第317話 特殊魔法
「その魔装で魔法を斬り消すのも上手くなったね」
「おかげさまでね」
俺は大鎌に纏う闇魔装を消費することで魔法をかき消すことができるようになったのだ。大鎌に纏う闇魔装の何倍も魔力が込められた魔法はかき消せなかったり、広範囲魔法もかき消せないなどの条件はある。だが、それにしてもこの能力はかなり良いものだ。
ただ、この能力は最初からやろうと思えばできたのかがよく分からないのだ。原理としては斬撃を放って相殺するのと変わらないはず。でも、俺は氷魔族のを真似したら簡単にできたのだ。
「ところで、新しいの行くよ」
学校長が最初にちゃんと詠唱してから魔法を移動させたのは手加減していたからでは無い。それは確実に俺を倒すために無詠唱の魔法を沢山準備する時間を稼ぐためだ。
「何個あるんだよ」
「ざっと100はあるかな」
学校長の周りにはボール、ボム、ランスなどの魔法が様々な属性で何個も浮いている。
「捻じ曲げろ、転移エリア」
「っ!」
俺から学校長までの中間地点に横に大きい学校長の魔力が感知できると同時に、俺から1、2m程離れた場所に俺を囲うように学校長の魔力を感知する。
「行け」
「ははっ!」
学校長が魔法を放ち、中間地点の魔力に魔法が触れると俺の周りの魔力のある場所から学校長の魔法が放たれてくる。
ここまで来ると学校長の能力は分かってくる。学校長は空間を操れる魔法を使えるようだ。
「ランス!」
俺は無属性魔法を周りの魔力に向かって放つと、その魔法は転移して中間地点から出てくる。この魔法は自分の魔法を区別して移動させているわけでないようだ。ただ、横に広がっているから学校長の正面には出なく、学校長の横を通り過ぎた。
「くっ…!」
何とか大鎌に闇魔装を補充しながら魔法をかき消しているが、それも厳しくなってきた。何個か魔法が被弾し始める。
「暗がれ、」
俺は詠唱をしながら自然に周りの転移の魔法に近付く。
「ダーク」
俺は詠唱が完了しそうなところで、その魔力飛び込んだ。そこから出てくる魔法を何発か食らうが、闘装と防具で受ける。
「サイズ!」
転移の魔法を通じて中間地点に出た俺に何個もの魔法が集中する。それを巨大な大鎌の闇魔法で一掃する。それだけで俺の魔力の半分が無くなった。
「しっ!」
だが、学校長の準備していた魔法もかなり無くなった。俺は学校長へ向かっていく。
「っく!」
しかし、俺は学校長まで残り3、4mで急停止する。なぜなら、周りにさっきの転移の魔法の魔力感知が複数あるからだ。さっきの時間に今度はこれを準備していたな。
「轟け、サンダーボール」
軽く近くにある転移の魔法に魔法を放つが、俺の真後ろから俺に向かってその魔法は転移した。その魔法は自分で消すことで食らわずに済む。
頭2つ分程の円の形の転移の魔法が俺の周りに俺の方を向いて無数にあるのだ。下手には動けない。
「…ん?」
俺はそこで気になることがあって闇魔装を纏わない大鎌の峰を持って転移の魔法に柄を横からぶつける。その大鎌の柄は横からだと転移の魔法よりも大きいこの場合は柄の真ん中だけ転移するのか?
「へぇ…そうか」
結果は転移しなかった。その転移の魔法の範囲よりも大きいものが触れた場合は転移は起こらないようだ。
「これなら!」
俺はわざと脚や胴体で転移の魔法を通るように学校長へ向かって移動する。しかし、俺は学校長の魔法を敗れたりと思い、油断していた。
「ランス」
「っ!」
程々に強い魔法が2つ学校長から放たれた。俺はそれの片方を大鎌でかき消し、もう片方を避けた。すると、体勢がズレたことにより、1つの転移の魔法に片足が入った。
「っ!」
危険感知も反応し、急いで足を抜こうとするが、遅かった。その転移の魔法が俺の足を転移しているのに閉じた。すると、転移先にある足首よりも下が俺から離れた。つまり、俺は足首から下が切断された。
「…参った」
足首から下が無くなってバランスを崩し、さらに他の転移の魔法に手や足が入りそうになったのですぐに降参を宣言する。
「勝者、学校長!」
「おつかれ。足を治そうか」
「た、頼む…」
俺は切断された足を学校長に治してもらった。なんか最近は欠損が当たり前になってそうで嫌なんだけどな。
「特殊魔法と戦う上ではヌルヴィスのようにどんな魔法か推測し、軽く実験することは重要だね。そして、何よりもその魔法をあまり使わせないように短期決戦を心がけるのも大切だ。
だが、ヌルヴィスのように魔法を見破ったと油断するのは駄目だ。特殊魔法は他にも使い方があることが多いし、そもそも戦闘中に油断は禁物だ」
「はい…」
「はい!」
「わかったのじゃ」
「ん」
こうして、俺の1戦目は黒星でスタートした。この後は身体を休めて明日の2戦目に備える。
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