第354話 狩りの大成果
「1体のワイバーンは余が1人で狩りたいのじゃ」
「危なそうなら手を出すからな」
地上に降りている途中でルシエルがワイバーンを1人で狩ると言い出した。正直、まだ慣れていないワイバーンを1人で相手するのは少しキツイ気がするが、本人がやりたいと言うならやらせるべきだ。もちろん、その分俺とラウレーナには余裕が生まれるので何かあった時のために気にはかけておく。
「問題なさそうだな」
「そうだね」
先にワイバーンを狩った俺とラウレーナはルシエルの戦いを見ていた。ルシエルは自動回避を使い、ワイバーンの攻撃は絶対に食らわないよう安全に戦っていて、傍から見てても安心できる動きをしていた。
「………」
「ん?」
ルシエルはかなりボロボロとなったワイバーンから距離をとると、ボソボソと魔法を詠唱する。
「おっ!」
すると、刀が黄色い光を纏い、大剣程の大きさとなった。
「はあっ!」
しかし、重さは変わってないようで、軽やかな動きで光の大剣をワイバーンの腹から突き刺して貫通させた。
「ラウレーナの新しい水の線も、ルシエルの今の武器に使う魔法も凄いな…」
これが2人が俺の居なくなった魔道国で身に付けた魔法なのだろう。
「でも、ルシエルのは俺もできそうじゃね?」
「試してみてもいいのじゃ!」
ということで、俺もルシエルのように大鎌に魔法を纏わせることにしたのだが……。
「絶望的に俺には合わないな…」
まず、成功自体はした。まだルシエルのような威力は出せないが、練習次第でそれはどうにかなる。
だが、重大な問題が2つあった。まず、これをしていると、闇魔装が大鎌に纏えないのだ。つまり、闇の斬撃は放てないし、魔法も打ち消せない。
次に、付与魔法が強制終了してしまうのだ。2つの違う魔法を武器に纏うことはできないらしい。複合魔法でどうにかできないかと試したが、複合魔法のスキルレベルが低いのか上手くいかなかった。何となく不遇要素を感じてしまう。
だから俺には合わず、これから身につけようとは思えなかった。そのため、これはルシエルの専用魔法となった。
それと、この魔法はルイが勇者の技からヒントを得てルシエルに伝えたらしい。…別に勇者に似た技を使いたくないって訳じゃないよ?………本当だよ?
「さて、どんどんワイバーンを狩っていくぞ!」
「「おーー!」」
2人がワイバーンを落とすのにも協力できたので、俺が思っているよりもハイペースでワイバーンを狩ることができた。そのため、半日弱でワイバーンを13体も狩ることができた。
また、次の日は朝から狩ることで、30体のワイバーンが狩れた。そこから1日に平均30体のワイバーンを狩る日が5日間続いた。
「レベルが9も上がったのじゃ!」
「僕は6も上がったよ!」
これでルシエルのレベルが34、ラウレーナのレベルが40となった。
「俺も2レベル上がったよ」
そして、俺のレベルも44にもなった。基本的にレベルの低い2人に戦いは任せていたのだが、やはり数を狩ると俺のレベルもぐんっと上がるようだ。俺のレベルで1週間で2レベル上げるのはかなりの異例だろう。
「もう夕方だし、これから一旦帰るぞ」
1週間ほど経つので、情報を聞きに一旦帰ることにした。
だが、ギルドに寄っても追加情報は無かった。だが、行方不明の冒険者パーティは増えていた。
大量のワイバーンを売り、俺達は再びワイバーン狩りに行った。
1番レベルが低いルシエルのために、地上に落ちたワイバーンの1体はルシエルが単独で狩ることにした。
その結果、次の1週間でルシエルがレベル41、ラウレーナがレベル43、俺のレベルが46となった。やはり、レベルは上げるほど次のレベルに上がりにくくなるため、全員のレベルが近くなってきた。
次の狩りではさらにルシエルのレベルを重点的に上げ、さらに俺たち3人のレベルが近くなるかと思っていたが、その機会は訪れなかった。
「あの魔物に襲われながらも、生き延びてギルドに戻ってきた人が現れましたっ!」
ギルドに帰った時に少し興奮した受付の人からそう伝えられた。ついに襲われながらも生還し、情報を持ち帰った者が現れたのだ。
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