第416話 3回戦目の終了

「おつかれ」


「大丈夫なのか?」


「うん。大丈夫だよ」


試合を見終わった俺達は舞台を直している合間時間があったのもあり、ラウレーナのお見舞いにきた。

試合終了時は気を失っていたラウレーナだったが、俺達が医療室に着いた頃には目が覚めていた。


「しかし、あの結界は凄いね。疲れすら感じてないよ。何ならもう1戦でも全然問題ないくらい」


あの結界は疲れなども無かったことになる。また、消費した魔力や闘力なども結界の外に出たら全回復する。やはり、かなりの代物だよな。



「…やっぱりまだSランクには適わなかったよ。まだ余力は残してたと思うし、僕からは背中すら見えてないかも」


ラウレーナは拳を強く握り、悔しそうにそう言う。


「ルシエルには僕の仇を取って欲しいな」


「任せるのじゃ!っと言いたいところじゃが、余の場合はその前に全身ローブに勝たないといけないのじゃ」


あの全身ローブもSランク同様に底が知れない不気味さがある。


「生死がかかってる訳でもないから気楽でやっていいよ。何なら負けたとしても決勝でヌルヴィスが僕達の仇を打ってくれるよ」


「そうじゃな!」


「いや、俺へのプレッシャーが凄いな」


もし仮に決勝まで上がったとして、その相手がSランクか全身ローブかは分からない。だが、その時が来たらどちらにせよ魔力を使ってもいいかもな…。それらを隠したままだとラウレーナのようにSランクとまともに戦うことすらできないだろうしな。


「俺達は次の試合を見に行くが、ラウレーナはどうする?」


「僕も見に行くよ」


ラウレーナはそう言って、ベッドから降りると、俺達と一緒に観客席に移動した。

次次の試合は全身ローブだったが、相変わらず開幕早々の高威力の魔法でまた勝利していた。

また、さらにその次にはルシエルの試合だった。ルシエルの相手は2mほどの大剣を使う大男だった。だが、避け主体のルシエルは相性が良く、比較的遅い攻撃を避けながら攻撃を続け、あっという間に勝利した。

こうして、次の試合で全身ローブとルシエルが戦うのは決定した。


そして、その次の日、俺の試合がやってきた。


『試合開始!』


「ゴーレム起動!」


試合が始まった瞬間に相手は4m程の土?石?で出来た2体のゴーレムを作り出した。


「ファースト!攻めろ!

セカンド!守れ!」


1体のゴーレムは俺に向かってくる。俺は大鎌を構えて迎え撃つ体勢を取りながら、残したゴーレムの後ろにいる対戦相手にも警戒する。


「凍てつけ!アイスランス!」


「っと!」


ゴーレムの股下から魔法を放とうとしたので、向かってくるゴーレムを盾にするように移動したが、魔法は曲がってゴーレムを避けながら俺に向かってきた。

俺がそれを避けると、その間にやってきていたゴーレムの1体が拳を突き出してきた。


ドゴッ


「ほう…!」


攻撃は難なく避けれたが、ゴーレムの拳が当たった地面が軽く凹んでいる。もちろんSランクよりも低威力の攻撃だが、俺の防御力では食らったら大ダメージだな。


(それにしてもよく考えているな)


目の前のゴーレムに集中したら魔法が飛んでくるし、もし倒してもまた新しいのを作られるかもしれない。

また、対戦相手を倒しに行ったらゴーレム2体に挟まれながら魔法が飛んでくるだろう。


(魔法が使えたら広範囲を攻撃して終わりだな…)


相変わらず魔法を使えばそこまで苦労せずに勝てる状況だが、使うとしてもまだここではない。


「シールド」


俺は無属性魔法の盾を複数枚作る。


「しっ!」


「なっ?!」


そして、その盾を足場にして俺はゴーレムの遥か上から対戦相手へと向かっていく。空中から移動すれば挟まれることもない。


「凍てつけ!」


「サイズ!」


空中の俺を狙って魔法の詠唱を始めたので、先に無属性魔法を放つ。


「うっ…!」


何とか無属性魔法は杖でガードしたが、地面に尻もちをつき、詠唱も中断される。

その隙に俺は対戦相手の目の前に急降下している。


「らあ!」


「げぼっ………」


急降下した俺はそのまま大鎌の峰で相手を殴って吹っ飛ばす。相手はそのまま場外に出た。


『試合終了!』


そのアナウンスがかかっているが、俺はその場から距離を取る。その理由は2体のゴーレムがまだ動いていたからだ。

ただ、それもすぐに停止し、項垂れてその場から動かなくなった。


こうして俺も勝ち上がり、4回戦に進めることとなった。

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