第407話 受付と…

「デカイな……」


少し受付をする大会会場に近付くと、ドデカい闘技場が見えてきた。


「闘技場だけで縦横200m以上あるんだって」


「それは凄いな…」


その大部分は観客席で、実際に戦う舞台は縦横50mと少しだそうだが、それにしても十分大きい。


「観客は3万人以上も入れるんだってさ」


「闘技大会で国が成り立つわけだ」


そこまでの闘技場があるのなら闘技大会だけで国が成り立つのも頷ける。


そんな会話をしながら俺達は闘技場へと向かった。



「……最終日近いんだよな?」


「明日が最終日のはずじゃな」


俺達が闘技場前の大会受付に行くと、そこには何十もの人が並んでいた。


「僕達同様にギリギリに来た人が多いんじゃない?」


「へぇ〜〜〜」


ラウレーナの獣人国での大会はあくまで国内で有名だっただけだが、この国での今回の大会は世界規模で超有名なんだそうだ。


「何人くらいが参加するんだ?」


「例年10000人弱は居るそうだよ」


「マジかよ!」


もちろん、全員が手練というわけではなく、記念参加のような冒険者も居るそうだ。例えまぐれでも本戦に出場出来たら注目度はかなり高まり、貴族の目にも止まって莫大な金が手に入る可能性もあるから記念参加も多いそうだ。

とはいえ、それだけの人数が参加するのは凄いな。


「しかし、それだと予選は大変じゃないのか?」


人数がそんなに多いと予選も大変だと思う。


「1時間制限、300人弱のバトルロイヤルで本戦に進める人を3人選ぶんだって。それを1日約5回、7日間で系33試合やるみたい」


「それは…凄いな」


同時にやる人数も凄いし、その日だけでやる回数も多い。しかし、それならあまり待たずに済んで助かる。

ちなみに、時間内に3人にならない場合は残りの者を他の組に分けてまたバトルロイヤルをさせるらしい。

もちろん、連戦や次の日の試合になるし、前回残っていたのも知られているために強者と判明しているから真っ先に狙われることになり、かなり不利になる。だから何としても時間内で3人にしようとするらしい。


「推薦者が大体30人弱で合計128弱くらいで本戦をやるみたいだよ」


「なるほどな」


シードになったら別だが、7回勝てば優勝できるわけだ。

ただ、3位まで決めるとすると、128試合ほどかかってしまう。


「1回戦は制限時間30分で1日に16試合、

2回戦と3回戦は制限時間1時間で1日に8試合、

4回戦と5回戦は制限時間2時間で1日に4試合、

6回戦と7回戦は時間無制限で1日に2試合するらしいよ」


「なるほど」


つまり、本戦は1位が決まるまで15日間掛かるようだ。

また、今回は制限時間が過ぎた場合はどちらも失格となるそうだ。


「それにしてもラウレーナは詳しいな」


「闘技大会には興味があったから調べたんだっ」


自国で大会があるくらいだし、ラウレーナはこういった大会が好きなようだ。


「なあっ!おい!お前ら!」


受付の列に並びながらそんな会話をしていると、急に大きな声が聞こえてきた。

俺達にかけた声ではないのだろうが、あまりの大声だったため、そちらを見る。


「「「っ!!」」」


そちらを見た俺は思わず背の大鎌を握ってしまう。また、そのような反応は俺だけでなく、ルシエルは刀を握り、ラウレーナは拳を構えた。


「うんうん!良い反応だな!」


しかし、そんな様子は意に返さず声をかけた者はこちらに歩いて向かってくる。

その者は日に焼けた肌をしているビキニアーマーを着た女だった。

しかし、太っている訳では無いのに、とめも太く逞しい筋肉質の身体をしていて、身長が2m以上あるため、普通の女とは呼べないだろう。

また、その立ち振る舞いだけで強者というのが分かる。


「なあ、お前らはこの大会に出るのか?」


「あ、ああ…。そのつもりだ」


普通に話しかけてきたその女に、警戒を少し解き大鎌から手を離してそう答える。


「……そうかっ!」


「っ!?」


まるで肉食動物が獲物を見つけたような獰猛な笑みを浮かべながらそう言った女に、俺達は飛び退いて武器を抜く。

背筋がゾワッとし、思わず戦闘態勢になってしまうほどの強烈な殺気が放たれた。


「おっと。すまんな」


女はそんな様子をすっかり収めて、あっけらかんと謝ってくる。

しかし、周りはそれだけでは収まっていない。もう受付の列に並んで居る者は誰もおらず、距離を取っている。さらに、俺達の近くにいた者は良くて尻もち、悪くて失神している者がいる。


「まさかこんな珍しい職業の奴らをコレクションに入れられるなんてな!勇者が来なくなってもまだここに居てよかったぜ!!」


そのセリフで薄々感ずいてはいた女の正体が判明した。


「……Sランク」


目の前にいるこの女が依頼主が言っていた変な趣味をしているSランク冒険者だ。

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