第358話 コンビネーション

「はあっ!」


「キシャ」


俺の振った大鎌を半彩化は余裕で避ける。


「やあっ!」


次に半彩化の後ろに回り込んだルシエルが刀を振るが、それは左手の鉤爪で受け止める。

挟み込んだ俺とルシエルが攻撃するが、全て避けるか防がれてしまう。


「流れ出ろ!ウォーターウェブ!」


「キシャ??」


しかし、その間にラウレーナの水の巣が完成した。もちろん、その範囲に半彩化は入っている。


「しっ!」


「キェッ…!」


高速移動してきたラウレーナに半彩化は殴られた。半彩化は吹っ飛ぶが、それで巣の範囲から出すほどラウレーナは甘くない。


「らあっ!」


「キィッ?!」


すぐ半彩化の背後に回ったラウレーナが半彩化の背中を殴る。

そのまま巣の真ん中の方に吹っ飛ぶかと思ったが、半彩化は空を飛んで巣から出ていく。


「逃がさないよ!」


しかし、攻撃時に半彩化に水の線を付けていたラウレーナはその線を辿って空中にいる半彩化を追う。


「深追いはダメだ!」


俺は半彩化の空中でのスピードを知っているからラウレーナを止めるが、それは遅かった。


「はあっ!えっ…?」


既に半彩化まで追い付いていたラウレーナが空中で半彩化に殴りかかるが、この拳が当たる前に目の前から半彩化は消えた。


「キエェェ!!」


「かふっ…?!」


消えた半彩化はラウレーナの腹を蹴り、ラウレーナを地面に叩き付けた。


「軟化したから以外と大丈夫…!」


ラウレーナは少し傷みを堪えるような顔をしつつも、すぐに立ち上がって巣の外に降りてきた半彩化を見る。


「…ラウレーナ。一応聞くけど本気で殴ったか?」


「残念だけど本気も本気だよ」


再び地面に降りてきた半彩化はダメージが入っているとは思えないほど平然としていた。それなら何度も殴ってダメージを溜めるか、でかいのを1発入れるしかない。


「ルシエル。準備を頼む」


俺はそう言うと、ラウレーナの巣から出て半彩化の方へ進む。


「キエキエッ」


「しっ…!」


その事に嬉しそうに鳴く半彩化へ向かっていく。


「轟け!サンダーランス!」


俺は魔法を放つが、それは避けられる。下手に魔法を弾いたせいで鉤爪を失ったからか、魔法を下手に鉤爪で弾くのは危険と学んだようだ。


「キエッ!」


半彩化が突き出してきた鉤爪を転がって避ける。しかし、転がった先には半彩化が既に居て足を踏み下ろしてくるから横に跳んで避ける。それを避けたあとはすぐに立ち上がる。


「はあっ!」


今度は俺の番とばかりに、大鎌を上から振る。半彩化はそれを鉤爪で防ぐ。しかし、俺はその鉤爪を大鎌でひっかけ、半彩化の鉤爪の上を飛び越える。


「らあっ!!」


「キエッ……?!」


俺はそのまま半彩化の顔面を蹴り付ける。ラウレーナとルシエルにも気を向けていたため、俺の攻撃もこうして食らわせられた。

また、諸々の強化を含めれば俺の攻撃力はラウレーナを越える。そんな攻撃を食らった半彩化は体勢を大きく崩す。

俺はそんな半彩化に大鎌を構えて迫る。


「はあっ!」


「キエッ!」


大鎌を振る俺に少し焦った様子の半彩化が鉤爪を振る。おいおい、危ないとはいえ、意識を俺だけに向けていいのか?


「光斬り!」


「キエーーーッ!?」


そんな半彩化は後ろに突然やってきたルシエルの光を待とう刀に背中を斬られた。前から見ても半彩化の緑色の血が飛び散るのが見える。やはり、ルシエルのこの一撃はかなり強いな。


ちなみに、ラウレーナは蹴り落とされた程度で水の線を解かなく、細く見にくくしていただけでその線は残っている。その線を使ってラウレーナがルシエルを掴んで高速で半彩化の後ろにやってきたのだ。


「流れ出ろ!ウォーターウェブ!」


ラウレーナが即座に今の自分を中心として巣を再び作る。


「はあっ!ふっ!」


「キエッキィッ…!」


ラウレーナが半彩化を高速移動しながらどんどん殴る。半彩化は空を飛ぼうとするが、後ろからルシエルに斬られた時に羽も斬られていて空に飛べられない。



「キエッ…?」


そんな中、ラウレーナの猛攻が突如として止まった。半彩化は一瞬ポカンとするが、それは止まったのではなく、意図的に止めたのだ。


「闇れ!」

「光れ!」


「キエッ………」


俺とルシエルのストックが半彩化に放たれた。そのストックは逃がさないために広範囲のバーンの魔法だった。半彩化は突然の広範囲魔法を避けることはできず食らった。

ちなみに、ラウレーナが半彩化を攻撃していたのはルシエルが新しくストックする時間を稼ぐためだ。ルシエルはさっきの光斬りで光魔法は使っていたためにストックは残っていなかったからな。



「キ、キエ………」


魔法が消えると、そこから全身緑の血で濡れたボロボロの半彩化が現れた。鉤爪は所々かけていて、左腕はちぎれかけている。どうにか左腕で首だけは守ってようだ。


「「キエーーッ!!!」」


「ん?」


そんな半彩化を守るかのように2体の新手がやってきた。

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