第408話 Sランクの権限
「……お前はステータスが見えるのか?」
俺はSランクの女を警戒して見ながらそう問う。人目で俺達の職業が普通ではないと分かるということは、俺やルシエルの特殊なバレたくないステータスも知られているのかもしれない。
「いんや。俺が分かるのはまだコレクションしてないステータスかどうかと、その職業が強いかということくらいだな」
「……なるほどな」
Sランクの女の話が本当だとするならば、俺達のステータス自体がバレている訳では無いようだ。
きっと鑑定や看破のようなスキルではなく、直感系のスキルなのだろう。
「ちなみに、俺達の職業は強いのか?」
「そこの女の子は強くて、そこの女の子は見てきた中で1番強い」
Sランクの女はラウレーナ、ルシエルと順番に指差しながらそう言う。
ルシエルの職業はかなり特殊なため、職業としての強さなら剣聖や賢者を上回るかもしれないからSランクの女の発言には納得できる。
ただ、この話は職業の強さであって、当人の強さでは無い。そのため、ラウレーナがルシエルよりも弱いかというと少し違くなる。
「そして君は…」
最後にSランクの女は俺の方を見てそう言いつつ言葉を止める。
そして、数秒経ってから続きを話す。
「きっと強いんだろうなっていうのは何となく分かるけど、よく分からない」
「な、なるほど…」
Sランクの女の評価はよく分からないだった。
確かに魔法剣士という職業があったら間違いなく最強格だが、そこに不遇が入ったらよく分からないものとなるだろう。
「だからこそ、そんな職業をしている君とは絶対に戦いたい」
「………」
Sランクの女は獲物を前にした肉食獣のような目をしてそう言ってくる。
「3人とも大会には出るんだよね?」
今度は受付を見ながらそう言ってくる。俺達の職業をコレクションしたいのならその確認は必須だろう。大会なら合法的に戦えるんだからな。
「ルシエルは出ないぞ」
「何で!!!」
だが、残念ながらルシエルは大会には出ない。
「ルシエルは奴隷だからな。奴隷は大会に出るのは禁止だ」
「………」
ルシエルも大会に出たいと思っているが、それはルール上できない。
「ちょっと待ってて」
「なっ…!?」
Sランクの女はそう言葉を言い残し、姿を消した。ある程度警戒していた俺達ですらその咄嗟の動きは目に追えなかった。
「とりあえず……受付をするか」
俺達の周りから人が居なくなったが、受付の周りに並んでいる人も居なくなっていた。だから今なら待たずに受付ができる。
「大会の受付をお願いできるか?」
「は、はい!」
受付の人は俺達に戸惑いながらも受付をやってくれた。
受付では推薦状を出したので、推薦枠として大会は本戦から参加することになった。
また、その後は30分ほどこの国での大会特有のルールや仕組みなどを聞いていた。
そして、受付が終わり、とりあえず宿を探そうかという時だった。
ゴガン!
「おまたせ!」
「うおっ!」
地面にクレーターを付けるほどの勢いで消えたSランクの女が帰ってきた。
「何しにどこに行ったんだ?」
「奴隷も今回の大会に参加できるように大会責任者に脅…命れ…お願いをしに言ってたんだよ」
「はあ…」
そんな非常識な頼みが通るはずがない。もう大会は明後日から始まるんだぞ。
「それで、奴隷も今回の大会は参加できるようになったから明日また受付をしてね」
「はあ!?」
最初はSランクの女が冗談を言っているかと思ったが、そんな様子は全くない。
Sランクの権限を使えば、こんな明後日からは開催する大会のルールすらも変えてしまえるのか?
「それじゃあ、大会で3人と戦えることを楽しみにしてるよ」
Sランクの女はそう言うと、歩いて去っていった。
ちなみに、一応翌日に試しに受付に行ってみると、本当に奴隷も参加可能となっていた。
ただ、ルシエルは推薦状が無いため、予選からの参加となってしまったが、それでも参加したいと言っていたから参加することになった。
少し気になるのだが、Sランクの女が対戦順も決めて、初戦からSランクの女と戦わないといけないとかはないよな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます