第191話 次の行先

「あ、でも次はどこに行こうかな?」


次に行く場所のあてが全くない。それは仕方ない面もあり、俺は急によく分からない山をがむしゃらに通ってここへ来た。そのため、今俺の居る現在地なんかがよく分かっていないのだ。つまり、近くにどんな国があるのかを知らないのだ。


「次に行くとするなら魔道国マジーアか海国ガルヴァルナーが近くて良いだろう」


獣人国と特に近いのはその2つの多種族が一緒に暮らしている国らしい。


「魔道国はその名の通り魔法の研究開発を活発に行っている国だ。首都には魔道学校という魔法を学ぶ専門の学校もある。学校の授業も魔法関係しかなく、お主が想像するような堅苦しいものはない。お主の魔法の技術のアップには良いだろう」


確かにここに来てから物理職方面を主に鍛えていた。だから次に魔法職方面をそこで重点的に鍛えるのも良いだろう。


「それと魔導具にも精通しているからお金に困っていないし、良い物と巡り会える可能性はあるぞ」


俺は俺に賭けていて勝った大量の金がある。それを使えば良い魔道具の買いものもできる。


「もし魔道国に行くとしたらお主は魔法職に偽って魔法を学びに来たとすればいいぞ。そうした方が魔道国では過ごしやすい」


隠蔽するステータスを逆にすれば俺は不遇魔法士として魔法職と誤魔化すこともできるだろう。ただ、その際は咄嗟の動きて物理職の敏捷や攻撃力を見せないように注意しないとな。


「冒険者としても魔法職で新しく登録すれば近郊の魔物を狩ることもできるだろう」


「あ、そっか」


俺は物理職として闘力を使って冒険者ギルドに登録した。今度は逆に魔法職として魔力を使って冒険者ギルドに違う人間として新しく登録できるのか!



「そして、次に海国ガルヴァルナーだが、ここの大きな特徴は海に面している国ということだ」


海とは塩っ辛い巨大な湖と母から聞いている。だが、実際に見たことは無い。


「また、その海に居る魔物は特徴的かつ強いのも多く、冒険者としては働きやすいだろう」


「なるほど」


もちろん、海以外の近くの森とかにも魔物は出るし、森の魔物の討伐依頼も冒険者ギルドには来るそうだ。でも、1番多く依頼が来て、狩りに行くの多くなるのは海の魔物なんだそうだ。


「海に船を出し、船に攻撃する魔物を殺したり、釣った魚のような魔物を殺したりと普段と違う狩りを楽しめる」


普段の森に入って魔物を探すのとは全然違う狩りが海国ではできるらしい。


「また、なんと言ってもその海の魔物は美味しいものが多く、そこに住み着くことになる冒険者も多いそうだ」


「そうか!」


確かに普通の川にいる小さな魚を食べたことはあるが、魚のような魔物は食べたことは無い。そもそも水の中にいるような魔物を見た事すらない。


「大体説明はこんなもんだが、どちらに行くか決めれるか?」


「海国に行くよ」


俺はそう即答する。その理由に美味しい海の魔物を食べたいというのももちろんある。それが大きいのは否定しないが、それは一番の理由では無い。

一番の理由は俺の闘装や魔装を魔物に試したいのだ。冒険者として、新しく身につけたスキルを魔物に存分に使いたい。

また、魔道国にもかなり引かれはしたが、そもそも俺は現時点で魔法を学びたいとはそこまで思っていない。今ある魔法技術で満足している。魔道具にしてもそうだ。探したら欲しいのはあるだろうが、現時点でこの魔導具が欲しいとかは無いのだ。今の俺が行ったとしても特に自分からやりたいことがないのだ。


「海国でいいんだな?」


「はい」


まあ、そこまでここの国選択自体も重要では無い。なぜなら、間違ったと思ったら次の国にすぐに行けばいいのだ。そこを自由にできるのが冒険者の魅力の一つでもある。


「では、3日以内に必要なものは儂が集めておこう」


「私も手伝いますよ」


「ありがとう」


こうして、俺の次に行く国は海国ガルヴァルナーに決まった。

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