第374話 次は…

「全然話と違ったではないか……」


「はははっ……」


ギルド長が俺から全容を聞いて項垂れているのを見て、俺は笑うしかなかった。


「何がSランクがやってきた彩化の群れを一瞬で討伐しただ…。何が怪我人が眩しく神々しい光に包まれた瞬間に傷を負った者は癒され、その光で彩化は蒸発しただ……」


酷いものだと、Sランクの武勇伝の尾ひれの進化はもうそこまで進んでしまっていたらしい。

もうSランクが現れて何かが起こったくらいしか合っていない。彩化を癒しで蒸発するなんて聖女でも無理だろうし、彩化の群れなんてそれこそ数個が滅ぶレベルだ。


ギルド長が上げた物みたいな絶対に違うのは否定できたらしいが、有り得る可能性のあるものは否定できない。そのため、何個かの噂は否定して止めるが、また更に尾ひれの付いた情報が広まるのいたちごっこだったそうだ。

だが、俺の話を元に真実はこれだと発表することが可能となった。


「真実がわかって良かった。とりあえず、Sランクが居なければこの街は滅んでいた可能性が高かったのと、Sランクが出番を伺っていたせいで余計な重傷者が大勢出てポーションも余分に使ったってことだな」


「そうなるな」


前半だけで話が終わっていたら手放しで賞賛できる話なんだがな…。

まあ、そこで話が終わるようなやつはわざわざ街が危険になったら助けるというような契約は結ばないか。


「どうせ報酬を与えようとも取りには来ないだろうし、彩化討伐は失態とで帳消しでいいな。

幸い、トドメはお前が刺したようだしな」


ギルド長は最終的にそう結論付けた。

Sランクは契約内容だけを見れば守ったと言えるが、そこに至る過程で傷付く者を何人も見過ごしていたのは大きな失態である。とはいえ、彩化を殺った功績があったらそんなものは帳消しになるだけでなく、かなりのお釣りも来るだろう。

ただ、Sランクは彩化に逃げられそうになったあげく、その後処理も俺に任せてしまった。そのへんを加味したら報酬無しと外聞は十分成り立つ。


何か、あのSランクの性格を考えたらそれを考えてわざと逃がそうとしてトドメを俺に譲ったように思えてしまう…。


「報酬についてはこれからまとめて支払われるが、かなりの額にはなるから期待していいぞ」


ギルド長はそう言って帰って行った。隈が少しあったが、これからも報酬分配で忙しくそうだな。


ちなみに、この高級ホテルもギルドが今回の報酬とは関係なくとってくれているものらしい。

それほど、今回の件に関する俺たちの功績が大きかったそうだ。



「さて、ヌルヴィスが完全復活したらどうする?」


「うーーん…」


俺はその疑問にすぐに答えられなかった。別にこの街でもっとレベル上げをしても良い。



「ステータス」



【名前】  ヌルヴィス

【種族】  人族

【年齢】  17  

【職業】  不遇魔法剣士

【レベル】 59 (12UP)  


【生命力】 860/860  (180UP)

【闘力】  920/920  (240UP)

【魔力】  920/920  (240UP)


【物攻】  463  (96UP)

【魔攻】  469  (96UP)

【防御】  270  (50UP)

【敏捷】  411  (84UP)

【精神】  411  (84UP)


【物理スキル】

・大鎌術Lv.8(1UP)・身体強化Lv.6

・無属性魔法Lv.6(1UP)・体術Lv.5

・闘力操作Lv.5(2UP)・大刀術Lv.4

・闘装Lv.3(1UP)


【魔法スキル】

・闇魔法Lv.8(1UP)・雷魔法Lv.6

・氷魔法Lv.6・身体属性強化Lv.6(1UP)

・魔力操作Lv.6(2UP)・付与魔法Lv.4(1UP)

・魔装Lv.3(1UP)


【他スキル】

・隠蔽Lv.8・危険感知Lv.3(1UP)

・多重行使Lv.3(1UP)・気配感知Lv.2

・解体Lv.1・反射神経強化Lv.1




「正直レベルはかなり上がったんだよな」



レベル自体は彩化の件でかなり上がっている。強くなるためとはいえ、レベル上げに固執する必要は無い気がする。これ以上は急には伸びないだろうからな。


また、闘力と魔力だけ普段よりも遥に上がっている。つまり、そうなるだけの普通では無い何かがあったからということになる。

それはきっと1ヶ月も寝込むことになった原因でもある闘力と魔力を混ぜたのがきっかけだろう。それ関係のスキルレベルも大きく上がっているしな。

ところで、同じことをすればまたその2つは上昇するかと一瞬考えたが、そう美味い話はないはずだ。また、今にして思えばあの時にあの技が完成しようがしまいが、周辺と俺と彩化がどうなっていたかは分からない。そんな危険物を日常で試そうとは到底思えない。最低でも操作系のスキルレベルがもう1つか2つ上がってからだ。



「俺に何が足りないんだろうな……」


獣人国で防御のための闘装と魔装や武術を学び、ドワーフ国では良い武器と防具を手に入れた。また、魔道国では魔法を学んだ。

そして、この国ではレベル上げに取り組んだ。

次に強くなるにはどうすればいいのだろうか?やはり、レベル上げを継続するしかないのか?

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