第228話 ドワーフ国で1番の武器屋

「ここが冒険者ギルドだな」


俺は教えられた冒険者ギルドにたどり着く。


「冒険者ギルドはあんまり大きくないんだな」


街の大きさに比例して冒険者ギルドも大きくなるかと思っていたが、その大きさは他とほとんど変わらない。


「それにしても……こうも分かりやすく商売をするのか」


また、冒険者ギルドの両横にはそれなりに大きい装備屋があり、正面にはポーション類が売ってる店があった。冒険者に売る気満々だな。

俺はそれを無視して冒険者ギルドへと入っていく。



「…依頼はあんまり種類がないのか」


依頼は鉱山での鉱石採取や魔物狩りか、街の外での魔物狩りくらいで、そこまで種類が多いわけではない。冒険者として活動することを第一に考えたらこの街はあまり良くないかもな。



「ちょっと色々話を聞きたいんだが、いいか?」


「はい、構いませんよ」


受付にて、大銀貨を3枚置いて話を聞こうとする。本当は話を聞くだけなら金は入らないが、こうやってチップを渡すことでより真面目に対応してもらえ、良い話を聞けるのだ。


「ここで1番大きく有名な武器屋はどこだ?」


「それはカジーノ商会の武器屋ですが、そこは値段が高く、冒険者でしたらCランク以上でないと店に入ることすらできません」


「Cランク以上だから問題無い」


「これは、失礼しました」


有名な商会になると、その分値段も上がるだけでなく、入れる人も制限するようだ。そうすることで高級感をより引き出しているのかもしれない。


「それでしたら、地図を書きましょうか?」


「ああ、よろしく頼む」


俺はそのカジーノ商会とやらへの地図を書いてもらう。書いている間に良さそうな宿についても聞いておいた。



「またお越しください」


受付にそう見送られ、俺はギルドを後にした。その後は紹介された宿に向かったが、レベルは水国での宿よりも少し下くらいだった。



「時間もあるし、カジーノ商会とやらに行くか」


まだ15時過ぎで時間はあるので、カジーノ商会に行くことにした。



「いや…デカいな」


その建物は冒険者ギルドの何倍も大きく、数階建てとなっている。その建物だけが異様に大きく、地図が無くても場所を間違える心配はなかったかもしれない。しかも、店の前には警備員と思われる強そうな男が2人立っているしな。


「武器は閉まってから中に入ってくれ」


「分かった」


中に入ろうとすると、警備員から注意を受けた。正直、高ランクな冒険者なら武器があろうがなかろうが危険であることに変わりはない。何なら、マジックポーチに仕舞うだけだから取り出そうとすればいつでも取り出せる。

ただ、攻撃する気は無いというポーズが必要なのだろうな。


「いらっしゃいませ。冒険者の方ですか?」


「そうだ」


中に入った瞬間に執事のような格好をした老人1歩手前の男に話しかけられた。


「ギルドカードを拝見させてもらいます」


「はい」


俺は言われた通りにギルドカードを手渡す。


「Bランク様ですね。本日はどのような要件でお越しになりましたか?」


さっきよりも2倍ほど笑顔かつ愛想が良くなった男にギルドカードを返されながら尋ねられる。絶対Cランク未満だとだと思って対応してたな。


「武器を見に来た」


「武器は2階にございます。ご案内します」


なんと、この店では案内まで着いてくるようだ。ぶっちゃけ、1人で見て回りたかったんだけどな。


「ここではどの冒険者にも案内が付くのか?」


「はい。ただ、そのケースも2通りございまして、盗みや破損を防ぐためと、良い思いをしてもらって次もご利用してもらうためがございます。若く優秀な貴方様は後者のケースでございます」


粗暴な者が多い冒険者に店の売り物を壊されたら堪らないもんな。それに高級な武器を盗まれるのも避けたいはずだ。それを警告しつつ、最後に自分は違うと気分よくさせるのはやり方が上手いな。

この店で買う気は全く無いから響かなかったが、買う気で来ていたら気分よくなっていたかもな。


「見たい武器の種類は何でしょうか?」


「とりあえず、一通り見せてくれ」


「かしこまりました」


俺は売ってある武器を一通り見る。武器には売値と共に誰が作ったかも書いてあった。人によって似たような武器でも値段はかなり違う。低い物でも金貨数枚や大金貨は当たり前で、高い物では黒貨まで必要だ。

また、武器の種類も多く、驚くことに大鎌が2つも売っていた。取り出してもらって軽く振ったが、出来はあまり良くなかった。今あるサブの大鎌の方と比べても負けているくらいだ。まあ、大鎌は息抜き程度で作ったのかもな。

しかし、他の武器の出来は何をしてもそこまで違いがそこまで分からないが、大鎌だけは振れば出来が手に取るように分かるとはな。



「またお越しください」


夕方ぐらいまで店で武器を見てから俺は店を出た。

正直、俺は武器をなまくら、普通または良い、ずば抜けて優れているの3通りぐらいしか区別できない。だから作り手が違ってもカジーノ商会にある武器はどれも出来は同じに見えてしまった。


「本番は明日からか…」


とりあえず、1番の商会の武器とやらの出来は分かったつもりだ。それを軽く超える武器が売っている店を探して海竜の鱗で大鎌が作れるか聞かないといけないのか。大変な作業になるな…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る