第250話 鉱山の洗礼
「ふっ!」
「ギャン!」
ルシエルが2m弱のネズミのような魔物の首を斬り落とす。ルシエルの戦闘スタイルは俺と似ているため、その装備は俺のように軽装である。
「暗闇での戦闘ももうだいぶ慣れたぞ」
「そうみたいだな」
ルシエルは先頭を歩くのは俺に譲ったが、魔物が現れたらさっきまでのように戦ってくれていた。
限られた光しかない中での戦闘はやりにくいが、それもかなり慣れたようだな。
「目的の鉱石が取れるまで後どのくらい進めばいいんだ?」
「詳しくは分からんが、最低でも5日は進まんと駄目だな」
「長いな……」
俺が思っていたよりも長い道のりとなるようだ。とはいえ、この調子なら行けないこともないと思った。その考えは3日後に覆させられる。
「はあ……はあ………」
「ルシエル!交代だ!」
俺はルシエルと交代して魔物の相手をする。ルシエルが疲れ果ててしまうほど、連続して群れの魔物が現れだした。
まだ一体一体の魔物はDランクがほとんどで時々Cランクぐらいだが、休む間のないほど現れる。そのせいで前にも進めていない。また、今のルシエルに魔法無しでCランクの魔物の相手は少し大変だ。
「面倒だなっ!」
洞窟の道がそこまで広くは無いので、動き回れるのにも限界がある。一方から来るせいで大鎌で届く範囲が限られ、一網打尽にはできない。いっその事囲まれた方が早く殺れるのだが、そうすると何体か殺り逃してはドワーフの方へ行ってしまう。
また、片手に松明を持っているから大鎌の力量が発揮仕切れてない。
「無理やり押し通るぞ!しっかり付いてこいよ!」
だから俺は魔物を殺りながら、死体を踏んで押し通る。
「中々大変だな……」
時間も遅くなり、野営をするタイミングとなった。やっとちゃんとした休憩が取れる。今の俺達は通路に土魔法の壁を作って魔物を遮っている。ただ、ドワーフ曰く、完全に遮っていると、呼吸が苦しくなるらしく、穴は空けている。
ただ、これでも外からガリガリ壁を削る音はするから俺がルシエルの見張りは必要だけどな。
「恐らく、目的地だと魔物の量はさらに増えて、ランクもCが主で時々Bランクの奴も出てくるぞ」
「うげぇ……」
今でも面倒なのにそれがさらに大変になるのか…。
「引き返すか?」
「引き返す条件にはなってないんだよな」
今はキツイだけで引き返すようなどうしようもない状態にはなっていない。それに、ここで引き返すようだったら、何回鉱山に来ても目的の鉱石は取れない。
「…なあ、こういうのはどうだ?」
「何だ?」
俺はある提案をドワーフにする。この提案が通れば、明日からはもっとスピードを上げられる。ただ、ドワーフには少し危険が増えてしまう。
「…面白いな。やってみるか」
「余も問題ないぞ」
「よしっ!」
明日は作戦を変更して魔物を処理する。そのために今日は早めに休んだ。まあ、見張りはあるからそもそもあんまり休めないけど。
「よし、じゃあルシエル頼んだぞ」
「分かっておるぞ」
俺は松明を持たず、向かって来る魔物に応戦する。その時に自ら魔物達の中心地に移動し、大鎌を振り回して何体も一斉に葬る。
「やっ!」
何体かは後ろに行くが、ドワーフの前にいるルシエルが対処する。
俺は死にかけの魔物を放置してどんどん奥へと進んでいく。死にかけの魔物はルシエルが確実にトドメを刺しながら付いてくる。
今日の作戦は俺が縦横無尽に暴れ、そんな俺のフォローをルシエルがしてくれている。ちなみに、ドワーフが1番後ろにいるため、後ろからの魔物の対処ができない。その対策でルシエルが数十分に一回土の壁を作っている。帰りは砕きながら帰らないといけないが、帰りは魔物が少なくなっているはずなのでその程度の苦労は問題ない。
このやり方にしてからスムーズに進むことができるようになり、スピードアップした。この調子なら目的の鉱石まで行けるか?と思われた。
「くそっ!硬いな!」
「オォォォ…」
しかし、現れる魔物のほとんどがCランクのゴーレムとなってからそのスピードは止まってしまう。
ゴーレムは前から何体か出てきたが、群れで大勢出てくると、オーガに匹敵するほどの高い防御力から体力と時間を消費してしまう。
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