第396話 意外な弱点
「ん?今度は勇者の取り巻き共か」
「くっ…!」
俺の後ろから飛び出して攻撃してきたシアの剣を寄生勇者は聖剣で簡単に受ける。
「燃え尽き、燃え尽きろ!ファイアランス!」
寄生勇者の背後からルイの魔法が放たれる。シアを弾き返すと、寄生勇者はそれを見もせずに魔法を聖剣を当てる。
「……は?」
「何だ?お前らはこれすら知らないのか?」
ルイの魔法は聖剣に当たると、魔法はルイの制御化から離れて、聖剣に纏われた。
「……今の勇者はこれをできないほど弱いのか?人形だったこともあって作為的なものを感じるな。勇者を弱くして何になるかは知らんが…。
とりあえず、これはお前に返してやるぞっ」
「うおっ…!」
寄生勇者が俺に向かって軽く聖剣を振ると、炎の斬撃が放たれた。
それを俺は闇魔装を纏った大鎌でかき消す。
「…んん?」
そんな俺の様子を寄生勇者は眉間に皺を寄せながら見ていた。
「勇者様から離れなさい!寄生虫!
聖なれ!ホーリーブレス!」
「寄生虫って呼ぶんじゃ……って!てめぇ!聖女か!」
ここで初めて俺達の攻撃で慌てた様子を見せた寄生勇者は聖女から放たれた白いブレスを余裕を持って大きく避ける。
「寄生虫だけあって聖なる力に弱いか」
こいつは勇者に取り付いているのに、聖なる攻撃が弱点となっているようだ。どうやって勇者を生きた状態で寄生虫だけ殺すか悩んでいたが、聖魔法ならそれも可能かもしれない。
ただ、今のままでは到底当てられそうにないため、痛め付けて弱らせる必要はあるが。
「だから俺を寄生虫って呼ぶんじゃねえ!」
「うおっ…!」
俺の呟きを聞いていた寄生勇者は俺に突っ込んで攻撃してくる。何とか大鎌で受けれたものの、吹っ飛んでしまう。ただ、追撃をされる前にラウレーナやルシエルが寄生勇者へと攻撃を行ってくれた。
「暗がり、暗がれ、ダークランス」
吹っ飛んだ先で俺は闇魔法の複合魔法を詠唱し、それをストックする。闇魔法だけでの複合魔法なら問題なくストックできるようだ。
魔力回復ポーションを飲んだ俺は前線へと戻る。
「おっら!」
「少し攻撃が重いと思ったら、お前か」
背後からの俺の大鎌は振り向きもせずに寄生勇者は防ぐ。一応防いでから振り向かれ、そんなことを言われる。
また、俺を見る時だけ寄生勇者は眉間に皺を寄せている。だが、その表情の理由は知らないが、これからその表情を変えてやる。
「闇れ!」
「っ!??」
目と口を大きく開いて間抜けな表情をしながら、寄生勇者は俺の魔法を背に受ける。
「ぐうっ…!」
寄生勇者は苦しそうな声を上げて数回転がって立ち上がる。しかし、勇者が纏う光のせいか、貫通していないだけでなく、血も流してはいない。
だが、聖剣で吸収しなければ魔法もダメージはちゃんとあるようだ。
「何でお前も闘力と魔力の2つを持っ……うっ」
しゃがんだまま俺を見て何か話す寄生勇者にラウレーナとルシエルが攻撃を仕掛ける。ルシエルの攻撃は聖剣で防げたが、ラウレーナの拳は脇腹に当たった。
「しかも何でお前はその2つを同時に使えっ…いてっ…」
さらに、次はシアの剣とルイの魔法が迫る。魔法を聖剣で吸収し、シアの剣は肩にあたる。
「聖なれ!ホーリーエリア!」
「っ!」
さらに追撃と放たれる聖魔法を寄生勇者は立ち上がってから大きく避ける。
「だあっ!何か大切なことを言いそうな時は黙って聞けよ!謎めいたセリフを話している途中と変身中は攻撃しないってルールだろ!
っていうか何を言うか気にならないのかよ!」
「そんなもん知るかっ!」
確かにこいつが俺の魔法を見て何を言うのかは気になったが、こいつがやっと見せた隙だ。そっちの方が重要度は高い。
俺は寄生勇者に言い返しながら大鎌を振る。
「そうかよ!ならこっちも空気を読まずに本気でいかせてもらう。話を聞きたい俺を1度殺した男以外は全員殺してやるから覚悟しろよ!」
寄生勇者は大鎌を弾きながらそう言うと、さっき聖剣で吸収したルイの魔法を斬撃として俺に放って捨てると、聖剣に体に纏っているのと同じ青白いオーラを纏わせた。
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