第5話 撒き散らす怨念
「助けてくれてありがとうございました。」
「ん?あぁ、大丈夫ですよ。意図して助けた訳ではないので…。たまたま着地地点にあいつが居ただけと言うか……。しかもそのおかげで助かったし…。とにかく、気にしないで貰って大丈夫です。」
「いえ、それでも助けられた事には変わりがありませんから。ありがとうございました。」
言いたい。「いえいえ、その…こんなことで言われると俺の中の良心が痛むのでやめてほしいんですが…。」って物凄く言いたいっ!けど……。
「申し遅れました。私の名前はシャーレイ・フェリシムと申します。以後よろしくお願いします。(ニコッ)」
無・理⭐︎!こんな純粋な目をした子にこんな事言えない……。いったら俺が…恐らく兵士さん達に不敬だ!とか言われて………俺が殺しちまう!
「どうもご丁寧にありがとうございます。俺は…いえ。レイシンと呼んでいただければ。」
「はい。それで少し質問いいですか?」
「?なんでしょうか。」
「レイシンさんはどこから来たんですか?」
「え……。」
いや、困った。あそこがどんなとこかもわからないのに…。
「まぁあの森ですかね。」
「……………。そうですか。それで、兵士達に聞いたのですが何故空から降ってきたのですか?」
「ぁあ…。色々あったんですよ…。詳しくは言えませんがね…。」
「…。そうですか!わかりました。それでこの後の予定は決めているんですか?」
「いえ、ん?いや、すいませんありました。」
「そうですか。」
そんな残念そうな顔しなくても…。まだ会って10分程度なのに…。
「あ、質問してもいいでしょうか?」
「はい。私の答えられる範囲ならいくらでも…。」
「“救世主”共ってどこに居ますか?」
へぇ。これは禁句だったか…?
「「「「「「「「「「……………………………………。」」」」」」」」」」
「それは……一体何故ですか…?」
「そうですね…。とっても大事な用事があるもので…。」
「詳しく聞いても?」
「いいですよ…。と、言いたいところですが…教えませんよ。」
「…私が位の高い貴族でも?」
瞬間、辺りに緊張感が漂う。ふ〜ん。こりゃ兵士さんたち殺さなくちゃならんかねぇ?
「あぁ。お前さん等にこんな所で邪魔される訳にはいかんのよ。それに…この目を見りゃ分かるんじゃないですか?強い人とか敏感な人とかなら。」
きっと俺は今、酷い顔をしてるはずだ。何故なら…なぁ。
「俺は彼奴らを殺すまで止まらんのだよ!何があろうとなぁ!一度は消し飛ばされたさ!長年の計画ごとなぁ!」
俺の中の憎悪の火が弱まるとでも思ったか?ここに来て水に流せるか?
「だが結果はどうだった?天使もどき!一度は俺もお前に消し飛ばされたさ!だがある良い奴のおかげさ!こうして生きている!残念だったな!」
どんどんヒートアップしていく。
止まる訳ねぇんだよ!
「俺は力を得たよ!これでフェアだ!異世界に行った?あの場から離れた?クハハ!逃がさねぇよ!お前らが俺にやってきた事!全て記憶し、記録した!忘れられるか?無理だよ!俺は忘れねぇ!許さねぇ!俺はお前らの恐怖の対象になるまで俺は止まらねぇ!せいぜい逃げ惑うか対立して戦うか?俺は集団相手でも殺せるぜ!俺は《《毒
》》なんだよ!決して消えないお前らへの毒だ!虐げられ、殺されかけ、心を折ろうとして!その時覚えたのは怒りだ!絶望だよ!これがお前らと俺の違いだ!お前らはあの生きたゴミを殺されて絶望してたなぁ!けどなぁ!その程度でじゃあこれからが思いやられるぜ?これで俺がお前らを殺し終わった後何を思うか…。それを考えながらせいぜい無様に死ね!ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
黒い波動がまた放たれる。
「さぁ?誰からだろうね?ギシシシシシ!」
「「「「「「「「「「…………………………………………。」」」」」」」」」
お?来るかと思ってたんだが…。殺意が消えた…?いや、殺意がある。残留してる。つまり…。
「まさか我々と同じ境遇の方だったとは思いませんでした。」
「んひっ♪やっぱか♪」
「えぇ、私の姉はそのせいで…。だから私は絶対に名だけの救世主を殺します。必ずです!」
「良い心意気だねぇ。じゃあ…協力してくれる?」
「もちろんです。何があったかはさっき言っていた言葉の文脈で理解しましたが…きっと私よりも重たいのでしょね…その心は。悔しいですが事実です。それに、さっきの聖物もあなたが殺してくださいました。そのおかげで私は生きています。なら私はそれに報いるのみ!これからお願いします。」
「うんうん。ありがとうね。協力者は多い方が良い。もしかしてだけど…この兵士全員かい?」
「はい、ここにいるもの達は全員私と似たような経歴を持っていますよ。なので裏切りは絶対にありません。」
「良いねぇ。まるで軍隊だ。」
「ええ、本当にその言葉があっています。これから微力ながらあなた様のお力になりたいと思っております。」
「あっ、ありがとうございます。」
後日談だが、兵士達から
「切り替えがすごかったですよ。」
と笑われながら言われてしまった。一瞬怒りそうになったがそれもそうだったので恥ずかしかった。
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