんだよ。現に顔が真っ青だぞ?」………。」

「あのなぁ、お前らの中ではもう初めての人殺しは終わった、とか思ってるんだろうが、それは人殺しじゃあない。ただのゲーム感覚でやっていたに過ぎ無いんだよ。分かるか?ゲーム内、もしくはドラマ、アニメで人が死んで悲しくなる事はあっても、いずれその記憶は失われる。何故か?仮初めの命だからだ。じゃあ、俺は?元々虐めてはいたが、クラスメイトだ。殺せるか?俺の事を。お前らの思っているような、NPCじゃあない。完全に生きている、現物を殺すんだ。やってみろよ。ほら。」

「……………………。」


「………ほぉらね、言ったでしょ。こいつらは武器や暴力を使わなくても勝てるって。」

俺が虚空に向かって話す。するとやはり怪訝な顔をしている。


「お嬢様、解いてください。」

「了解です!『解』。」


すると、そこから出てきたのは斗真とミユキだった。


「「「斗真!ミユキ!」」」

まぁびっくりしたろうな。急に出てきたんだから。


これも手に入った能力の一環である。スロウター強すぎだろ。俺より下手したら強いんじゃないのか?


『………け………ない。』


「んぁ?何か言ったか?」

「誰も何も言ってませんよ?何か聞こえたんですか?」

「うん。何か一部だけ?気のせいだと思うんで気にせんでくださいよ。」


うっし。じゃあ全員揃ったし、当初の予定とはだいぶ違うけど、まぁいいや。


「赤信号、みんなで渡れば怖く無い。こういったりするだろ?」


あぁ、ごめんなさいお嬢様。信号がよくわかりませんよね。後で教えますね。

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