第295話 複合魔法
「じゃあ、これから複合魔法を教えていくよ」
「おう」
「うん」
ルイと戦ってから2日後、俺とルシエルはいつもの地下で学校長から複合魔法を教わろうとしていた。
ちなみに、昨日は学校長が忙しいとの事だったので、森で特訓をしていた。
「まずは技術的なことではなくて、複合魔法についてを話していくよ」
学校長は複合魔法を取得方法を教える前に、複合魔法について詳しく話していく。
「複合魔法はその名の通り魔法を複合できるスキルのことだね。それも詠唱段階で複合されるから取得できれば、戦闘中に使うのも難しくは無い」
俺の魔法合体と違って、その手軽さが良いのだ。
「そんな複合魔法の1番のメリットは魔法を合わせると相乗効果で威力はかなり上がることだね」
魔法を合わせるのはそれがあるからなのだ。
ただ合わせただけの魔法になるなら俺は闇魔法単体で使っていた方が強いだろう。
しかし、魔法を合わせることでお互いの威力が跳ね上がる。だからよっぽどスキルレベルに差がない限りは複合魔法の方が単体の魔法よりも強くなる。
だからそもそも【魔攻】がないラウレーナは複合魔法を取得するメリットは少ない。そもそもラウレーナは水魔法しか取得していないけど。
「魔法は複数の属性を合わせれば合わせるほど威力は上がっていくよ。複合魔法ではスキルレベルが上がれば合わせられる属性は増えるよ。自分が取得している魔法の属性限定でね」
だから俺が取得していない火魔法を複合魔法で使うことはもちろんできない。そのため、俺よりも取得している魔法の種類が2つ多いルシエルの方がスキルレベルを上げるメリットがある。
「次はデメリットだけど、まずは消費魔力が多いこと」
普通に2つの魔法を使うよりも複合魔法で合わせた方が魔力の消費は多くなる。その分威力も上がっている訳だからこれはそこまで問題では無い。
「あと、これはちょっと諸説あるんだけど、複合魔法を使った時は魔法のスキルレベルの経験値は稼げない」
つまり、強いからといって複合魔法だけを使っていると、永遠に闇魔法などのスキルレベルは上がらないそうだ。何でも、複合魔法のスキルに経験値を奪われているらしいのだ。ただ、これが真実という証明の方法無いに等しいので、あくまで一説であるそうだ。でも学校長はこの説をほぼ確信しているようだが。
「それに何よりも複合した結果、どのような魔法になっているかをある程度でいいから想像しておかないと使うのは難しいんだよ」
だから未熟な者が咄嗟的に複合魔法を使おうとしても失敗するかもしれないのだ。
大体の人はシンプルに合わさった効果を想像するらしい。例えば、土魔法と火魔法の複合魔法では燃える土や石などを想像するそうだ。この想像を適当にやると魔法が成功しなくなる。
「これはメリットにもなるんだけど、逆に想像しだいで他の人とは別の複合魔法が作れるかもしれないけどね」
学校長だと土や石が熱さで溶けた溶岩を想像して複合魔法を使ったりもするそうだ。
「まずはシンプルのを想像して、ある程度どういうものかを記憶に焼き付けておくといいよ。そうすれば咄嗟にも使えるようになるしね。もし、それが終わって余裕があったら、別なのを考えてもいいかな」
あくまで基本はシンプルな姿なんだそうだ。それが完璧になって応用の特殊な姿を考えればいいらしい。
「他にも教えることはあるけど、それは取得できてからでいいかな。じゃあ、実際にどうやって取得させるかを説明するよ」
事前の説明が終わり、やっと実践練習がやってきた。
「とりあえず、失敗するけど自分なりに魔法が合わさった姿を想像しながら詠唱をしてみようか」
「暗がり、轟け!ダークサイズ」
「輝け、吹き荒れろ!ライトスピア」
俺とルシエルはほぼ同時に詠唱するが、もちろん失敗する。大鎌の魔法なら成功するかと思ったが、そう甘い話ではなかった。
「今ので魔力が動いたのはわかったよね?」
「ああ」
「うん」
詠唱に応えようと体の中で魔力が少し動いたのは感じた。でも、手まで動かずに魔法は出てこなかった。
「何度も詠唱をしながら魔力操作を駆使してそれを手まで動かして放てるようにするんだよ。
そもそも2人とも魔力操作のスキルレベルが低いからこの方法でやるだけで、他の方法もあるけどね。これは地味な作業だけど頑張って」
この方法は魔力操作を鍛える訓練でもあるそうだ。俺とルシエルは何度も詠唱しながら魔力を動かそうと努力した。
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