大国 テマル

むかしむかしそれは異世界でのお話。

王子の名はシューランデルス。だけど町にお忍びに行くときにはサランと名乗っていた。


「大国テマルまで付き合って欲しい?ってなんかやばい運び物でも引き受けたわけ?できれば俺はなんでもない会話がいつだってしたいんだけどね」


「運び物は少量の火薬なんだ。ここの魔術師王国テルモノの国産品。私は依頼主からそれを手渡しするまで持っていかなきゃならないのだけど…三組の盗賊に狙われてる。それも表向きで二組は正規の兵隊だ。貴族の争い事ってやつ。


そこそこ腕の立つ奴でそれを逆に奪おうとしないくらい商品に興味を示さないような人って考えたときサランしか思いつかなかった」

「確かに俺なら国産品になんか眼の色変えないけどね。ほしければ手に入る」


「でしょ?だからお願い運び賃の半額金貨三枚で引き受けて」

「俺一人じゃ荷が重いな。カロルいるだろう、でてこい。多少危険だが他国というものも俺は見てみたい。しかもテマル王国の第二王女の頼み事だ。こちらとしては怪我などしてほしくないのが本音だ。引き受けられるか二人でなら?」


「て、わ、私が第二王女ってもう調べ上げたの?」

「本名を名乗ったのが不味かったね。王族特有の意味のない名前にテマルの出身、あっという間に見つけられたよ。その髪がカモフラージュになって王宮で会ってるはずなのに気付かなかった。名乗りをあげておくべきだよね。礼儀として。


わたしはこの国の第三王子、シューランデルス。以後お見知りおきくれたまえ」

「あ、あ、第三王子!魔法に剣術両方使いこなす優良児じゃない負けるわ」

「君は王族が名乗りあってるのに王宮言葉も使わないのだね」


「私、苦手なの。はねっかえりで城にも滅多に帰らない不良娘でさ。何より町の言葉のが気に入っている。王宮言葉はかたっくるしすぎてね」

「困った、お姫様だね。そういう訳で知ってしまってるから無下にも断れないのだよ。何かあったら国事の問題になるからね」


「私がすきで運び屋なんてしてるのよ。命を落としても国事にはならないわ。お父様もそこらへんは充分諦めているはずよ」

「本当に困った姫君だね。カロル金貨三枚で引き受けてくれるか?」


「いいですよ。王子も見てみたいのでしょう他国を?いい経験になります。わが国の治世が大国テマルよりも安定してることが理解できるはずです」

「カロル、姫君の前だぞ」


「その姫君に気を使うほうが嫌われますよ王子、人を見て対応することも覚えなくてはならないことの一つです」

「あははは、よく言ったわカロルとやら。確かに私に作法は無用よ」


サラン…シューランデルス王子はため息をついて、運びの日程を決め急ぎ旅支度をするのだった。治世が大国テマルよりも安定してることが理解できるはずですというカロルの言葉も気になった。国はでかければいいというものでもないのか?


国の城壁をでてすぐに一組は現れた。戦い方がなってない。なにより獲物が小さいものが多い。統率はとれていたがすぐに本物の盗賊だと判断できた。戦いはカロルにまかせてサランは魔法をかける。混乱と目くらましだ。それで充分だった。


「カロルって強いのねーっ。こんなのがバックについてたとはねー」

「カロルが勝てないとしたら奥さんのサラリーくらいだ尻にしかれてる」

「せめて女房をたてていると言ってくれ本気で勝てないわけじゃない」


「そりゃ男だし、でも口で勝てた試しがないじゃないか」

「宮廷魔術師補佐役に何人が口で勝てると思うんだよ。あれは達者すぎなんだ」

「すごいの奥様にしているのね。恋愛?」


「ああ、恋愛だよ。俺もあいつも国というよりジューランデルス王子に忠誠を誓ってるからいつかは城をでるだろうが…俺も近衛隊長なんだバランスは悪くない」

「サラン、近衛つれてちゃお忍びとは言いがたいわよ」

「仕方ないだろう。ついてきちまうんだから。退ける条件が傭兵50人倒せだぜ」


「あはは、確かに傭兵50人相手に出来たら近衛はいらないかもね」

「次が来たみたいだぜカロル。どうする?」

「今度は正規兵ですね気配が隠れてる。基本魔法をかけて援護頼みます」


サランは剣にウェッポンと身体に身体強化、防御力増加と魔法抵抗をかける。シャーにはさらに防御結界を張りそこからでないように言う。そうしていると向こうから四方取り囲む形ででてきた。二人はお互いの背中を守るように戦う。


その時間10分、50人近い人間が倒れている。

「こりゃ、総力挙げて来たな。ひとつは潰れたと見ていいと思うぜ」

「そんな感じだねぇ。で、もう一組はどこかでみてるよ。気配がする」


「王子が言うなら確かだな。五感は見事に発達している器用な人だ」

「王子でなくサランだろう。聞こえる範囲に誰かいたらどうする」

「こんな街道で戦闘してるのに近寄ってくるやつなんていませんよ。ほら遠巻きに見ていた旅人たちがやっと動き出した」


街道を歩いて夕刻、一件の大きに宿場に着く。下は食道と風呂場、上二階が宿になっているようで男と女に別れているだけで個室はないようだ。

「こんなところで寝ているのを襲われたら迷惑をかけるものが無数にいるな」


「宿場には襲ってきません。一種の聖地みたいなもので暗黙のルールです。宿場は約一日歩けるところに一つ。作りも皆ほぼ同じです。子供も老人もお尋ね者も貴族も皆固まって寝る場所です。襲ってきたら神隊が来ます」


「神か。この世界は人が支配するのではなく神が支配していることを時々忘れてしまうぐらい神は口をださないからな。そこに神隊がくるということは、ここは人が生活するのにとっても重要な拠点ということなのだな」


「こんな大勢の場所で寝るのは初めてでしょう。寝れますか?」

「俺はそれでも男だよ。いざとなれば雑魚寝くらいしてみせるがシャーは毎回こんな人だかりの中寝ては往復してるのか?」


「旅人は女の方が少ない。風呂場は女の方が大きい。往復慣れしているのなら彼女はほっといても大丈夫だと思いますよ。正真正銘のはねっかえり娘ですね」

「全くだ。そろそろ結婚も考えられる歳だろうに城にも寄り付かないとはな」


「だからかもしれませんね。政略結婚は女の方が10歳は若い。男なら25歳で考えればいいところを女なら15歳で考えさせられる。心情的にはまだ夢をみていたい年頃でしょう。恋愛の相手でも探しているのかもですね」


「ふーん」

王女が恋愛?それこそ悲劇しか生まないではないか。男ならば好ましいことではないが愛人を囲めば済む。だが女では…見つかり次第男の首は刎ねられ、妻となった者はよくて監禁、最悪拷問の末、離婚、捨てられ帰る家も無くす。それは王女という高い立場でも変わらぬことだ。何を考えてるのかサランには理解できなかった。


でも去年の俺はやはり素敵な女性とのめぐりあわせを夢見てた。シャーが同じように素敵な男性とめぐり合うのを夢見ててもおかしくないし、夢をわざわざ壊す権利もないだろう。


ともかく四日の旅路が終わろうとしてた頃、もう一組も表に出てきた。国も近いこともあって人が多いので広範囲防御膜をはる。結界ほど強くはないが大勢を守るのと広範囲を守るのに適している。後は基本魔法をかけサロンとカロルは戦った。


魔術師がでてきたがサロンは治癒系魔法を中心とするが基本形魔法は多岐にわたって習っているので対処は容易だった相手の攻撃魔法を消去魔法で消し去ると沈黙の呪文で相手の魔法を唱えられなくする。後は切りかかって終わりだった。


「ありがとう。ここで別れましょうか。町を見物するのでしょう?本当に助かったわ。後は無事に届けるだけ」

「まだだよ、シャー。殺し屋の部類が顔を見せてない引き渡すまでついてく」


「殺し屋まででてくるかな?」

「うちの国の国産品をなめないでくれ。その手持ちの少量でうちの国なら見事に吹っ飛ぶ。テマルだって城を粉々にするくらいはできるだろう魔法の火薬だ」


「そーゆこと。君は知らずにかなり危険な橋を渡っているんだよ。用途の用件次第では依頼主も潰さなきゃならない。できるなら報酬を受け取ってからね」

「あちゃー。マジでこれだけの量でテルモノ吹っ飛んじゃうの?」


「そう、かなり危険な品物なんだよ。手に入れたい貴族が何したいのかによるけどね」

「とにかく国にはいろーぜサラン。目の前のが城門」


………見張りの兵士すらいない。入り口はただ広く戦争が起きても閉める城門もない。そして入り口にたむろする乞食たち。これが大国テマルの入り口なのか…

「どうしたのサラン入るのは自由よとっとと入りましょう」

それが当たり前のようにシャーは門をくぐる。


魔法には黒髪黒瞳に染める魔法しか姿代わりの魔法はない。黒姿の魔法というのだがどの国でも高位の者たちが使うことは知られ広がっている。もちろん生まれ持った黒髪黒瞳の者もいるのでそういう人たちにははた迷惑な習慣なのは知っている。


この乞食たちと瞳を合わせずに門をくぐるのは慣れがいるなと思った…が中はもっと酷い有様だった。そこら中にテントらしきものが立ち、お椀を片手に物乞いする人たちの山。それを掻き分けてあるかねばならないのだ。


「これは何事なんだシャー」

掻き分けながら迷わないようについていくのも一苦労だ。


「隣国キルドとサファラが領土争いをしててテマルへ流れた難民達よ。城壁の内側は彼らの張ったテントで一杯よ。国としては乞食たちともども三日に一回食事を与えるのが精一杯の広さまで拡大しているの」


「サラン、もう一つの城壁を抜けると普通の町並みになるから」

「もう一つ城壁があるのか?」

「正確には七つあるわ。城に近づくほど城口の感覚は狭くなり見張りの兵も多くなる。城門もあるし、中央ほど金に恵まれた者たちが暮らすわ」


「身分じゃなく金なのか?」

「金よ。中央に行くほど国軍に守られる。身分が高くても土地が買えなきゃ外枠に暮らすしかない。テマルが富の王国として知られる所以よ。


そして私が拠点をテルモノに置く理由。ここではどこで仕事を受けるかで危険度も報酬も決まってくる。テルモノはどこで仕事を請け負ってもそこそこの報酬と安全が約束される。たまにこんな危険な仕事も受けちゃうけどね」


城壁をくぐらなくとも岡にそびえ立つテマルの城ははっきりと見える。その城の輪郭がわからないほど城門をくぐり城に近づいたところ。七つと言っていたから六つ目の城壁をくぐった所に取引相手の屋敷はあった。


屋敷に入ろうとした所で殺気で思わずシャーを抱きかかえひとっとび後ろに下がる。下ろすと同時に重複の攻魔結界を張り二人して中に入る。この間にカロルは相手ともう剣を交えている。身体防御を先にかけてからウェッポンと身体強化、防御力増加に魔法抵抗、そして持続治癒をかけて見物である。


「助けなくていいの?」

「俺は守られる身分だよ。あのレベル相手に飛び出したら逆に迷惑になる」

実際の戦闘は15分ほどかかった首を刎ねてやっと終わる。始めて顔を背けるシャー。


「逃避してくれず生け捕りもむずかしそうでしたので殺してしまいました」

「まぁ、仕方ないだろう。片付けは主に頼もう」

そうして三人は主にあい、殺し屋の片付けと火薬の恐ろしさを説明する。


「それが庭に作った洞窟の庭園がこの前の大雨で塞がってしまっての」

「なら使い方を実践してみせます。火薬をお借りしますよ。案内してください」

その入り口を見たサランはため息をつき耳かきほどのさじをポケットから取り出す。


そして瓦礫の中央にさじ1杯の火薬を置くと離れてくる。

「カロルあそこにたいまつを投げれるか?コントロールはわたしより確かだろう」

「方向感覚とコントロールとは別物なんですねぇ。サランが物に当てた試しはないですからね。任せてください。これも教養のうちです」


そういうと火薬を置いたぴったしの所にたいまつを投げる。そうすると恐ろしい爆発音が鳴り響き瓦礫はこなごなになって手前と奥に広がった。

「お客様が買ったものですからお渡ししますがきちんと管理しないとこの区域一体は爆発してしまうことがいまの量でわかりましたね」


客はただただ首を縦にふり。きちんと管理してくれることを誓ってくれた。それで一安心し、シャーとひとまず別れて城壁ごとの町の様子を見て回る。城壁近くは屋敷ばかりで店も何もない。召使たちはさぞ一苦労して生活必需品を仕入れにいっていることだろう。


五層になると大きな店舗が連なるが屋敷と兼用らしい。そして売ってる物はそれに見合った価格から、ぼったくりまで様々だがとにかく高い。四層になるとやっと普通の店と一般の住居が立ち並ぶ。


三層は旅人たちの街だ両替屋から宿や食堂。それが一つになっている宿場や旅の必需品を売っている店が立ち並ぶ。二層は言わばスラム街だ。町の貧しい者達が軒を並べて立てており引ったくりや強盗まがいのことをしてくる。


そして一層が難民区と乞食たちの街になっているわけだ。仕切ることで安全性と生活の安定をたもっているのはわかるが、これでは切り捨て方式だ。サランには納得いかなかった。何故これほどの大国が人々を幸せに導けないのか。


「夢と期待を持ちすぎたな。国は大きければいいというものでもないのだな」

「大きければそれだけの人数を抱えます。何を優遇して何を切り捨てるか、テマルの王国はその実践みたいな国。国だって全てに目をかけたいがかけれないのです」


「それに比べわが国は統制を父が取り軍事を長兄が国政を次兄が執り行う三身一体の国だ。私は政治には口出しできぬが私の仕入れてくる情報…まぁ世間話だなを快く聞いてくださる父上がいる。国としてこれほどの理想は無いと言ってもいいのかもしれないな。私はこの国に来てそのことを始めて気付いたよ」


「そう思っていただければ充分です。ここまで来たかいもあったというもの」

「で、そのまま帰んないでよね。帰るときも一緒してもらうからさ」

「シャー、それは別料金貰うよ」


「銀貨50枚でいい?」

「重たい上に使いづらい。特産品の泉の雫で適当な大きさなものを」

「了解。それでさー言いいづらいことがあって来たんだけど場所変えない?」


宿の中でも高級宿のさらに高級部屋を1つとって入っていく。ベッドにサランとカロルが座るといきなり土下座してシャーは謝った。

「何。大げさに謝ってるのさ。まずなに謝ってるのかがわかんないよシャー」


「あの貴族、私の名前もしっかり覚えてて髪の毛ひっとられた。かつらだってばれちゃって、あのレベルの貴族には私を見つけ次第城に報告って義務があるんだけどね、その時にサランのことも見抜いちゃってテルモノの第三王子がお忍びで入国ってのも報告しちゃったのよぉ。


近衛に捕まって戻ったら第三王子にも正規訪問…すなわち大国テマルへの礼儀として挨拶をさせろって言ってきたわけ。いくらお忍びだからって言っても頭の固い父上には通じなくってさ。小国が大国をないがしろにするきかとまでいいだして」


「いいよ。ちゃんと挨拶して帰ればいいだけのことだろう。テマルの国王とは初見じゃないからそれぐらい言う人だろうさ。俺は正妻の子じゃないしね」

「へ?そうなの。てかせつかくお忍びに来てるのに嫌じゃない?」


「おれは王政も王宮も嫌ってないよ。ただ自分の国を愛してるだけだ」

「…私とは大違いだね。連れ戻されるときも大暴れしたのに…」

「自分の国が嫌い?」

「嫌いじゃないけど父上や兄上の考え方は嫌い。姉様を殺したようなものだもの」


「ごめん、嫌なことを思い出させたようだね」

「ううん、もういい加減にふっきらなきゃ。ただ私は運び屋気に入ってるしお忍びの生活で満足してるから、あっさり城へ来てくれるとは思わなかった」


「俺は王子だよ。どう転んでもその事実は変わらない。すべき事も、状況により人から王子に戻らなきゃいけないことは覚悟しているさ。まずは身支度を整えよう。

カロルすまないが金を貸してくれ」


「わかりました。でもそれは俺も近衛にもどらないとということですよ王子。平和条約がなされているとはいえ、忍びのものに挨拶させる強引さだ。守りに付いていかないわけにはいきません」


ともかくも言われた以上、あまり待たせるわけにはいかない。最低限の礼装をしてシューランデルス王子はカロルを連れシャルファーサ王女の案内の下、テマル国王に謁見を申し出た。シャルファーサ王女も城内で着替えた。


二人とも黒髪のままだったが忍び中につきこれは仕方の無いことだろう。黒姿の術は一度解くと24時間は使えない魔法だ。王女はもともと美しかったがぼさぼさのボリュームある毛を取るとその美しさは際立った。


シャルファーサ王女はシューランデルス王子が記憶する限り赤髪に深い紫色の目をしたとても情熱的な匂いのする女性だった気がする。情熱を通り越して町ではねかえりまくつていることなど知らなかった頃の印象だが。


そしてシャルファーサ王女に連れられ謁見の間に案内される。まずは王女がお辞儀をして自分の席であろう場所につく。それを確認してからシューランデルス王子は床を注意深く見て歩く。王の前では王の言葉なしに顔をあげるのは失礼とされる。


それ故に前のもの達が踏みしめて跡になった絨毯を見て歩き王の位置を把握する。

綺麗に線引きされた絨毯の汚れに膝まつき王に申し立てをする。


「この度はお忍びにも関わらず城に入るお許しをいただき、感激に心をうち震わせております。お忍びゆえにこの格好と手土産の一つも無いご無礼をどうかお許しください。わたしはシューランデルス、テルモノの第三王子を身分不相応にも名乗らせていただいております」


「愛人の子と聞いておったが謁見の礼儀ぐらいは知ってるのだな。顔を上げよく見せよ。剣術、魔術ともに秀でた王子として名高いぞ。王子を名乗るということは正妻の子に養子取りされているのだな」


「それでは失礼を承知で顔を上げさせていただきます。わたしはまだ14歳若輩者にございます。少しばかり剣術と魔術をかじっているにすぎませぬ。それでも同じ歳ごろのものには引けをとらぬだけの努力と鍛錬は積んでいるつもりですが」


そういうと王宮で見せる王子としての笑顔を返してみせる。民衆に手を振るときの権威ありながらも幼さを残した人々を虜にして止まない笑顔だ。王女も王も内心ドキリっとし心拍数があがる。第三王子が民に愛されるのは他の王子と歳が離れているからばかりではなく。人の心を捉えてやまない魅力を備えているからなのだ。


その後、場所を変え、国を褒め称えた後。姫君をお預かりすることを許しを得て、

無事に忍びの生活に三人は戻った。

「もうびっくり、完璧すぎない。国のことなんてよくあそこまで褒め称えられるものよね。私ならぼろがでるわ。それにあの笑顔魅了されずにはいられない感じよ」


「それがわたしの仕事のようなものだからね。礼には礼をもって義には義をもって最高の美しさで相手をおもてなしすること。なんの権力も持たないわたしにできる数少ない国のためにできることだよ。第一忍び先で大国に喧嘩を売るわけにはね


それよりシャー。もしもだよ。私の国の者と恋に落ちたらだよ。ちゃんとわたしに相談してくれ。便宜をはかれるところは測りテマルの国が恥じないよう最低限のことはするから。ただ一般市民との恋愛は避けて欲しい。辛いかもしれないけど


わたしたちは王族で対面を気にしなきゃならない立場にある。それでも国を捨て身分を捨ててその人に走るなら私は個人の友人として自分の力の及ぶ範囲では助けたいと思ってる」


シャーは一瞬きょとんとしてから馬鹿笑いをした。

「そこまで夢見るほど馬鹿じゃないわよ。もう15歳よ。縁談の話なら馬鹿ほど来てるわ。誰を選ぶか悩むほどよ。だけど誰も選ばないシャーは独身で暮らすわ」


「一国のお姫様がそんな無茶な。いずれ強制されるぜ」

「カロル強制されるには相手が望まなくてはいけないの。私が城も帰らず何故はねかえってると思うの?私の姫からぬぶりは国中有名よ?」


「今じゃなくてもいいいずれそんな日が着たらの話だよ。シャーは俺の国にいすぎるから受け入れるのもうちの国だろうと思っただけさ」

とにかく三人は魔術師王国テルモノに向って帰っていった。


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