第384話 調査と現状
「じゃあ、今日はお互いに新しいスキルの練習するか」
これから街まで戻って新しく依頼受けるのも面倒だ。だからといって解散するにも早過ぎる。
そのため、これからは日が暮れるまでスキル取得に向けた特訓の時間とした。
具体的には午前中はカラゼスらの闘装と魔装の練習、午後からは俺らの強化魔法の練習である。
闘装と魔装は実際に教わったこともあるし、魔装に至ってはルシエルに教えもした。だから5人に教えるのはそこまで苦ではない。
5人で取得するまでの時間は前後するとは思うが、特に適正が必要なものでもないので全員がいずれか取得できるだろう。
問題は強化魔法だ。新しい魔法の取得は発動後をイメージしながら詠唱するしかない。また、その魔法に適正がなければ何度繰り返そうが取得できない。
そして、俺らに強化魔法の適正があるかと言われたら微妙である。
結局、全員手応えもなく、今日が終わった。
これからは1週間に1度集まって教え合う時間を作ることにした。それまでは自主練である。お互いに毎日聞くこともないだろうからな。
「さて、依頼を受けるか!」
次の日、俺達3人は朝からギルドへ来ていた。この周辺で不思議なことが起こっている街に来たからにはその原因を暴きたいしな。
ただ、冒険者ギルドの依頼ボードを見た感じ、初めてこの街に来た者としては特に不思議な点は無い。ただ、低ランクの討伐依頼が全くない程度だ。
「じゃあ、行くか」
適当に手頃な討伐依頼を3つほど受け、俺達は街を出た。
「こんなもんか」
街を出てから1時間ほどで依頼が終わってしまった。依頼はCランクの魔物だったため、全く難しくはない。
「何か感想ある??」
近くにあった石に座り、俺は2人に問い掛ける。
「街や道が近い場所なのにある程度強い魔物がいるってのが不思議かな」
「そもそも魔物の数が多いのじゃ」
「なるほどなー…」
2人はそれぞれ感想を言う。
ラウレーナの感想に関しては仕方がないとも言える。普通は魔物が弱かったりする場所に街や道を作るのだ。急に魔物の強さが変わったのだからそれはしょうがない。
「確かに数は多かったな…」
ただ、問題はルシエルの感想である魔物の数が多過ぎる点だ。最低ランクであるEランクの魔物が多い場所でもこんなには居ないと言えるほどの魔物の数がいた。一つ一つの依頼が10体討伐以上なのにこんなにも早くに終わったのは魔物の数が多いからに他ならない。
「明日からは少し森の奥に行くことにするか」
今日は最初ということで街の近くだったが、明日はもう少し奥の方まで散策範囲を増やしてみることにする。
今日の余った時間は宿で強化魔法の特訓だ。強化魔法は安全な魔法だから宿の中で試せるのがいいよな。
ということで、今日はもう帰ることにした。
「数はやや減ったが、かなり多いな」
そして、次の日は森の奥の方を目指して進んだが、魔物の数は相変らず多かった。
しかも、街の近くとは違い、Bランク帯がうじゃうじゃ居るのだ。流石に10体を越える数のBランクと同時に戦うのは大変だった。何も考えず奥へと進むべきではなかった。
「もしかして、さらに奥に行くとAランクもいるのかな?」
「それはどうだろうな?」
Aランクが居るとはまだ決まっていない。一応聞いた感じではまだAランクの魔物の目撃報告は無いようだ。Aランクを警戒しながら明日はもう少し奥まで行くことにした。
しかし、次の日もまたその次の日も魔物の数は増えてもAランクは見つからなかった。Aランクが大量に居るという最悪な事態にはならなかった。
「原因はさっぱりだな」
そして、原因は全く分からないし、検討もつかない。暫くは森の中を散策するしかないだろうな。
そんなことを考えていると、早くも街に来て2週間が経過した。それなのに、未だに手掛かりすらない状況だ。そろそろ手法を変えないと駄目かもしれない。
なんて考えている中、この街に勇者一行が到着した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます