大国テマルは大騒ぎ
むかしむかしそれは異世界でのお話。
王子の名はシューランデルス。これは王子と王子を取り巻くものたちの物語
テルモノの城が魔法で包まれる。宮廷付きの魔術師達が慌てて動き出し第一王子の近衛たちが軍を急きょ編成する。魔力の根源は城中央の屋上と宮廷魔術師が判断すると魔術師たちと近衛たちが急ぎ向う。シューランデルス王子とカロルも向う。
屋上一面が輝いていた。まぶしさに手をあげる一同、それが屋上の中心に光が収束し、光の柱が立ち上がる。第一王子の命で近衛たちが弓矢を構えサラリーが彼らに魔力抵抗の魔法をかける。宮廷魔術師は魔法攻撃の呪文を唱え待機している。
光の中からでてきたのは見知らぬ老人二人とシャルファーサ王女だった。一斉に射られる矢をものともせずはじき飛ばし、宮廷魔術師はその魔力の波動からカデリアであることに気付き魔法を納める。
「第一王子、カデリアとシャルファーサ王女です。男は何者かわかりませんが」
「はぁ?あの鼻の長い、しもぶくれの吹き出物だらけのばーさんがこれか??」
「そのことを話すと長くなります。先に私の亡命手続きをお願いしたいのですが」
「ああ、それはもっともな話だがその仕事は第二王子の仕事だ。案内しよう」
「その前に失礼いたします。シューランデルス王子、伝えたいことが」
「わたしになんでしょうか、シャルファーサ王女」
シャルファーサ王女は走りよって来てシューランデルス王子を抱きしめるとそのまま背伸びして唇を重ねた。一瞬戸惑うシューランデルス王子も突き放しはしなかった。見つめあい今度はシューランデルス王子がシャルファーサ王女を抱きしめる。
「私が二年間で心に嘘偽りなく育った王子への想いの丈です。愛しています」
それだけ言うとシャルファーサ王女は第一王子に連れられて行った。
「随分と姿が変わったねカデリア。わたしは彼女の思いにどう応えるべきなのか」
「わしゃには答えれん。別れの日何故抱いた。この二年何を思って過ごした。それが全てじゃ。傷つけても愛してもどちらにしろ自分に正直になることじゃな」
シューランデルス王子は第二王子のもとへ向った。
第二王子の執務室のドアを叩く。兄の威厳ある声が聞こえた。仕事中の声だ。
「兄上様、シャルファーサ王女の件で一つ提案があって参りました」
「丁度その手続きをしていたところだ。入ってくるがいい」
「だからシャーじゃ駄目なわけ?テルモノではその名で通ってるし」
「その名がシャルファーサから取られてる以上駄目だと言っているだろう。仮にも刑執行中の王女を亡命受け入れるんだ。王族の全ては捨ててもらう」
「その名前なのですがわたしは二年考えておりました。バイオレットなどいかがでしょうか?瞳の色とも似ておりますし、すみれ科の総称でもあります。シャルファーサ王女の可愛らしさの中にあるたくましさは正にふさわしいものかと」
「スミレ色かどうだね?シャルファーサ王女、第三王子の意見を考慮してみては」
「二年の月日があった割には芸のない名前ね。でも忘れずに居てくれた。戻ると信じていてくれた証の名前よね。それに私は自分の赤毛より紫の瞳のほうが好き」
「じゃあ、そこら辺で決めてくれ。俺が用意した100の名前全部蹴ったのだからな。俺は亡命の姫君に一日付き合うほど暇じゃないんだ」
「それは半日居てわかったわよ。10分ごとに来客がくる」
そんなことを言うと扉を叩く音がして第二王子が呼び入れる。
「忙しい中、申し訳ありません。備品の購入の決算書ができましたのでお目通しをお願いいたします。それからホーマ王国から魔術師派遣の依頼がまいってます」
「ホーマか、遠いな。何用で何人ぐらい必要なのだ」
「国王陛下の第六姫カデン様がご病気で一般治療では治らないとか」
「カデン?正式王命ではないな。愛人の子か?」
「左様にございますゆえ、正式依頼ではなく援助依頼なのですが…」
「それならわたしが向いましょう。賃金は貰ってしまっていいですか?」
「立場も同じなら気安かろう。第三王子、頼むぞ。賃金は好きにせい」
「シャルファーサ王女、今日中に亡命手続きをすませてくださいね。できればホーマまでご一緒にお願いしていただきたく存じ上げますので、では失礼します」
シューランデルス王子は退出をし、旅支度に入った。支度が終わる頃戸を叩く音。
「入っておいでバイオレット」
「お邪魔しまーす。なんだかくすぐったいね。その名前で呼ばれるの」
「俺はシュミレーションしてたからそうでもないかな。まぁ座って」
「それよりあっちがいいな」
寝室に入っていこうとするバイオレットを扉を閉めて拒否するシューランデルス王子。バイオレットは何故?って顔でシューランデルス王子の顔を見た。
「あのね、バイオレットはいくつになった?ましてや俺たちはもう結ばれてる」
「死を覚悟した時の夢よ。私はバイオレット全てを無くした何もない女。金も地位も仕事も失ったわ。もう運び屋はできないし、少しの援助金を使い果たしたら一文無しの女よ。住む家さえないわ」
「亡命の援助金は元の地位に比例する王女の立場なら半年は遊んで暮らせる援助金をテマルの知りうる情報との引き換えに約束されたはずだよ。拒否したの?」
「まさか、出来うる限り売る覚悟よ。でも様変わりしてるみたいだから…」
「サラリーの手紙は届いたんだね。バイオレット君には王女としての教養と学、そして運び屋としての知識と知恵がある。貴族の家庭教師もできれば物の鑑定もできるし運び屋の仲間の仲介も可能だ。職の心配はいらないのじゃないかい?」
「それはそうね。心配して損したわ。小さな家を借りて仲介をしながら貴族達に教養をみにつけさせ恩を売って運びの仕事を貰い受ければいいんだわ。今度は自分が運ぶんじゃないしテマルにこだわることも無い。シューランデルス王子頭いい」
「それでね、さっき聞いてたと思うけどホーマ王国まで一緒にきて欲しいのだけれどもいいかな?今、俺は第三王子として城に居るけどサランとして治癒術師もやっててね。各国飛び回っているんだ」
「サランは健在かぁ。カロルも元気なんでしょう?」
「元気だけどなぁ。旅は二人で行ってくれ。今子育てで忙しいのだ」
カロルが赤ん坊を抱いて隣の部屋から現れる。子供は父親の中で静かに眠る。
「か、かわいいっ。でもなんで近衛でしょう付いて来ないの?」
「サランが条件満たしたからな。魔法も使ってだが傭兵50人倒せる。お忍びには出来る限り口をださないことになったんだよ。王子つき近衛としての仕事も成人して増えたしな。つまり王子の身代わりだ。こっちのほうが余程えらいが今しか子を作るチャンスもないと思ってな。サラリーの方が忙しいからほとんど俺の世話だ」
「だからって抱き癖をつけるのはどうかと思うよ。寝たらベッドに置いて来いよ」
そそくさと置いてくるカロル。はたから見て親馬鹿丸出しである。
「二人で旅に出るの?男と女が?」
「宿場は寝床男と女に別れてるんだ問題ないだろ?いろいろ話したいし俺自身の気持ちもはっきりさせたい。それには二人で過ごすのが一番かと」
「ああ、そうだよね。好きとか嫌いじゃないよね。あの時は切羽詰まってた」
「それでもシューランデルス王子はあれでよかったのかと二年悩み続けてた」
「カロル。そのことはもういいんだ。生きて目の前に居てくれるのだから。ただ俺自身の気持ちの整理と第三王子の立場が会えなかった母を思い出す」
「あ…そうだよね。王子は亡命者とは結婚できない。国害になりかねないから…」
いきなり辛そうに声を押し殺し泣き出すバイオレット。シューランデルス王子も顔を上に持ち上げ目じりを押さえる。そんな二人を見てカロルが言う。
「ホーマ王国まで仕事込みで一週間から10日だ。とにかく二人で行って来い。王子をやめることはできないが友情は消えやしない。青春の時をお前たちは二人で過ごしてきたのを俺は見てきてる。王子なりに共に過ごす方法もみつかるさ」
カロルは思う。旅になぞ行かなくても、もうとうの昔に答えはでてる。二人を見てきた俺には充分すぎるほど分かっているのだが、王子が時間を欲しいというのなら、それもいい。今度は王子の立場が邪魔をする。それでも二人は離れないだろう。
「体は鍛えてあったつもりだけど、こうして歩くのはひさしぶりぃ」
「いったいどこに居たんだい?」
「それはカデリアとの約束だから秘密。二人しあわせになるといいな」
「80年越しの恋か。まったく偏屈すぎたばーさんには想像もつかないよ」
「サランは嫌だった?その私の口付け…」
「驚いたけど嫌じゃないよ。13歳で知り合って以来ずっと気にかけてきた人だ」
「でも友情と恋は違うといいたいのでしょう」
「そう、そして俺の心は天秤のように揺れ動いてる。どうしたらいい?」
「とりあえず仕事をすます為に急ぎましょう。重症になられたらやっかいよ」
「女は現実的生き物だなぁ。もっと悩めよ想いに浸れよ。まぁともかく仕事だ」
「そう仕事でしょう。引き受けたんだから責任あるのよ。私は充分すぎるほどシューランデルス王子に浸っていたわ。二年間浸り続けてたといってもいいわよ」
「ねぇ、今日は宿場じゃなく森で寝ましょうか?」
「馬鹿。誘ってるのか。何しても知らないぞ…誘ってるのか?」
バイオレットの不敵な笑いがそれを物語っていた。
サランは優しくバイオレットを包み込み髪をすく。野外の準備もばんたんだった。厚めの毛布が魔法の袋から引き出されると二人はお互いを包み込みながら眠った。
ホーマへつく予定の四日目二人は口付けを交わす。それは互いの決意の意味で。
ホーマへつくと慌しかった。まず国王の招待状で国王に合う。出来る限り急いだ方がいいと、その日のうちに病人のいる貴族の家に招待状を書いてもらい訪問した。
末貴族のやっと税金を払い貴族の地位を買うような貧しい家だった。
召使らしきものが1人と執事らきものが1人と医師らしきものが1人、第六王女とその産みの母親、さらにその母親の両親だけが細々と暮らしていた。サランはまず部屋の下見をし窓が一番多い部屋を全員で大掃除すると王女をその部屋に移す。
かび臭い、ネズミが平気で通るような家では治る病気もなおらないものだ。王女の様態を見てみると呼吸困難と発熱がいちじるしい。薬のビンの袋を開けようとするとバイオレットがとりあげ
「指示して薬の名前でも番号でも並べられる勉強をしてきたわ」
「じゃあ7番、2番、16番、8番……ありがとうそれで全部だ」
二人で蓋を開けていく。勉強してきたバイオレットにもこれが蘇生に近い力を持つ
秘薬を広げているのがわかる。王女の病状はかんばしくないということだ。
「一人で回復できるの?」
「ああ大丈夫だ。俺も腕を上げている。状態によるが蘇生も一人でもうできるよ。それより凄いね。俺の助手として困らないだけの知識を身につけている」
「というより、サランの助手しか務まらない。サランの動き、癖、間合い、順序そういうものをカデリアから教わってきた。もちろん魔法薬の種類や特性もだけど」
サランは静かにバイオレットに口付けすると呪文を唱え始めた。半日もすると
「もう大丈夫なはずです。体を拭くかお風呂に入れ清潔さを保つてください。ネズミやゴキブリが触った食べ物はお腹を空かせても食べさせないように」
帰り道の二人は熱かった。覚悟を決めた若い男女が結ばれるのは早い。サランも成人していたし、バイオレット以外を知らない。二人は燃え盛るようにお互いを求めた。テルモノに帰りつく頃には居なくてはならない互いの存在になっていた。
城に帰って両親と兄弟を集めるとシューランデルズ王子ははっきりと言った。
「バイオレットを伴侶に迎え入れたいと思います。できれば城をでたいのですが」
「ならん!どちらもならんぞシューランデルズ。あれとは結婚はできん。そしてお前はすでに城の潤滑油の一部の役割をなしている。城をでることも許さん」
「何も結婚をしたいとはいっていません。他の女とは縁を結ばないと言っています。城を出るなというならでませんが城にバイオレットの部屋をお願いします。彼女がどんな立場にあろうとも後にも先にも私が愛するのはバイオレットのみです」
「お前は自分の立場をわかってるのか?見目美しさと親しみやすさで人を魅了することを知っているだけの存在だ。城に対する権力はない。言われる人間と結婚し子供を作り次代の第三王子を育て上げるのだ。それだけがお前に与えられた役目だ」
「ならば何故城に引き止める。必要もない存在なら出て行ってもいいはずだ。たかが社交術に優れ見目美しいだけの存在なら第三王子は必要ない。必要不可欠だから強制もするのでしょう。子供ならバイオレットとの間にも作れる。
私は愛人の子だ。その男が結婚はのぞまぬと言っているんだ。本当の愛を貫きたいと言っているんだ!!王権がなんだ。その気になれば私は国を揺るがす存在にもなれることぐらい自分でわかる歳にはなっている」
「そう力むな第三王子。お前の気持ちはわかったからわたしが上手く行く様に取りはかろう。第三王子の立場は私には有益だ。ここで見知らぬ女と結婚して摩れられるよりも真っ直ぐな王子でいて欲しい。すべてお前の望みを適えようではないか」
「第二王子…」
「第三王子の印象を崩さず。反逆者の娘と結ばせる方法があるのか王子よ?」
「彼女が真の英雄であるのはこの目で見ているのです。情報戦なら大国テマルにも負けはしませんよ。第三王子魔法を使えるものを駆使するぞ手伝え」
「ふーっ、ワシはそろそろ引退じゃな。大局が見えんようでは王失格じゃ」
「そうおっしゃらずに、その威厳こそテルモノの鏡なのですから。雪山に出陣なさる元気がまだあるのですからお歳は召しても王力は健在ですよ」
この間第一王子は次期国王にあるにもかかわらず一言も発さなかった。育て上げた女王もである。ただ愛しみの瞳で見つめ、苦渋の顔をしてみせただけだった。第二王子執務室にそのままいくと魔法使い達が全てあつめられる。カデリアもいた。この歳で夫婦して特別処置としてて国の魔法使い入りを果たした。
「伝言水晶にでも記憶を残してあれば簡単だったのだがまずは真実をどう伝えるかだ。どうしたらいいと思う?魔法使い達よ」
魔法使い達がいっせいにクスクスと笑い出す。まるでいたずらを思いついた子供だ。
「何がそんなにおかしい?真実は過去に消えているのだぞ」
宮廷魔術師が前に出てひざまつく。
「申し上げます。あの場には私とカデリアとサラリーが居りました。三人とも記憶の伝承魔法、時写しの使い手でございます。他の魔術師たちに正確に素早く記憶を写したいと思います。そして夢枕の魔法でテマルに出来た新しい組織の人間に夢で記憶を見せるのです。次に夜幻影で街中で記憶を写してはいかがかと思います」
サラリーがそれに付け加える
「近隣国の王にも夢枕の魔法をかけましょう。それで真偽は再び改めて問わざる得ないでしょう。そこへ嘆願書をだすのです。
シャルファーサ王女とカデリアの罪を不問にし名誉市民の位を与えるようにと。テマルの国はスノーの件で反乱がおき国民決議室ができたのですからここまですれば容易く罪は払われるかと思います。第三王子と結婚も可能になるかと存じます」
「それはバイオレットではなくシャルファーサに戻れるかも知れないことも意味するよね。国王の妹君に戻れるかもしれないと違うかな」
シューランデルス王子が聞くと、それは難しい顔をしてサラリーが答えた。
「一度王位を剥奪され犯罪の烙印が押されています。一生消えないものです。亡命手続きも完了しております。ですから新たに名誉市民の位を得てお二人に不自由が少ないようにと動くのです」
「宮廷魔術師、補佐役魔術師達の自由でいい。第三王子を出来る限り自由な立場にしてやってくれ。こいつには城で一生働いてもらわないとならないほどの人脈があるんだ。縛る分の見返りは返してやりたい」
「承知しました」
「自由にですって」
「魔術師の好きにしていいって」
「あら、久しぶりに羽が伸ばせそう」
「くすくすくす」
一抹の不安を覚える第二王子と第三王子だったがその場を解散した。そのまま自室に行くとバイオレットがきて赤ん坊と戯れている。カロルの子供だ。
「バイオレットは自分の部屋に居るより私の部屋にいる時間が長いね」
「だってカロル呼び出されちゃってサラリーも魔法のお仕事があるのでしょう?」
「うん。まぁいい予行練習だ。しっかり面倒を頼むよ。世話になってるからね」
「子供…産んでいいの?」
「バイオレット以外に誰が俺の子を産むんだい?」
バイオレットは心底意外そうに、でも幸せな顔をしてみせた。
「その為に魔術師たちに動いてもらってるのだけど少々覚悟しといた方がいい。派手な表舞台に立たなきゃいけないかもしれない。君はスノーを壊した英雄としてね」
魔術師達の行動は早かった。夢の中に時には夜空に時には人の脳裏に現実に起こった映像をばら撒き、とても楽しそうにしている。本来魔術師は人を翻弄させるのが大好きなのだ。そして一月後にはバイオレットとカデリアは国民決議室に呼ばれる。
そしてテマルの魔術師の元、その記憶が造影されたバイオレットの視点とカデリアの視点では多少違うものの同じ物語がつむがれている。これで国民決議室では嘆願書の要求を審議することになるのだが審議中に来るわ来るわ他国からの真偽の問い合わせ。
それに真実を伝え自分たちが立ち上がったことを強調し今バイオレットとカデリアを罪から開放し逆に国際名誉者の地位を新しく新設すべく動いてることを話す。事が済むのには半年の時間がかかり、二人は無事にテルモノの市民として生きる権利を改めて与えられた。これで亡命者じゃなく国際名誉者となったわけである。
「思ったより早かったわね」
動き回って目が離せない時期の赤ん坊を片手であやしながらサラリーが言う。
「国民栄誉者になれたこと?」
バイオレットが聞くとサラリーはにっこり笑い
「近隣諸国を巻き込んだからね。もう少し時間がかかるかとそれとお腹」
「やっぱり入ってるわよね赤ん坊…止まってるし大きくなったし…」
「とにかくテルモノの市民権を得るのが間に合って良かったわ。生まれたら結婚式よ。もう障害になる犯罪烙印は内からも外からも消してあげたからシューランデルズ王子と一緒になるといいわ」
「うん、ただ…生まれても一年は挙げたくない。カデリアが老衰した伴侶を後追い自殺するなんて考えてもなかった。ほんの1年足らずよ。二人は死ぬために出会ったみたい…あんなに気丈な人だったのにな」
「カデリアの中で恋は終わることなく続いていたのでしょうね。ほら、元気を出しなさい。男共が剣術稽古から帰ってきたわよ。私たちは逞しく生きましょうね」
そういうとサラリーとバイオレットは愛する人を迎え入れた。
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