第249話 鉱山探索
「道案内はよろしく」
「鉱山での魔物の相手以外は全て俺様に任せておけ」
俺は鉱山への行き方などは全く知らない。だからその辺は全てドワーフに一任している。
「手に負えなくなるまで魔物はルシエルが狩るか?」
「そうするのじゃ」
レベルが俺よりも下のルシエルがレベル上げも兼ねて道中の魔物を狩る。さすがに魔物の量が増えたり、魔物が強くなったら俺もドワーフを守りながら参加する。
「お前ら、くれぐれも魔法は使うなよ」
「ああ」
「分かっておる」
鉱山内では崩落の危険があるから魔法はぶっぱなせない。使えるとしたら付与魔法くらいか。
「ここが鉱山だ」
「へぇ〜〜」
街から出て、30分ほどで鉱山の麓に到着する。そこには山の地下に続いていると思われる大きな入口が空いており、そこから中へと入るらしい。
人が並んでいるから俺達も並ぶ。こういった時は何かと絡まれることが多いが、特に絡まれもせず中に入れた。
「まだ浅いからEランクぐらいの魔物しか出ないからここはそこまで警戒しなくても大丈夫だぞ」
「そうか」
これからは深く、奥に行けば行くほど魔物が強くなっていくそうだ。
中の様子はと言うと、ランタンのようなのが壁にかけられており、一定の明るさを保っている。ここら辺は鉱石が取り尽くされているのか、ただの洞窟のように見える。
「ここはつまらんのじゃ」
ルシエルが1mほどのコウモリのような魔物を斬り捨てながらそう言う。確かにこんな場所だと魔物もパッとしないし、鉱山も取れないからつまらない。
「今回はどこまで行くんだ?試しって言ってたけど」
一応初ということで目的の鉱石が取れるところまでは行かず、何日か泊まってから帰る的なことを言っていた。
「一応3泊4日を目標としているが、食料自体は俺様だけでも全員で20日分は余裕であるぐらいは持ってきている。行けそうなら行けるところまで行くのもありだ」
「分かった。それなら行けるところまで行こう。ただ、予定期日を過ぎても途中で何か他に必要なものが出た時点ですぐに一旦帰ろうか」
このドワーフはともかく、俺や多分ルシエルもこんな洞窟で魔物と戦うのは初めてだ。何か不都合があったら対策をするために帰るべきだろう。
「お前が慎重なやつで良かったぜ。冒険者の大体は何も考えずとりあえず奥まで行こうなんて考えるやつが多くてな」
「まあ、そうかもな」
正直、俺も親の教えがなかったらそう言っていただろうな。冒険者は引き際が大事だと口を酸っぱくして言われていた。命は1つしかないから大事にしないといけない。
……まあ、何度も命の危機にはあってるから説得力は無いけど。
特に問題なく進んでいた鉱山探索だが、2日目に異変が起こる。
「ランタンが無くなるのか」
「ここから先は松明を持ちながら行かないといけない」
途中からランタンがかけられなくなっているのだ。まあ、人が多く通るところはランタンをかけているが、人が全然通らないところはわざわざランタンをかけないか。
「マッピングは大丈夫か?」
ドワーフは迷子にならないように入口から今いる場所までの地図を描いてくれている。ここから先は先や後ろが真っ暗だけど、大丈夫なのか?
「問題ない。だが、心配なのはお前らだぞ」
「ああ……」
マッピング以上に大変となるのは俺とルシエルだ。魔物は俺達の持つ松明の灯りを目印にして襲いかかればいいが、俺達は暗闇から飛び出してくる魔物に気付かないといけない。
「……………」
ランタンが無くなって少しペースは遅くなったが、俺達は進んでいる。
それから数時間経ち、魔物も何回か出現したが、そろそろ限界かな。
「ルシエル」
「っ!な、なんじゃ!」
俺は前を歩くルシエルに話しかける。
「俺が前を歩く。ルシエルはドワーフの後ろを歩け。一応後ろからの魔物も警戒しろよ」
「何でじゃ!余はまだ大丈夫じゃ!」
交代と言われただけで、まだ大丈夫というセリフが出る時点で限界近いと思う。自分で分かってないようだからはっきり言うことにする。
「真っ暗だからって気を張りつめ過ぎだ。このままでは今は何とか持っても、夜の交代での見張りや明日は持たんぞ」
ルシエルは常に武器の鞘を片手で強く握り、石が転がる物音だけでも足を止めて武器を抜くほど警戒している。それを忠告しても、逆に武器を握っていないことが不安なのか、警戒は強まってしまう。
「今日はもう後ろでゆっくり休め」
「……分かったのじゃ」
ルシエルは俯きながら俺の横を通って後ろへと移動する。
「後ろで俺がどんな感じでやってるか見ておけよ」
俺はそう言うが、俺もこんな真っ暗な中を探索するのは初めてなんだよな。とはいえ、年下のルシエルにかっこ悪いところは見せられない。
(案外簡単だな)
なんて心配をしていたが、気配感知のおかげで気楽に歩けている。気配感知と危険感知の2段階認証は俺をかなり安心させてくれている。ここではまだ強くてもCランクの魔物しか出ないということもあり、夜の散歩ぐらいの感覚で歩けている。
そのうち、予定なら引き返すはずの時間となったが、まだ余裕があったのでまだまだ進むことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます