第224話 次の2人の行先

「これからどうしよっか?」


俺は横のベッドで座っているラウレーナに話しかける。

ラウレーナは昨日に目覚めたが、ポーションのおかげでどこも異常はないそうだ。ただ、神官によって俺と同じく安静を強制されているけど。


「クラーケンを倒したせいで漁って気分にもならないからね」


「そうなんだよな」


クラーケンと戦ってからだと、漁でどの魔物が出ようと少し物足りなく感じてしまいそうなのだ。そもそも、漁ではCランク以上の魔物の方が少ないため、それではレベルが全然上がらない。

そういえば、クラーケンの討伐を終え、少しステータスが成長した。



【名前】  ヌルヴィス

【種族】  人族

【年齢】  16  

【職業】  不遇魔法剣士

【レベル】 31  (4UP)


【生命力】 485/485  (60UP)

【闘力】  485/485  (60UP)

【魔力】  485/485  (60UP)


【物攻】  245  (32UP)

【魔攻】  245  (32UP)

【防御】  140  (20UP)

【敏捷】  215  (28UP)

【精神】  215  (28UP)


【物理スキル】

・大鎌術Lv.6・身体強化Lv.5・大刀術Lv.4

・無属性魔法Lv.4(1UP)・体術Lv.3

・闘力操作Lv.3・闘装Lv.1


【魔法スキル】

・闇魔法Lv.6・雷魔法Lv.5・氷魔法Lv.5

・身体属性強化Lv.4・魔力操作Lv.3・付与魔法Lv.2

・魔装Lv.1


【他スキル】

・隠蔽Lv.7(1UP)・危険感知Lv.2(1UP)

・気配感知Lv.1・多重行使Lv.1・解体Lv.1



クラーケンを倒したことでレベルが4も上がった。まあ、トドメを刺したのは海竜だが、そこまでのダメージの蓄積で俺のレベルも上がった。もちろん、ラウレーナもレベルが上がっていたそうだ。




「僕は次に行きたい国があるんだ」


「え!?そうなの!」


なんと、ラウレーナは次に行きたい国があるらしい。そんな話は聞いたことがなかったから驚いた。


「僕は魔道国マジーアに行きたい」


ラウレーナが行きたいと言った国はこの水国との2択で選ばなかった方の国だった。


「理由は?」


俺はラウレーナに魔道国に行きたい理由を尋ねる。


「実は普段からヌルヴィスと比べて攻撃の手数の差は少し感じてたんだよ。それがクラーケンの時に如実に現れたからね。ヌルヴィスはクラーケンに有効な攻撃が複数あったのに、僕は打撃の攻撃しかできないから何も無かったしさ。

だから僕は魔法が盛んな魔道国に行って僕の水魔法を攻撃にもっと使えるようにしたい。【魔攻】が無いからって魔法を攻撃に使えないってことはないと思うんだ」


ラウレーナが編み出した拳の水を飛ばす攻撃も牽制や不意打ちには使えるが、しっかりとした攻撃手段とは言えないからな。

確かにラウレーナの打撃の攻撃はぶよぶよとしたクラーケンにはあまり効いてなかった。

ちなみに、俺のクラーケンへの有効な攻撃は大鎌で斬る、闇魔装の斬撃、様々な魔法などがある。



「い…うん。確かに魔道国なら何か方法があるかもしれないね!」


「そうでしょ!」


俺は「いや、俺と比べなくても」という言葉を飲み込んだ。スキル以外の俺のステータスはラウレーナの上位互換のようなものだ。そんな俺と比べてしまうのは仕方が無くはある。それでも比べたことで落ち込んでいたり、苦しく悩んでいるなら何か言った方がいいと思う。

でも、ラウレーナは比べた結果、自分に足りないものを見つけ、それを手に入れようと前向きになっている。それなら、俺から何か余計なことは言うべきでは無い。


「ヌルヴィスはどうするの?」


「俺も魔道国には行きたいと思うんだけど…」


俺も自分の魔法の弱さを実感したばっかりだ。相手が悪いとはいえ、海竜には弱点であろう雷魔法さえ何も効かなかった。また、クラーケンに対しては弱点の雷魔法はダメージになったが、それ以外は触手に対してはあまり効いていない。

母も独学だったこともあり、魔物に魔法を当てる方法などは教わっても、魔法の使い方についてはあまり教わったことがない。


それなのに魔道国に行くと決めきれないのには理由がある。



「やっぱり大鎌?」


「そうなんだよ…」


もし、魔道国に行ったとしたら、魔道国では不遇魔法士となるようにステータスを隠蔽する。つまり、今までと逆に物理職があるのを隠すことになる。そのため、大鎌を使う機会は無くなる。だが、何かあった時のために大鎌は持っておきたい。

でも魔道国には大鎌なんて珍しい武器は置いてないだろうしな…。



「魔道国の横にはドワーフ国もあるよ」


「あ、そうなの?」


魔道国で魔法と共に有名な魔導具を作るには魔法の技術が必要不可欠だ。だが、魔導具を作り上げるのには手先の器用さなども必要で、それはドワーフ族がどの種族よりも優れている。そのため、魔道国が生まれ、発展していくのにドワーフ国の横という立地が必要だったそう。


「ドワーフならヌルヴィスの大鎌も前以上の物を作ってくれるかもよ」


そして、ドワーフと言ったら武器作りが1番に浮かんでくる。俺の大鎌もドワーフで鍛冶師の職業を持っている幼馴染のルイの父親に作って貰ったものだしな。



「あ、僕は武器と防具には満足してるし、別行動ってのはどう?」


「別行動?」


俺とラウレーナの行きたい先が異なったので、どうしようと考えていたら、ラウレーナがそう提案してきた。


「僕とヌルヴィスでそれぞれ魔道国とドワーフ国に別々で行く。そして、ヌルヴィスが武器を作ってもらったら魔道国に来て合流するってこと」


「それがいいかもな」


俺も魔道国には行きたいので、それが1番良い気がする。

ただ、それだとラウレーナが魔道国にいる期間が長くなるかもしれない。とはいえ、今から考えられることでもないので、それに関しては合流してから考えようということになった。



「魔道国に来た時に強くなった僕にびっくりさせてあげるから」


「こっちこそ、俺の新しい武器で魔装を斬り裂いてびっくりさせてやるぜ」


こうして、次の行先はお互いに別々の場所に行き、ドワーフ国で俺の武器が用意できたら、魔道国で合流するということに決まった。

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