第19話 少年の過去(1)

「僕は、気づいたら『普通』じゃ無くなっていた。小学校の時。三年生くらいの時かな?両親が事故にあったんだ。多分君達は知らないんじゃないかな。」


「「「「…………。」」」」


「はぁ、イジメに加担していたのに根本的な理由を知らない。だから君たちは傀儡なんだよ。あいつのさ。まぁ、それも分かってないんだろうけど。実に愚かだなぁ。はぁああ。続けるよ。僕はそのあと、親戚に預けられた。よくある奴さ。その時期は、僕がまだ頃だね。けれど、僕はその事件があってから、友人たちと関わる事が無くなっていった。けれどある時急に、いじられ始めたんだ。その時はまだイジられる程度だったけど、だんだんヒートアップしていった。その時僕は思ったんだ。弱った僕にここまですると言う事は何か理由があるはずだって。」


その当時、本当にそれが気になっていた。


「けれど、理由を聞いたら、何て言われたと思う?」


「………さぁね、知らないわよ。」


「『理由なんてない、ただの暇潰しだよ』ってさ。馬鹿げてると思ったね。本当に。思考回路がどうなっているのか本当に気になったよ。その時からかな。だんだんおかしくなっていったんだ。生きる意味を、考えるようになった。そして、気がついた。人間ってさ、本当に自殺できる人とできない人がいるんだ。どれだけ死にたいと思ってもね。じゃあ、死にたいけど、死ねない状況ってさ。



凄く面白いと思わない?」


その瞬間。全員の背中に、恐ろしい“ナニカ”が走った。わからない。その実態が。何に恐怖し、何に絶望したのか、分からなかった。



「だから、あの時。イッパイイッパイイーーーッッパイ!傷つけて、踏みにじって、砕いて、真っ向から絶望させてあげたかったのに。なんで逃げたのさぁ!もう!」


その姿はまるで、純粋な少年。いや、少年のような怪物だった。


「でも、もう良いよね…?こっちなら、崩して、壊して、落として、殺しても、何も言われない。謝罪しなくても良い!懸念しなくても良いんだ!罪に問われても俺の事を縛る方法がない!今俺は縛られていないんだ!すごい事だ!今までで一番障害になっていた事が、無くなったんだ!あっちは多勢に無勢。けどこっちなら多勢と多勢で戦える!力も!僕は十分だよ!アハハハハハハ!!」


「おかしいわ…。貴方…。アンタより酷い境遇の子だっているのに…。なんでそこまでするのよ!まるでサイコパスじゃない!」


「サイコパス?あぁぁ、精神疾患のこと?いやぁ、違うと思うなぁ。あとこれは復讐じゃないし。厳密に言えば報復だよ。まぁ、復讐って思ってもらって構わないけど。」


あぁ、話たらもう待ちきれなくなってきちゃった。


「じゃあ、報復を、始めるよ♪」

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