第32話 処(序)

SIDE:黒雲才路


とうとうこの時がやってきた。

俺たちは牢の中から引っ張り出された。抵抗したかったが、あの女の魔法のせいでロクに動けもしない。


…だが俺らにはあの斗真がついてる。いざとなりゃ助けてくれるはずだぜ…。だが、俺らがただ黙って見てるだけっていうのもなんか癪だ。それに、俺の防御スキルは役に立つ。絶対に必要になってくるだろう。その時に、俺はこいつらの役に立ってやる。皆んなで協力して、こんな運命覆してやる!


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急に兵士が牢屋の前にわざとらしく足音を立てながらやって来た。

「出ろ。」

その一言と共に牢屋のドアが開けられる。俺は後ろにいる二人を見ると、やはり憎悪の孕んだ目をしていた。きっと俺も同じような目をしているんだろう。だが、絶対にこいつらは後で殺してやる。


「ふんっ。今のお前らはシャーレイ様の術中にいる。抵抗しようたって、俺らに危害は与えられないぜ。残念だったな。」

「……………。(けっ。この後に及んでハッタリか…。いや、本当の話か?試したいところだが、ヘマをして目をつけられちゃたまらねぇ。今はおとなしくしとくか。それに、俺らにはもついてるからな。すぐに外れるだろうよ。)」

「…………つまらねぇ反応だぜ。」


何がつまらねえだ。それはこっちのセリフだよ。

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SIDE:霊心


「やっぱりか。あいつらが反省するわけないよな。」

「はい。こっちに向かってわかりやすく殺意を向けていました。術で確認できています。」

「いや、その杖マジ有能っすね。羨ましいけど俺には使えないだろうしなぁ……。」

「いえ、そうでもないかもしれませんよ?一応、復讐者なら誰でも使えると思うのですが……。」

「いや、『破壊式』の影響か何か知らねえが、が俺に言ってくるんだ。『浮気、ダメ、絶対。』って。」

「(浮気…………?)」


うん。その表情。わかりますよ。浮気って何って。思いますよね。僕もそう思います。

つか、破壊式に自我があるとは聞いてたけど………。


ファーストコンタクトがこれって何⁉︎


俺が今一番不可解に思っている事ですよ、これ。


「あ、そろそろ来ますね。」

「何がです?」

「いえ、どうやら三人衆三馬鹿、あの包囲網から逃げ出したみたいです。しかも、逃亡の際に何人か殺してますね…。まぁ、その信号がここの近くまで来てますね…今。」

「え〜、また戦うとかヤですね〜。めんどくさい…。まぁええや。」


断頭台にさっさと立たせよう!

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