第28話 バカが傲ると碌な事にならん。

その男は、私たちの見た事のない武器を何もない所から取り出した。

「「「「「おぉぉ!」」」」」

どよめきが走る。

「そんなのこの武器を使えば簡単に殺せるぜ。ちょいと持ってみな。」

「で、では私が皆を代表して…。」

一人が代表として出て行った。

そうすると、少し操作の説明をされているのか、何やら話をし始めた。そして、

「よし、引き金を……そうだな。あの大木に向かって撃ってみろ。」

「は、はい…。」

そういって不思議な鉄の筒、ライフルの引き金を引いた瞬間に……






その代表の者は後ろに吹き飛ばされた。

ズダァァァァァァァァァァァァァァン!!!!

「グアアアアアア!!」

「お父ーさーん!!!!」

その男は子持ちだった。よく見ると吹き飛ばされた男の腕は……変な方向に曲がっている。一体どうゆう事だ…⁉︎

「あぁ〜、そっかそっか。そういやこの武器、反動強かったっけ。まぁしゃあないか〜。」

「忘れてたの〜?ひど〜いw」

「これだから脆弱な人間って面倒だよなぁ〜。どうする?」

「私たちじゃ治せないし〜、もう放置しとく?」

「お前こそひでえじゃんか〜。」

「「アハハハハハハ!」」

その姿に村人は皆、恐怖した。これは人間なのか?もしかしたら悪魔などの類かも…。でも、救世主って言ってたし……。


「じゃあこの劣化版置いとくから、使えば良いわ。よし、食料よこせ。早めにしろよ〜。」

「「「「「は?」」」」」

怪我人が出たのに自分たちの食料を優先させる?何故?

「いや……あの………それは流石に虫が良すぎるかと……。」

「あ?俺に楯突こうっての?調子に乗るなよ。」

ダァン!

「グアッ!!」

「チッ。こうなったら適当に漁りに行くか。」

「ちょっとやるすぎじゃない?流石に怒られるんじゃ…。」

「大丈夫だって。どうなっても俺が守るからさ。」

「…///。もう!」

「ははは。」


何なんだこいつらは⁉︎


村人たちは驚愕した。こんな非人道的な事をして、平気な人間がいるなんて…。


そうして、その二人の姿は消えていった。これだけならまだ良かった。



その夜の事。

ドガァァァァァァン!!!!

「キャアアアアアアアアア!!!」

突然、何かが弾けるような音がしたと同時に、赤い光が窓から差し込んできた。


「誰かぁぁ!お母さんがぁ!」

どうやら、何かが爆発した影響で母親が被害を受けたらしい。

「今助けに行く!」

「お父さぁぁん!」

その子供の元に向かって父親が走って行く。そしてまた、あの音が聞こえた。


もうそこは平和な村ではなかった。家は破壊され、燃え、その跡がかろうじて残っている。さらには、全身火傷を負った痛々しい死体があちこちに横たわっている。


「うわぁぁぁぁん!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

泣きじゃくる子供。恋仲の相手を失い正気を失った女性。妻と息子を亡くしたショックによって、発狂する男性。

正に阿鼻叫喚。絶望の巣窟。


だが、悪夢はまだ終わってはいなかった。

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