第7話 高校2年、修学旅行の沖縄。


私の通っていた高校の修学旅行は沖縄か北海道の2択だった。


毎年生徒の多数決や先生方の意見で行き先が決まるらしい。


北海道に行きたかった私はちょっと行きたくなかった訳です。…海鮮食い倒れツアーしたかったのよ。


ただ、クラスの女子が少ない事を理由に班分けとホテルの部屋割りを自由にしていいと担任がクラスで言い切った事によりグループ毎の行動が決定した。


まぁ、私のグループとは親友(悪友?)D子と私の2人なのでこの時点で2人での単独行動&ホテルの部屋割りが決定した。

他は5人組と6〜7人組だった。



飛行機やバス移動を経て、色々と見て回った。

首里城を見て万座毛では殺人事件の犯人ごっこをしたりと楽しんでいた。


ひめゆりの塔にも行ったが割愛させていただく。 



そして戦時中に使われていたという防空壕へとガイドさん付きで中に入る事になったのだが、D子と2人で吐き気と頭痛を我慢して中に入った。

階段を降りて行く間も寒気と頭痛とよく分からない気持ち悪さとでグロッキーになりながらも後ろに穴がある広い場所でガイドさんが皆に説明を始めた。


視えてはないが何となく多数の視線を感じるし後ろの方にも気配があるような気がする…



D子「なんか嫌な感じする、頭痛いし」

蜜柑「わかる。視られてる感じするし、私も頭痛い」


コソコソと会話していると後ろの方で小さな悲鳴が上がった。


「きゃぁっ」

「大丈夫?」


声に振り向くとすぐ後ろに立っていたクラスメイトがよろめいたのか足を滑らせたのかカクンと膝が折れたのかよく分からないが友人に支えられて立っていた。


何となく笑い声が聞こえたのは気のせいだと思いたい。

D子「笑い声聞こえた気がするんだけど…」

蜜柑「気のせいだと思わなきゃ、認識したら駄目だよ…」


認識したら憑いてくると確信しているからこそD子も気のせいだと思うようにしているみたいだった。


特に他のクラスメイト達は気にしていない様だったので気付かないフリをしてガイドさんの説明を聞いてやり過ごしていた。




防空壕から出るときに足を滑らせたのか(と言う事になった)子とは別のクラスメイトがコソッと教えてくれた。


E子「私、近くにいたけど足引っ張られたみたいだったよ?なんか手…」

D&蜜「「みなまで言うな」」

E「何となく気持ち悪いのってそのせい?」

D&蜜「「そのせいだけど気のせい」」


すべての日程を終えてホテルへと無事に到着した私達は部屋へと入った。


うん、大丈夫。

私達は何も連れてきていない。

私達は。


シングルベット2つに畳敷きの部分(6畳分)もある広い部屋に

D子と私の2人だけで泊まる開放感。


窓からはオーシャンビューの景色が広がっていてとても眺めもいい。


入ってきた時にドアは締めたままだったのだがバタン…、バタン…と左右の部屋でドアを開け締めする音が響いていた。

まぁ、左右の部屋はクラスメイトが5人部屋と6〜7人部屋だから出入りが有るんだろうとそう思っていた。


コンコンッ


と、ドアを誰かがノックして来た。

私は窓際で海を眺めていて、D子はベットでゴロゴロしていたので近かったD子が対応してくれた。

D子「はいはーい」


誰か訪ね、クラスメイトだと認識してドアを開けると右の部屋のクラスメイトがいきなり怒り出した。


友人「ドア、バタン、バタンってうるさいんだけど?!」

D子「うちら入ってきた時以外ドア開け締めしてないよ?」


友人「でも、バタンバタン音してたよ?」

D子「うちらもそれは聞こえてたよ?バタンバタン音するから出入りしてるんだねって話てた、ね、みーさん。」

蜜柑「うん、そっちが出入りしてたんじゃないの?」

友人「私達も出入りしてないの!」

D子「じゃぁ分かんないよ。ドアの建付けが悪いんじゃない?うちらはこのあとも出入りする予定無いから」

友人「………わかった」


そう言ってクラスメイトは自分の部屋へと帰っていった。

少しして小さくバタンと聞こえたので部屋へと戻ったのだろう。

何故右の部屋の友人達は私達の部屋に乗り込んできたのかと言うと、右の部屋が一番端の部屋だからだ。


少し2人でのんびりと飲み物を飲んだり、買ってきたお菓子を食べたりしているとやはり…バタン…、…バタン…と何度か扉が閉まる音が聞こえてきた。


D子と2人でまたか…と確信しつつも害は無さそうなので放って置くことにしてトランプをしているとやはりまた

バタン…と聞こえてきた。


無視してお菓子パーティしていると、コンコンッとまたノックが聞こえてきた。

「ねぇ、ちょっと!やっぱりバタンバタンうるさいんだけど!!」

さっきの友人が廊下から声をかけてきた。

仕方なく二人で扉を開けに行き、説明しに行く。

「うちらは扉開けてないからね?そっちも開け閉めしてないならもう、ラップ現象として諦めて」

「いや、怖いじゃん」

「無視すればそのうちなくなるよ」

「………わかった。」


友人は渋々といったように部屋に戻っていった。


5分もしないうちにまたノックが聞こえてきた。

ドアを開けると右部屋の友人数人がゾロゾロと入ってくる。

「〇〇が震えながらベッドに近づきたくない、部屋が寒いって言ってるの、お願い来て!」


ルームキーを持って右隣の部屋へ行くと毛布をかぶって居る〇〇と別の友人が居て震えながらベッドに近づきたくない……と言っている。


ベッドには何か見えないが気配の様なモノがあったが決してイヤな感じではなかった。

ただ寒く感じるのは本当だ。


D子と二人で念の為、簡易式のお祓いを全員にしてベットが嫌なら布団で雑魚寝を提案しとりあえずは落ち着いたようだったので部屋に戻った。



翌日、何事もなく皆が顔を合わせたので聞いてみると「怖かったから布団で雑魚寝したってゆーよりはずーっと話して起きてた」とゆーことらしい。

眠そうな友人達を尻目に私とD子は布団で爆睡させて頂いたのだった。



結局よくわからないままこのホテルを後にしたが、バタンバタンとドアの閉まる音はどこから聞こえてきていたのか…

右隣の部屋は本当にナニカが居たのか…



今となってはもう、わからないまま





嘘みたいな本当の話。



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