みんなに才能を与えてくれる魔法使いと、でも唯一なにも身に付かなかった少女の物語。
創作おとぎ話です。いろんなおとぎ話の断片やエッセンスのようなものが散りばめられた中、でも物語そのものはあくまでオリジナル、という趣のお話。
内容もしっかり寓話的で、学ぶところがあるのが魅力的でした。単におとぎ話風の小説というのではなく、本当におとぎ話してくれるところが素敵な物語。
何がいいって、やっぱり優しい物語であるところです。
単純にしんどい場面がなく、また誰ひとりつらい目に遭わないお話(多少はあってもすぐに解決される)。なにより「それでいてしっかり物語している」というところが特に好きです。
おとぎ話に特有の毒やえぐみを抜いても、ちゃんとおとぎ話として成立している、その物語の組み立てが魅力的な作品でした。