第383話 反省会

「さて、全員起きたな」


戦いが終わってからはまず全員に回復ポーションを飲ませて回った。

そして、全員が起きるまでこの場で待っていた。

さて、最後に目が覚めたのは誰だと思う?



「あ、私が最後ですか」


正解はルフエットだ。最初に気絶させられたが、シンプルに闇の斬撃の威力が高かったのだ。ルフエットは1番厄介だったため、確実に落とせるように他よりも少し強めに攻撃した。

ちなみに、目を覚ました順は早い方からカラゼス、エルミー、ナユ、ルフエットだった。

カラゼスは最後に気絶したくせに起きるのは1番早かった。もっと強く攻撃しても良かったな。



「さて、反省会だが……」


全員が起きたので反省会を始める。これをしないと戦った意味も半減以下だ。

とはいえ、俺は最初に何を言おうか考える。いや、1番重要なことを言うか。


「タンクを増やす気は無いのか?」


「「「あーー……」」」


俺の言葉に5人とも俺から目を逸らす。5人ともタンクが必要なのは自覚していたようだ。だが、追加でメンバーは補充していない。その理由は予想がつく。


「まあ、お前らのパーティに新しい人員を入れるのは難しいと思うけどな」


元々同郷の者が集まって村を出てパーティを作ったのだ。そこに新しい異分子を入れるのは抵抗もあるだろう。また、それを無視して入れてもなかなか上手くもいかないかもしれない。


「同郷でタンクをやれそうなやつは居ないのか?」


タンクと言っても役割は魔法職の護衛みたいなものだ。言ってしまえばカラゼスやエルミーのような物理職ならこなせなくもない。だから探せば絶対にいるはずである。


「居るは居るんですが、1人だけっていうのは難しくて……」


「あー……」


言ってしまえばこいつらはエリートである。そんな者と一緒に行動したい者は多いはずだ。その中で1人を選ぶというのは確執が生まれるのだろう。

そんなのを気にせず、希望者の中で1番強い奴を選べと言いたいが、こいつらの村の話も関わってくるからそこまでは言えない。選ばれた子の親が村八分にあうこともあるかもしれないしな。


「だが、タンク役が居ないとこの先は厳しいぞ。高ランクの魔物は賢い。確実に厄介な魔法職が狙われるぞ。そして、下手するとタンクが居ないせいで殺されるかもしれない」


「「「っ!」」」


この話は冗談でも過剰表現でもない。Aランク以上や彩化などはかなり賢い。魔法職が厄介だと思えば、先に狙われる。その際、2人が魔法に集中したら簡単に殺される可能性もある。


「じゃあ、俺が…」


「前衛をエルミー1人に任せるつもりか?」


俺はカラゼスの言葉を遮る。その選択肢はない。

人員を増やさないとするなら、カラゼスかエルミーがタンク役をやればいいと思うだろう。

だが、まともな前衛が1人というのはさすがにキツい。1人の負担が大きくなり過ぎである。

また、せっかくの2人の阿吽の呼吸とも言える連携を無くすのは勿体無い。


「まあ、魔法職2人が硬くなるって言うてもあるけどな」


結局のところ、後衛2人が簡単に倒されなければいいのだ。つまり、2人の防御力が高ければ問題ないというわけだ。そのためにうってつけのスキルを知っている。


「お前らは闘装と魔装を取得した方がいいな」


それらは自力での取得が難しい。だから誰かから教えて貰うしかない。


「兄貴が纏っていたやつですか?」


「ああ、それだ。魔装の方は少し特別仕様だがな」


一応聞いてみると、5人とも取得したいとの事だった。それは教えるとして、俺はずっと気になっていたことをルフエットに聞いた。



「あの強化する魔法は自分にも効くのか?」


「強化魔法のことですね。効きますよ」


「その魔法を教えてくれないか?」


取得できるかは分からないが、その魔法は喉から手が出るほど欲しているものだ。

俺達には必須とも言っていい魔法だ。


俺達は闘装と魔装を教えてもらう代わりに、強化魔法を教えてもらうこととなった。

ちなみに、反省会はその後も続いた。


指摘点はナユが隙にしか攻撃してこないからタイミングが分かりやすい、前衛2人の連携が良過ぎて2人1組のように感じてしまうから敢えて連携を一瞬崩してみるのもいい、広範囲魔法を放てるタイミングを作るために合図を決めておいた方がいい、堂々と回復のために移動しないなど沢山あった。

逆に言うと、既にBランクの彼らにこんなにも沢山の伸び代があるということでもある。これらの指摘が直った時には彼らは更に強くなるだろう。

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