第3話 赤城ぃぃいいい!!

おぉガッデム!!!

圧倒的、違う違うそうじゃそうじゃない感!!


俺は、俺は信じてたのに。


お前が小3の時弁当忘れたから、半分くらいわけてやったのに!!!

小5のとき宿泊学習で寝れないって言ってたから、同じ布団で寝てやったのに!!!


『こんのぉ!!!!赤城ぃぃいいい!!!!!』


俺はその時のズタボロメンタルもあって、激怒して赤城に殴りかかった。


『シィィイイイネェエエエエエ!!!!!』


背後からの不意打ちということで、圧倒的に有利な俺は勿論赤城のことを…………


『た、田山!!』


『デブシュ!』


殴れずに逆に殴られました。


…………まじ泣いていい?


ここまで来ると、うんとかまだいけるとか言ってる場合ではなく、真面目にメンタルがヤバくなってきた。


『た、田山!これは違くてな!!』


『…………なんかゴメンな。お前は、幸せに生きろよ。』


必死に謝る赤城の肩を掴んで、そう言い残した俺は痛む左頬を抑えながら歩いていった。


で、ここ屋上にたどり着いたわけだ。


「どうしようかなぁ………。」


ここから飛び降りたら死ねるのかなとか思ってしまう。


たかが、大学のE判定なんて!良い判定じゃないか!!


レギュラーを取られたくらい普通だ!!世代交代じゃないか!!


振られたっていいだろ!!女は何億人もいる!!


親友なんていいだろ!!!クラスに男は何十人といる!!!


とか思うかもしれないだろう。

そう、『たかが』や『ただ』『どうせ』といった頭言葉をつければ、どうでもいいことなんだ。


やり返しがつかないわけじゃないんだ。


けど、けどけどけど………


「悲しぃんだよぉぉおおおお!!!!!」


俺は精一杯の声に、すべての感情を詰め込んで叫んだ。


「…………はぁ。」


でも、返ってくる声はない。

当たり前だ、山でもないんだから。


「せめて、美少女に褒められたらな。頭撫でられたらな………。」


俺はそんな希望を述べながら、屋上に寝転がった。


汚くてうっすら冷たい床で、寝心地は最悪。


「ふぁあ……。」


でも、今までの出来事で心を痛めていた俺は、すぐに眠気に襲われる。


「ひざ………膝枕…………。」


もう、ここまで来ると意識も朦朧として、ほぼ寝かけていた。


なんとなく、柔らかいものがほしいなと思い、それが欲望のフィルターを通して発せられた結果、その言葉になったのだろう。


これだって、空に消えていくはず…………だった。


「ほら、ここ使いなさい」


「あ、ありがと………う………」


意識が落ちる寸前。

そんな、幼くも優しい声が聞こえたような気がした。

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